死神代行消失篇
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御布団に帰りたい
「おっそいのォ。あんまり遅いから、雪が積もってもーたわ」
無理矢理義骸に突っ込まれ、御洒落をさせられた私は、浦原商店前にて現地集合を果たした。
浦原商店前の電柱に凭れかかって文句を言う平子隊長は、グレーのコートに白のマフラーをぐるぐる巻いて、寒そうにハンチングを目深に被り直している。
コートから覗く、スラっとした
そして私も"御洒落"によって、この寒さをダイレクトに体感している。
「……今すぐ、今朝の温かい御布団に帰りたいです」
「今、俺の格好良さにときめいたやろ?」
「話聞いてます? 寒さで眠りました? 寝ると死にますよ、平子隊長」
ニヤニヤと白い歯を見せて笑う平子隊長。
ハッタリと分かってても見透かされた気がしてドキリとした。
確かに、格好良い。
しかし、悟られぬように真顔を更に真顔にする努力をしてしまう。
「しれーっとした顔してても無駄やで? 俺には分かんねやから」
ふっと笑った平子隊長は、矢鱈と御機嫌で、私の憎まれ口も聞こえていないらしい。
いつもの手刀が飛んでこないことが少し不安になる。
「寝言は良いので、早く御店に……」
さらりと。
久しぶりに下ろした髪が骨張った冷たい手に撫でられた。
気持ちは半歩下がるが、身体は縫い止められた様にピクリとも動けない。
そのまま、猫背をもう少し折り曲げた平子隊長が
「……紫游も可愛いで」
ポーカーフェイスも何も、貴方には意味がない。
何事も無かった様な足取りで店へ向かう隊長の三歩後ろを、足元だけ見て付いて行った。
囁かれた甘く低い声が耳から離れない。
真っ赤な顔は揶揄われないためにマフラーに隠しておく。