死神代行消失篇
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炬燵と蜜柑
そうして気付いたら紫游ちゃんはスヤスヤ眠っていた。
「あーあ、こないなとこで寝たら風邪引くで〜」
炬燵の天板に俯せたまま、蜜柑を片手に寝てしまった彼女の背を、支えて座布団の枕に横たえる。
変わる態勢に呻く紫游ちゃんが、寝返りを打ってふにゃりと笑った。
こんな幼い顔で、短い間といえども隊長を熟したんやなぁ。
「ああ……」
そういえば自分は、紫游ちゃんを"隊長"と呼んだことがない。
思い出せば小さな遊び心が擽られ、自然と口角が上がった。
「犀峰隊長。えらいおおきに、有難う御座いました」
言ってから、つい口許を手で覆う。
歳の近い姉の様に接していた所為もあり、改まって丁寧に御礼を言うとどうにも気恥ずかしい心地がする。
百年間は、姉どころか妹みたいやったしなぁ……。
「……ギンちゃん、可愛いねぇ」
恥じらいに目を伏せて居ると、急に名を呼ばれてハッとした。
「起きてた……ん」
ただ、それはどうやら寝言の様で、規則的な呼吸を繰り返す姿に、ふぅと息を吐いて胸を撫で下ろす。
「……紫游ちゃんは、やっぱり紫游ちゃんやね」
"私はギンちゃんも乱ちゃんも泣かずに済むようにしたい"
"乱ちゃんが取られたのは魂魄じゃあなくて……ギンちゃんだと、私は思うよ"
ボクを助けてくれた"隊長"に、ボクは何が出来るやろう。
そう思いながら、寒さに丸まる紫游ちゃんに炬燵布団を肩まで掛け直した。
「あ、涎」