尸魂界篇
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人を喰らったその口で
ちょっと待て。
いっぱいいっぱいで沈んでた時は、誰と戦う羽目になるのかしか考えてなかったが、戦う必要ないではないか。
「これ、只の暇人では……?」
誰に付いて行くか悩んでいる間に、結局一人で飛ばされた私は途方に暮れていた。
霊圧を消すことは決して不得意ではないし、そうなると例え屋根の上に寝ていたって、霊圧知覚の鋭い人でなければバレないわけだ。
オマケに走り回る霊圧は随分と遠いものばかり。
「うーん……。もう双極にある遊び場探して、茶しばいて昼寝するしか……」
旅禍の一団に付いて来ておいてやる事が昼寝て。
もう少し真面目に考えよう、私。
腕を組んで目を閉じる。
岩鷲くんは弓親さんに追い回され、一角さんと一護はもう戦い始めた。
夜一さんはウロウロ。
茶度くんはジッと息を殺して。
織姫ちゃんと石田くんもジワジワ移動。
ぽくぽくぽく……ちーん。
「ないわ! すること!」
この辺が考え無しだっていうんだよなぁ。
護廷でもやる事が書類と鍛錬くらいしかないし、一護達と居ても見てるくらいしかやる事がない。
「だめだぁ、やっぱ昼寝……」
あーあ、と寝転びかけた時、凄いスピードで近付く霊圧。この速さは瞬歩か。
しかも……あ、やだ、これは。
「あらあら、謀叛の疑い有りの紫游ちゃんやないの。こないなとこで何してはるの?」
い、や、み!!
「ギンちゃんも私のとこに来てる暇ないんじゃない?」
「やっぱり……その言い方、もう空っぽやないんやね」
白道門で神鎗を逸らした時の表情で、勘付いてる気はしていた。
「もう藍染サマには言ったの?」
"藍染サマ"と言った瞬間、ギンちゃんの霊圧がじっとり冷たくなる。
「紫游ちゃんはええ子やから、ちゃあんと答えてほしいんやけど……自分、どこまで知ってるん?」
「"乱菊が泣かんで済むようにしたる"」
喉元にひたりと、刃の冷たさ。
不思議と怖くはない。波の立たない水面の様に心が静かだ。
「今、藍染は居ない。誰にも言う気はない。私はギンちゃんも乱ちゃんも泣かずに済むようにしたい」
目を見て真っ直ぐ言う。
こんな声が自分から出るのだと、こんな混じる物のない気持ちで、人に言葉を言えるのだと、自分のことなのに初めて知った。
「……ほんなら、邪魔せんといて」
「うん、しない。でも、ギンちゃんが乱ちゃんを泣かせるのなら、その約束は守らない」
「勝手にし」
ギンちゃんはいつもの人を喰った様な口調ではなく、静かにそう言って背を向けた。
「ばいばい、ギンちゃん」
それは、此処から去る貴方へ、二つの意味を込めて。