その他短編
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気付いたら血の海に立っていた。
何故、消えるくせに血は出るのだろう。
振り返った先で消えていく母の身体を眺めながら、私はただそう思っていた。
林を駆け抜ける私の後ろから、四人の男が追って来る。
何を言っているのかすら分からぬ彼等の怒声がただ不快だ。
それに比べたら、裸足の足に小枝が刺さることなど全く気にはならない。
背後で、男達の草を踏みつける音が乱れる。脚の遅い者が、いよいよ遅れ始めたらしい。
息を吸い、
踵を返して、
私は先頭の男の喉笛に喰らい付いた。
「お、あ、ぁが……」
意味も理解出来ない間に喉を無くした男は、目を見開いたまま、言葉とも唸りとも付かない音を上げて倒れる。
遅れて追い付いた残りの三人は、その惨状を見て、腰を抜かす者と逃げる者に別れ、腰を抜かした一人は気を失った。
「……いただきます」
静けさの戻った林の中で、肉の引き千切れる音が、葉の擦れる音に紛れて消えていく。
木陰にはピクリともしない髭面の男が右半身から血を流して倒れ、その傍らには行儀良く正座をした白髪の子供。
子供は死体を冷めた目で見下ろす。
まだ新鮮な男の身体は、千切れた箇所から圧力の少ない体外へ血を排出し続けている。
「こいつ、あまり美味くない……」
男の右上腕まで食べ進めた小さな子供は、既に元の色が分からない程に殷く染まった着物の袖で、そっと口元を拭った。