過去篇
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彼岸花
「やぁ、彼岸花」
どこまでも続く闇の中で、群生する赤い花のみが苛々と揺れている。
まるで、舐める様にじわじわと拡がる火の海の中に立っているかのようだ。今にも袴の裾からこの炎に呑まれていくのではないかと錯覚してしまう。
「何の用だ」
目線を上げれば、その花の炎の中に不機嫌そうな男が立っている。
長い黒髪に金色の瞳をした長身痩躯の青年。眉間の皺さえなければ
「たまには彼岸花とも話しておこうと思って」
「話す事などない」
ほらぁ、面倒臭い……。
いつもこの調子で「話す事などない」「顔も見たくない」「帰れ」の三拍子だ。
ならば名を教えなければ良かったのに。
「そうもいかないんだよね、今のままじゃ……」
「もう諦めたくせに今更何をしようと言う」
バッサリ。
始解を習得出来たのが不思議なくらいに対話をする気がないのだ。
「卍解とやらをね、そろそろ習得したいのだけれど。天竺葵は身持ちが固いし、どんなに気が合わなくても私の斬魄刀は君だから」
事実、天竺葵は始解から先は許してはくれない。表には出さないがやんわりと拒絶されている。
「葵が駄目なら私か。随分都合が良いな」
んー……否定出来ない。
浮気を問い
「そんな風に言われると困るなぁ」
返す言葉も見当たらず、眉を下げるしかない。
その間も彼岸花からは肌がチリチリと灼ける様な霊圧を浴びせられる。
「何を困る事がある。私を否定しているのはお前自身だろうが」
途端に
スッと頭が冷えて、更には
「あ、」
「帰れ」
そうして今日の対話は強制的に終了した。
私は"