尸魂界篇
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我慢の限界
あの非番の日から、多分十七日目。
遂に警報が鳴った。
来……たぁあああ!!!!
勢いよく机から立ち上がり、駆け出す。
「あ! 犀峰さんはあっちの門……。駄目だ、もう居ない……」
「目指せ! 白道門!」
黒崎一護は確かに眩しい。けど、目が潰れたって見たいものはある。
「あ? 犀峰、お前はあっちじゃ……」
「こっちが良いの〜! じゃあね、檜佐木くん、イヅルくん」
こんな時ばかりは、幼女じみた芝居も捨てたもんじゃないと思う。
相手の溜息一つで自由が手に入る。
瀞霊廷の門を越え、白道門の白い壁を逸る気持ちのまま登る。
上に着くと、丁度、兕丹坊と一護が向き合っているところ。
当然ながら兕丹坊の声は聞こえても一護達の声は聞こえない。
「頑張れ〜、兕丹坊〜。旅禍も負けるな〜」
わくわくした勢いで声援なんか送ってみちゃったりして、気分はスポーツ観戦だ。
兕丹坊が一瞬だけギョッとしたけれど、すぐに通常通りに事が運びだす。
いつもこのノリで良いなら芝居も楽なんだけど。
頬杖をつきながら眺めていると敷石やら土埃が、私の居る辺りまで舞い上がる。
下に居るよりマシなのだろうが、これではあまり状況が見えない。
あ、負けた。
原作の如く、兕丹坊は斧を潰されて泣き始めた。
オマケに背後から嫌ァな霊圧。
「こらぁ、紫游ちゃん。持ち場サボって何してんの!」
掌でメガホンを作ったギンちゃんからの御叱り。
流石に白道門から下りる。
「面白そうだったから……」
「せやかて、持ち場サボるんは感心せぇへんよ?」
チラリと振り返ると、叱られてるうちに白道門が上がり始めた。
私をその場に残して白道門に向かうギンちゃん。
「あぁ、こらあかん」
あかんのはこっちじゃ。
切っ先を向ける前から分かった。
このギンちゃんは"切り落とす気"だ。
原作に忠実かぁあああ!!
せめてアニメくらいの傷に!!
「こら」
「ギンちゃん。切り落とすのは、メッ」
大して怒ってもない"こら"を聞き流し、反対に御説教。
瞬歩で近付いて、ギンちゃんが兕丹坊の腕に、切っ先を向けた瞬間に、神鎗の根元に彼岸花を当てがい、切っ先を逸らした。
言葉にすれば簡単だが、間に合うかも自信は無かったし、手が若干ビリビリする。
ギンちゃんは私を見て微かに眉を顰めたが、また兕丹坊に向き直った。
「ま、ええわ。それより……、負けた門番は、門なんか開けへんよ。門番が負けるいうんは、"死ぬ"いう事やぞ」
途端にギンちゃんに斬りかかる一護。
夜一さんが"一護"と呼んで、ギンちゃんが距離を……。
あ、この後。どうしよう。
「射殺せ、"神鎗"」
えぇい! なるようになれ!
ノリのまま、吹き飛ばされる一護達の隣を駆け抜けて白道門の外へ出る。
「バイバーイ」
と笑顔で手を振るギンちゃんが、旅禍の一団の中の私を見付けて、難しい顔をしたので同じノリで返す。
「ばいばーい!」
そうして慌ただしい中、束の間開いた白道門は、再び閉ざされた。