尸魂界篇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
非番の独り言
何の予定もないまま非番になると、例えようのない虚しさが襲ってくる。
それは名前も告げず霊術院に入学した頃の不安に似ていて。
解決する方法などなく、実際悩む意味はないのだけれど、どうしても苦しい。
「こんなに虚しいのなら、平子隊長に何か一つくらい、強請れば良かった……」
平子隊長には君坂さんが居るから、何も求めまいと、そう決めていた。一隊士の域を出る真似はすまいと。
だからこそ、諦めた振りをしていたくせに、それすら通し切れなかったのだ。
一度、想いを認めてしまえば後は坂を転がるも同じ。
求めまい、と思ってはいても欲が出るばかり。
そんな欲のせいで、そのくせ自分を律していたつもりだったせいで、あの日一遍に壊れてしまったのだ。
「恋って、面倒だなぁ……」
起こした身体を再び横たえ、布団を被る。
非番なぞ早く終わってしまえ。
でも、ぼんやりとした振りをするのも本当は嫌だ。
相反する想いがぐるぐると渦巻いて際限無い。
君坂さんはこんな悩みなどなかったのだろうか。
この百年、君坂さんは五番隊には居らず、他隊に行ったのでなければ、平子隊長に付いて行ったのかも知れないと思った。
彼女の恋に対する姿勢はいつも前向きに見える。
それは平子隊長への想いの大きさ故か、生来の気質なのか。
或いはそのどちらもか。
事実はどうにせよ、私より遥かに真っ直ぐなのは間違いない。
行動に出ない私は、それを少し羨ましく思う。
諦めるにしろ、あんなに意固地にならず、
何度考えても後の祭りだけれど。