尸魂界篇
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五番隊四席
「皆さん、五番隊隊長が今朝亡くなり、第一発見者である雛森副隊長は取り乱され拘留中です。実質、今の五番隊を率いる立場は第三席です。私は先日任務に出ていましたが、三席にのみこの事態を背負わせるわけに行かないので帰って参りました」
中庭に集まってもらった隊士が騒つく。
それもそうだ。ぼんやりして幼児みたいだった四席が急に"それらしく"話している。戸惑わないわけがない。
「五番隊は皆、仲が良く穏やかな気風の隊です。不安もあるでしょうが、非常時にも取り乱さず穏やかに、しかし決して油断はせず。そういう風に事に当たりましょう」
「あの、雛森副隊長は、どうされていますか……?」
女性隊士が控え目に手を挙げた。
桃ちゃんが良くしてあげていたのだろう。
「雛森副隊長は大丈夫。一時取り乱したようですが、それも今は落ち着いているそうです」
これから重体になるのだけれど。
陰る気持ちとは裏腹に、隊士達が安心するようにと明るく微笑んで、淡々と持ち場の割り振りをしていく。
調子が悪そうな者は四番隊へ、不安そうな者は後で話を聞くからと隊に残して。
職務への混乱は一先ず解消。
「うん、それじゃあ不安に思うことを一人ずつ聞こうか。この部屋で聞くから、前の人が出てから入って来てね」
不安の内容は主に"藍染隊長の死"それから"雛森副隊長について"。後は"旅禍が怖い"、というくらい。
泣き出したりする子は宥めて、怖がる子には、怖がる必要がないのだと説明する。
「旅禍は殆ど捕まっているし、彼等は誰一人殺したりなんてしていない。だから遭遇しても死なない、気絶するくらいだよ。取り敢えず無理に追わないこと、見付けたら先ず連絡。ね?」
そして落ち着いた子達に温かい御茶を淹れて、飲んでから持ち場に行くように指示をした。
「これ……事態が収束したら、書類の山がヤバいのでは……」
要らないところだけ目敏く、この先の書類地獄を予期してしまった私はどうしようもないと思う。
良いんだ……桃ちゃんは死にはしないし、帰って来るまできちんと五番隊を守って待っていることが、今出来ること。
心が痛まないわけではないが、あの事件がなければ桃ちゃんは地の底まででも藍染を追って行きそうだ。
"殺して行くのがせめてもの情けだ"
藍染の言葉を思い出して眉間に皺が寄る。
「たとえそうでも、胸糞悪いわ」
誰も居ない廊下で一人呟いた。