尸魂界篇
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棚から牡丹餅
「喜助〜、客じゃ」
店の奥に夜一さんが呼びかける。
今はおそらく奥で、織姫ちゃんと茶度君が眠っている頃だろうか。
「あれま、夜一さん。これまた珍しい御客さん連れて来ましたね」
言葉とは裏腹に、さして驚いた風もない浦原さんが奥からゆったりと出て来る。
「御久し振りです、浦原さん。その口振りだと、私が現世に来てることは気付いてましたね?」
「バレましたか。で、何の御用でしょう?」
帽子の奥から探るような視線が突き刺さる。
こんな中で"虚化してます"とか言いづらい。
「百年前から虚化してるんですが、魂魄自殺のリスクはあるのか御聞きしたくて」
あっさり言ってしまうんだけれども。
言わなければ話進まないし……。
「それは……」
言い淀む浦原さん。
「詳細も必要ですかね? 内在闘争は一先ず終わり、現在は虚は沈静化しています。仮面はまだ出したことが有りません」
そこまで言っても、黙ったままの二人。不安になり、俯く。
「駄目、なんでしょうか……」
「取り敢えず……検査、しましょっか」
私の声に被せるように浦原さんはそう言った。
「大丈夫ッスね!」
あれだけ言い淀んでおいて、そんなあっけらかんと。
一通りよく分からない検査をした後、浦原さんは突然扇子を広げてそう言った。扇子には"御目出度う"の文字。
一々仕込んでるのか……。
「虚化の経過が特殊だったせいなんでしょうけど、このまま仮面出したりしても何にも支障はないッス」
「はぁ……。有難う、御座います」
「不安でしたら、店の地下を御貸ししますんで、試してみたら良いと思いますよ」
棚から牡丹餅。
予想外の幸運である。
私は一も二もなく、この幸運に飛び付くことにした。
「有難く御借りします!!」