過去篇
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可愛い人
十二番隊で霊圧を測ってもらい、彼岸花の卍解を扱うには申し分ないと言うことは分かったが、同時にとんでもない事実を知ってしまった。
霊圧馬鹿って……割とよく夢小説で見るやつじゃないか……!
凄いけど! スタンダード!
何故か標準的という言葉がしっくり来てしまうのは仕方がないと思う。規格外より標準の安心感。
だが、それなら納得いってしまうのだ。
来たばかりの頃に虚の動きについて行けてしまったこと。実は瞬歩が一番上達の早いこと。
「私にも、特典があったのか……」
実感はないが、浦原隊長にああまで言われては信じない訳にはいかない。
浦原隊長についてはしっかり口止めはして来たが、今後あの人以外にはバレぬように気を付けねば。
「只今帰りました、犀峰です」
「遅い」
ウッ。
御機嫌ナナメ……。
しかしキッチリ仕事熟してらっしゃる……。
「申し訳有りません……」
なまじ
素直に頭を下げる。
「退院した、て卯ノ花さんから連絡来て迎えに行ったんや」
「え?」
「ほんなら、オマエ居らんし? 電子書簡送っても返事来ォへんしィ?」
あ、優しい感じかと思ったら完璧な
「俺、もう仕事したァない……」
平子隊長は机の書類の上にベチャ〜と伸びる。
「すみません、それは私は関係有りません」
しまった。本音が。
しかし、私が居ない間はサボるにサボれなかった筈だ。疲れているのも嘘ではないことくらいよく分かっている。
「平子隊長、食べたい物有りますか?」
「栗饅頭……」
また饅頭かい!
潰れたまま返事をする平子隊長に、内心ツッコミたいのを我慢して微笑む。
「では、買って来ますので御機嫌直して下さい」
「ん、戻って来たら煎茶淹れてや」
うつ伏せだからモゴモゴ言ってます、隊長。
こんなところまで可愛いと思ってしまうのはもう手遅れなんだろう。
「紫游」
扉を出るところで平子隊長に呼び止められ、金髪が広がる執務机を振り返る。
「やっぱり別のおやつが良いですか?」
「……おかえり」
平子隊長がやはりうつ伏せたまま、ボソリと呟いた。
嗚呼、多分狡いとはこういうことだと思う。
そんなだから、私はまた帰って来たいと思ってしまうのだ。