過去篇
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彼岸花の悪足掻き
久々の対話をしたあの日、彼岸花は言った。
「私の卍解の名は、
「縛り?」
「違う、字は痺れると書く」
曼珠沙華までは予想の通り、しかし
「私の名の元になった彼岸花が毒花なのは知っているだろう」
それなら分かる。彼岸花は花から根まで全草有毒、特に
「リコリン? 他に何種類かあるらしいけどあとは分からないや」
「りこりん……人はえらく可愛らしい名を付けるものだな。まぁ、それだ。その毒性の主な性質は"中枢神経の麻痺"」
彼岸花は話しながら私の後頭部から背中を撫でる。
「確か、この辺りか。私は主人の霊圧と私自身の霊圧を一定の割合で練り合わせ続けることで中枢神経に影響する毒を生み出す。これにより動きを封じるのが主な能力だ」
一角さんみたいに斬魄刀も霊圧を放出するタイプか。
「ん? 動きを止めるだけ?」
卍解とはもっと凄いのではないかと思っていたのだけれど。
私の呟きに彼岸花はあからさまに呆れを顔に出す。
「話は最後まで聞け」
そんな溜息吐かなくても……。
「彼岸花を持ち帰ると家から火が出るとか、彼岸花に触れると
割と有名だから知っている。
無言で頷き、先を促す。
「彼岸花は、属する元素で言えば"火"だ。私の毒は身を灼き、爛れさせ、融かす。並みの虚ならこれで倒すことも出来るだろう」
彼岸花はここで一度言葉を切り、腕を組み直す。
「ただ、私の卍解は発動すればそれで終わりではない。先程言ったように一定の割合で霊圧を練り合わせ続け、相手に注ぎ続ける必要がある」
「通常の卍解より神経を使うし、心の乱れは許されない。更には馬鹿みたいな量の霊圧が必要。ってことかな」
「変なところで話が早いな。もっと言うならな、他の卍解と違い、私の霊力が保つ限り、底が見えるまでお前は霊力を引き摺り出される羽目になる。……もう、意味は分かるな?」
あー、短気な彼岸花が変な
「卍解する前に私が消耗していればいる程、死んじゃう確率が倍率ドン」
「なんだ、"倍率どん"とは」
真顔で聞き返す彼岸花の何と可笑しいことか。
「ふふふ。死なない努力はするからさ、安心して教えてよ。ね? 彼岸花」
やはり、斬魄刀というものは主人には死なれたくないようだ。