過去篇
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死して生きる
私が
きっかけは、考えも無しに、私の首を絞めた父だった。
絞め上がる首の感触は、意外にも柔らかく、圧迫する範囲の問題かしら、
この様な状態でも、逃げようともしない自分に呆れる。
そうしている間に、やがて本当に私の意識はなくなった。
真っ白な様な、真っ暗な様な。
ぼんやり、遠くに河が見える。
なんだろう、と脚を踏み出して、ふと、足元を見れば、
嗚呼、これは
渡ろうか。
渡るまいか。
思案していると声がした。
「そんなつまらん死に方して楽しいか?」
まぁ、そんな訳はない。どうせならも少しマシな死に方をしたかった。
「だろうな、ならも少し生きろや」
また目の前が真っ白になり真っ暗になり。気付いたら森の中だった。
時刻は
身体を起こそうと手を突くと、ほんのり湿った土の感触と、何か硬いものが指に当たった。ソレの正体が妙に気になり、きちんと座り直してから、ソレを月明かりに当てて見る。
「日本刀……」
聞く者も居ないというのに、思わず呟いてしまった。
今、私の手の中にある物は、どう見てもスタンダードな造りの日本刀。長さは
なんで……ーー。
頭に浮かんだ疑問は直ぐに答えを得る事となった。
急に背筋にぞくりと悪寒が走り、肌が
気配が真後ろに来た時、私は反射的に身体を
精一杯の力を込め、鉤爪に潰されない様に耐えている私の前で、緩り緩りと、角度を変えた月光が襲撃者の姿を暗闇に浮かび上がらせた。
ソレは、白く、大きく、歪なカタチの……。
「う、そ……」
ソレは、どう見ても、漫画で幾度も見た
正直、そこからはあまり覚えていない。何故かと言うと、勿論、必死だったからだ。
空想上の生き物の虚が目の前にいる事、そんな化け物の動きにどうしてか付いて行ける自分の身体。
意味が分からない。
気付いたら虚の仮面を叩き割っていて、全身に力が入らず、膝から崩れ落ちた。
折角勝ったのに、結局死ぬのだろうか。ならば戦った意味は。いや、もうどちらでも良い。
只、眠りたい。