外伝
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
白兎の穴
ある日突然穴に落ちた。
いや、穴など無い筈の場所で。
何を言っているのか分からないだろう。
もう一度言う。
穴に落ちた。
「おああああああああああああ」
なんて情けない声を上げ、私は硬い地面に背中を強打した。
周りを見渡せば、何故だか見覚えが……。
「……霊王……の……真後ろ……」
そう、何故か霊王の真後ろに私は落ちたのだ。
見上げれば私の落ちてきた穴はもうない。
ここは登りはすれど落ちる場所ではないのでは、という疑問は疑問のまま、
"バキンッ"
左側、目の端に映っていた霊王が、割れた。
「ま、さか」
割れた霊王の向こうには、黒崎一護。そしてユーハバッハの背中。
「んな、阿呆な……」
私はタイムスリップとやらをしたのかもしれなかったりするかもしれなかったりする……?
停止しかけた頭が即座に弾き出したのは浮竹隊長の生存ルート。
「愛しめ!! 曼珠沙華!!」
彼岸花が正しい形を得てから自己修復された卍解は、再び無数の帯で霊王を縛る。
単純な頭だと、自分でも思う。
しかし、今、霊王さえ崩れなければ浮竹隊長はミミハギ様を剥がさずに済むはずなのだ。
只の数秒で良い。
それだけで。
ユーハバッハと一護が霊王越しに私を見付け、口を開く刹那。
私はまた"落ちた"。
「犀峰くん、こんな所で何をしているんだい?」
再びの激痛に気を失ったらしい。
聞き覚えのある声に、揺り起こされる。
「すみま……」
そこから先は言えなかった。
緩やかに肩を滑り落ちる白髪に目を奪われた。
「ど」
その人がもう一度口を開く隙も与えず、私は細いその首に飛び付く。
花と甘い御菓子の匂いがした。