過去篇
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稽古
仕事終わりに修練場に向かうと、既に紫游が正座をして待っていた。
「遅うなってすまんなァ」
「いえ、私も先程来たばかりですから」
大方、俺より遅うならんように急いで来たんやろな。
「ほな、始めよか」
修練場の中央で向かい合い、木刀を構える。
平子は特に構えず
無行の位に対して下段か。
平子は指導を請われたため、先ずは自分は受身で相手の打込みを捌こうと思っていた。
だが、下段は守りの構えだ。
平子が決めかねていると紫游が動いた。
コイツ、いつの間にこないに瞬歩の上達したんや!
一瞬見失ったように思える程には速い。
しかしすぐに追い付いて右からの
正面から受けてやっと分かった。
「最初は分からんかったけど。オマエ、見取り稽古しとったな」
「バレましたか」
型こそ少し変えてはいるが、力の掛け方、捌かれた時の太刀筋の変化、斬りかかる前の間、全て覚えがある。
「見ただけでようここまで真似れたもんや、感心するわ」
他の人のんも勿論あるけど、殆どが俺の太刀筋を真似とる。
「気持ち悪いとか言わないで下さいね、有効だと思うものは吸収してるだけなので」
気持ち悪いどころか怖いわ、阿呆。
特によう真似とるやつやと自分と戦こうてるみたァな気ィするし。
「ほんなら今日初めて打ち合うたのに俺が師匠っちゅうわけや」
「そうとも言えます、ね!」
会話をしながら打ち合っていた調子を崩して紫游は突きを放つ。
「ええ判断やけど、これで終いや」
ニヤリと笑った平子は突きを流してそのまま紫游の肩へと木刀を振り下ろした。途端に嫌な音。
「……っ……!」
「折れたやろ、四番隊行き」
また惣右介には「女の子相手に
紫游は四番隊に行けと告げる平子の顔を恨めしげに見上げた。
「そないな顔しな、稽古するんが嫌やから怪我さしたんちゃう。心配せんでも治ったらまた相手したるわ」
睨め付ける様な顔から一転、見る見る間に目を輝かせる。
「はい!! 有難う御座いました!」
ホンマ、現金なやっちゃ。