千年血戦篇
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花の名
黙々と。もくもくと。
御饅頭を食べている。
御茶まで淹れて、すっかり休憩モードだ。
御茶を啜り、正面に座る平子隊長をチラリと上目遣いに見る。
大きな口で、けれど静かな所作で御饅頭を平らげていく姿。
ふと、浮かんだ小さな疑問に私は口を開いた。
「……真子さん、何で御饅頭好きなんですか」
何だかんだ、百年前からずっと疑問に思っていた事だった。
「んー? 何でやろ」
御饅頭を片手に、食べることを中断した平子隊長はこちらを向いて、また御饅頭に視線を移し、首の後ろを軽く
そして何か思い付いたように「嗚呼」と呟いた。
「……好きな理由は分からへんけど、ええこと教えたるわ」
「ええこと?」
「アンタの斬魄刀な、彼岸花っちゅう名前やろ?」
彼岸花。
少年の平子隊長には先日聞かれた為、教えたのだ。
私は今更何だと思いつつも、無言で頷いて先を促す。
「彼岸花はな、"御饅頭花"とも呼ぶんや」
そう聞いた時、目の前の"真子さん"と百年前の平子隊長の姿が重なった。
"ほんなら饅頭がええわ"
もし。
もしも、百年前の平子隊長もその別名に
時たま呼ばれていた御饅頭の渾名も……。
「そう、なんですか」
サッと
顔は平静を保てている筈だが、心臓が五月蝿くて仕方ない。
"御饅頭花"
平子隊長はやはり、少年の姿だろうと何だろうと私の心臓に悪いことに違いはないのだ。
そう、確信を得た。
「……さ、御饅頭食べちゃいましょうか。真子さん」
嗚呼、明日解毒剤を貰うのが不安になってきた。