死神代行消失篇
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千々に乱れる
泣きたくて、嬉しくて、悲しくて、愛おしくて、切なくて、楽しくて、苦しい。
ありとあらゆる感情がごちゃ混ぜで、引っ切り無しに私の心を引っ張って千切って捏ねて。
ごちゃごちゃだ。
としか言い様が無い。
午後からの職務の為に執務室に戻る平子隊長を見送った後、すっかり平子隊長の私物に染まった隊首室の戸口で崩れ落ちた。
平子隊長から逃げたかったのに、放り込まれたのは、どこもかしこも平子隊長の匂いのする隊首室だなんて、こんなの拷問だ。
折角帰って来ても、こんな情け無い姿では、五席にもみんなにも会えない。
「宴会しようって、約束したのにな……」
あの人にかかったら、大切なものを守りたくて必死に理性的に生きた百年間の私の精神は、あっという間に焼野原。
ぐずぐずに燃え尽きた今の精神状態なら詩人にだってなれそうだ。
それくらいに、この百年で私は恋を拗らせていた。
どうせなら戦っている方が余程か楽だ。
恋なんて、総隊長の炎熱地獄を浴びた時より、熱くて痛いとすら思う。
眺めているだけなら、それは冬の日向の様に暖かくて柔らかい。
でも、触れてしまえば、冷えた手にはただの痛みにしかならないのだ。
「……ははは。こんなの、似合わないなぁ……」
"愛に触れると誰でも詩人になる"
誰の言葉だっけ。
「私は"弱虫は幸福すら恐れる"がぴったりだ」
帰って来るまでは彼岸花に会うつもりでいたのに、今の私では精神統一も何もあったものではない。
短い間とはいえ、よくもまあ隊長に就けたものだ。この有様を知れば総隊長は隊長職なぞ任せなかっただろう。
冷静になろうとしたところで、平子隊長が居ればそれは全て水泡に帰す。
こんな私が、貴方を好きだなどと、どうして言えようか。