過去篇
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鈍いとは
「ほんで〜、真子とどォなん」
大福が喉に詰まった。
注文した大福が来て、さぁ頂きましょう、と口に入れた途端にそれはないですひよ里さん。
涙目になりながらゆっくりお茶を
「いや、何もないですよ」
確かに、ひよ里さん達にはバレてると、薄々気付いてましたとも。然しまぁ、気付いているなら私と進展なぞないとも分かるでしょう。
「どう見ても、それは君坂五席にする質問ではないですか……?」
「せやかて、ウチはあの子好かんわ」
ひよ里さんは眉を顰めて、大福を頬張る。可愛い。
「私は、お似合いだと思いますよ。君坂五席と平子隊長。君坂五席は優しくて可愛らしくて……」
そう、二人ともこの大福みたいに柔らかくて甘々だもの。
大福を見ながら、先程の二人のやり取りをぼんやり思い出した。
「ホンマにそう思うか?」
「ひよ里さんは、君坂五席と話したことないんですか?」
先程からずっと、眉間に皺を寄せたままのひよ里さんは、腕組みをして溜息を吐く。
「話したことあるから気に食わんゆーてんねん。あんだけ真子の後を引っ付いて回ってるんやから、話したことないわけないわ」
尚更、気に食わない訳が分からなくなってきてしまった。
私から見て、君坂五席は失礼なわけでもなく、嘘吐きでもなく、嫌味でもなく、只ひたすらに理想の女性に見える。
だから、ひよ里さんがこんなに嫌う理由がどうしても分からないのである。
「私には、君坂五席が嫌われる理由が皆目見当もつかないのですが……」
そう告げると、ひよ里さんは少し大袈裟なくらいに驚いて、仰け反った拍子に机がガタリと揺れた。
私は慌てて、お茶が倒れないように湯呑みを抑える。
「それ、ホンマのホンマにゆーてんのんか!?」
こくりと頷いて見せると、ひよ里さんはまた、大袈裟に溜息を吐いて頭を抱えていた。
鈍い鈍いと、そう言われましても。