ハーブティー
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闇夜に浮かぶあの姿が、日を追うごとに丸みを帯びていく。
瞬く星達もさんざめくばかりで、こちらを見向きもしない。
まるで、私をあざ笑うかのように……。
本日の授業も夕食も終えて、あとは自室に戻って休むだけ。
けれど、一日の終わりを快く迎えることができないのは、天から私を見下ろすアレのせいか……。
今の私の気持ちを表すのは、憂鬱という一言に尽きる。
冷気漂う廊下を、生徒達の声を背中にゆっくりと歩いていた。
薄暗い中を歩く私に気付く者なんて、誰もいない。
……そうだ、温かい紅茶を飲もう。
心が落ち着くハーブティーでもあれば、心地よく眠れそうだ。
小さな楽しみを見つけて、自室へ向かう足取りが先ほどよりも軽くなる。
パタパタと軽い足音が聞こえてきたのは、その直後だった。
「……先生! ルーピン先生!」
名を呼ばれて振り向くと、女生徒がこちらへ走ってきていた。
少女とも女性とも言えない成長過程の彼女は、愛くるしい大きな瞳をこちらに向けて、頬を染めながら微笑む。
「やあ、ナエ。消灯時間はもうすぐだよ。こんな時間に出歩いて、怖い狼に会ってしまったらどうするんだい?」
「フフ、大丈夫ですよ。先生が狼だとしても、私は怖くありません!」
的を得ているような、外しているような。
曖昧な彼女の答えに、思わず笑顔が堅くなってしまう。
……本当に危険なのに。
明日になれば、私はもう君の知る私ではなくなるよ。
私がそんなことを考えているなんて微塵も思っていない顔で、ナエは微笑む。