千年血戦篇
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成長するって痛い
一日もあれば元に戻るかと思われた平子隊長は、もう丸三日、子供のままだ。
それでも瀞霊廷の暮らしには慣れてきたらしく、廷内の地図を片手に、簡単な書類配達を先日から手伝って下さっている。
「平子隊長ー! また塀の上に居るんですか? 危ないですよー!」
瀞霊廷に慣れだしてからというもの、気付けば塀の上を歩いている平子隊長。
何度注意してもやめないので心配が絶えない。
下りるように促すが、クォリティの高いあっかんべーで却下されてしまい、思わず溜息を吐いた。
「だーれが、オマエの言うこと何か聞くかいな!」
身長通りのお子様加減である。
「落ちたら危ないんですよ?」
「落ちたりなんぞせんわ!」
「足を滑らせたら?」
「足滑らすわけ……あっ」
それ見た事か。
瓦で草鞋が滑った平子隊長は、数度よろめいて、遂に中空に投げ出された。
真下に居た私は思わず、受け止めようと両手を広げて伸ばす。
上手く、腕に収まる。
そう確信した時、こちらを向いて落ちてきた平子隊長の顔が、ミサイルの如く、思い切り私の顔に衝突した。
「っ……!!」
これは互いに大打撃。
私は平子隊長を抱えたまま、二人して道に倒れ込み、顔を押さえた。
痛みに呻きながらもチラリと見た平子隊長は、鼻あたりを押さえつつ、額と唇の端から血を垂らしている。
私も恐らく似たようなものだろう。顔を覆う手がぬるりと生暖かい。
と、そこで異変に気付いた。
子供サイズの筈の平子隊長が、やけに重い。
再び顔を見る。
「なんやねん」
肩甲骨辺りまでだった髪は背を柔らかに流れ腰まで届き、幼さのある顔立ちはすっかり男性のそれへ変貌している。
「ひ、平子隊長……」
「隊長て、誰がや」
キョトンとした顔で私を見る隊長は、隊長呼びに慣れているようには見えない。
よく見れば、体格もあの頃より幾分小さく、少年といったところか。
「何や、調子がおかしいわ……。頭がスッキリしたような、もやもやするような……」
また記憶を無くしたわけではなさそうだ。
寧ろ、新たに得て混乱しているのかもしれない。
「平子隊長、手当も必要ですし、隊舎へ戻りましょう」
せやから何や隊長て〜。と問う隊長を無視して、兎に角隊舎まで急ごうと手を引いてズンズン歩く。
涅隊長に経過報告をしなければ。