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今日だけは
「平子隊長」
いつもの五番隊舎中庭の縁側、暖かくなり始めた春の陽気の中。
いつもの様に冬の空気に似た冷たい声音。
「なんや」
いつもの様に俺はシレッと目も合わせず返す。
「暑苦しいです」
「隣におるだけやんけ」
触れるか触れんか、いつもの距離を少し縮めて座っとるだけ。
「それでも、です」
それでも紫游は暑苦しいと繰り返す。
「オマエは雪だるまかいな」
自然と緩む頬を誤魔化して鼻で笑ろうた。
いっそこの熱でその身が、その声が溶けてしまえばええ。
と思うんは行き過ぎやろうか。
縮めた距離を今日だけはもう一歩。
紫游の肩に頭を預けて目を閉じれば、頭上で彼女が息を止める音がした。
慣れ親しんだ距離を縮めるにも理由が必要な彼女やから、今日だけは。
「……御誕生日おめでとうございます……」
紫游が至極不服そうに呟いた。
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