過去篇
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こたえ
夕食後、自室で座禅を組み、彼岸花を膝に乗せる。
「ねぇ、彼岸花。今日一日でよく分かったよ、彼岸花が言っていた意味が」
以前に拒絶された時、彼岸花は"お前が私を否定している"と言った。
本当は、その意味が全く分からないわけではなかった。
「私は、私の気持ちを偽っていた。君が話したくないのも道理だよ、ごめんね」
私はこの五十年余り、平子隊長のことを諦めたつもりでいた。
それだけではない、何もかもを。
そうして冷めた目をして眺めていただけ。
でも、私は諦められてなどいなかったのだ。今も昔も私の心を揺らすのは平子隊長の一挙一動、その全て。どうしようもなく惹かれてしまう。
だから、諦めることを諦めよう。
「認めるよ、自分の気持ちを。私は平子隊長が好きだ」
言い切って、一つ瞬きをする。
次に目を開ければ、彼岸花の咲き乱れるあの空間。
しかし、今日は暗闇ではない。
広がるのは暁の空、朝方のまだ空が白み始めた頃。足元の花々は、雨か朝露か小さな水滴を飾って揺れている。
「五十年。頑固な主人で困る」
「本当にごめん、ありがとう」
久しぶりに会った彼岸花は、やはり不機嫌そうで。
それでも、以前より眉間の皺が薄く見えた。
「私を手にした頃、お前はあの隊長に対しての想いを最も多く抱えていた。その想いを含めて生まれた私が、それを否定するお前に良い気がせぬのは当たり前だ」
「うん」
斬魄刀は、持ち主との同調によって力を発揮する。
私は彼岸花と同調するどころか反発していたのだ。
「まだ、卍解を習得したいか」
問われるまでもない。
無言で頷く。
「良いだろう。私の卍解の名はーー」