尸魂界篇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夜明けの大花火
「それにしても……泣きたいのならもっとわんわん泣いても良かったのだぞ?」
空が白み始めて、夜一さんとゆっくり歩いて志波家へ帰る道中。
「んー……癖なんです。人前だと、泣くのを堪えてしまうというか」
「難儀な性格をしておるようじゃな。鍛錬より、もう少し己の感情の発散について鍛えた方が良いのではないか?」
「ははは……。それにしても夜一さん、動揺が短かったですが、もしかしてちょっとバレてました?」
溜息を吐く夜一さんにヘラっと笑う。
素直ではないのは百五十年ずっとだ。
私の面倒な性格についての話は分が悪いので、すかさず話題をズラした。
「そんなもん、おぬしが虚化しとると言うて来た時に変じゃとは思うておったわい」
「えっ」
「"藍染達三人"とおぬしは言うた。どう考えても、おぬしの知る筈のない事じゃからな」
気を付けてはいたつもりだが、割と大きな失態をしていたらしい。
「俺の兄貴は死神に殺されたんだ!!」
全員がその場に揃い、いざ打ち上げ……というその時にやはり岩鷲くんは叫んだ。
また心臓がぎゅっとなり、呼吸がやや浅くなるが、堪えられない程ではない。平静を装う。
幸いなことに、というか岩鷲くんの言葉の先は一護に絞られており、私は眼中になかった。
一時凌ぎに他ならないと知ってはいても、ほっとした。
「おーし、準備は良いかぁあ!」
空鶴さんの声を合図に、全員で霊珠核へ霊力を籠める。
花鶴大砲の外で詠唱が始まった。
「彼方! 赤銅色の強欲が三十六度の支配を欲している! 七十二対の幻、十三対の角笛、猿の右手が星を掴む!! 二十五輪の太陽に抱かれて砂の揺籃は血を流す……」
これから打ち上がる……コレが……? ホントに?
今更ちょっぴり不安になってももう遅い。
「花鶴射法二番! 拘咲!!」
物凄い轟音で景色が一気に変わる。
しかし、意外なことに妙な浮遊感はない。
「あ、怖くない……」
「俺の姉ちゃんスゲェだろ!」
私の呟きに岩鷲くんはドヤ顔。
その後、継の口上の開始時点は快適な空の旅だったが、一護の霊圧のブレが異様に激しく、岩鷲くんも気を散らし、瀞霊廷に突入直後、やっぱり霊子隔壁は見事に弾け飛んだのだった。
「えっと……やーなかーんじー!」
これはただ私が良いたかっただけである。