過去篇
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いとおかし
今日も今日とて紫游がおかしい。
いや、他の者からすれば全くいつも通りの姿とも言える。
また、彼女をよく知る者が見れば以前より幾分穏やかな表情だと言うだろう。
ただ、平子は妙な違和感を感じていた。
「紫游。オマエ、何やおかしないか」
「いえ、御菓子は有りません」
「ほな買うて来て〜」
紫游は一つ頷いて、執務室の扉に手を掛ける。
「ってちゃうわボケ!! 変やて言うてんねん!」
こちらを振り返った紫游は「何のことやら」とでも言いたげな顔をしているが、今のボケは絶対に
「俺にも言えへんことか」
今度は、とぼけられない様に彼女の目を見て問う。
大抵はこうすれば目を逸らしたり霊圧が揺れる。
「平子隊長。本日終業後、もし予定がなければ鍛錬の御指導頂いてもよろしいでしょうか?」
唖然とした。
今、紫游は欠片も揺らがなかった。
目も逸らさず、霊圧も揺らさず。
更に言えば、自然に微笑みすらした。
強くなった、と取るべきか。
危うくなった、と案ずるべきか。
とは言え、今まで彼女が平子に指導を請うたことはない。席官として力量は疑いはしないが、自らの目で実力を見る良い機会だと思うのも確かだ。受けないわけには行くまい。
「ええで、今日暇やし」
「有難う御座います。それでは、終業後に」
紫游はスッと綺麗に頭を下げて、再び執務室の扉に手を掛けた。
しかし、何か思い出したかの様に平子の方に向き直る。
「あの、平子隊長。おやつ何にしましょう」
椅子から落ちるかと思うた……!!
「せやから菓子買うて来いとは一言も言うてへんて、言うてるやろォオ」
きょとんとする紫游に若干気の抜けたツッコミをする羽目になった。
「はぁ、では失礼します」
アレ、本気か!?
絶対態とやんけ!!
「どっちやねんんんん」
仕事をする気のある日に限って何故やる気を奪いに来るのかホトホト納得の行かない五番隊隊長であった。