第2.5章 二人の遠出~温泉旅行編~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
長い入浴を終えて身支度を整え、りおは脱衣所を出ると休憩スペースへと向かった。
休憩スペースはまだ新築の匂いがする。丸太で作ったベンチやテーブルがいくつか置かれ、壁際には観光名所のパンフレットが陳列されていた。
先に身支度を整えた赤井は、ベンチに腰掛けて冷えたミネラルウォーターを飲んでいる。
「りお、大丈夫か? ほら、ミネラルウォーター。良く冷えているぞ」
ありがとうと言ってそれを受け取る。
蓋を開けるとパキッといい音がした。
「はぁ~~~!」
ごくごくとのどに一気に流し込み、やっと一息ついた。
入浴してサッパリしたのと行為後の気怠さと。
りおは思わずベンチにごろりと横になる。
「疲れたか?」
赤井が心配そうに声をかけた。
「ん~…。少しだるいだけ。横になっていればそのうち復活するわ」
「すまん。無理させた」
首にタオル掛けたまま、少しシュンとした顔で赤井が謝った。
「別に秀一さんのせいじゃないわ…。私も…その…夢中に…なっちゃったし…」
恥ずかしさでフイッと顔を背ける。
やや困ったような…照れているような顔をして、目を泳がせた。
カワイイ仕草に「ふふッ」と赤井が笑う。
「そんなカワイイ事をされるとまた襲いたくなる」
「え!? 今のどこに襲いたくなる要素があったの?」
驚いたりおはガバッと体を起こした。
「これ以上はホント無理だからね!」
やや引きつった顔をして赤井からわずかに距離を取る。
「ムリムリ!」と小さく何度も首を横に振る姿は、なんだか幼い子どものようだ。
「ふふふ。お前といるとホント飽きないな」
クスクスと笑う赤井を見て、りおは思わず口を尖らせた。
「もう! 秀一さんいつまで笑ってるの?! ……もういい加減……ふっ…ふふふ」
赤井があまりにも楽しそうに笑うので、りおも思わずつられて笑ってしまう。
(良い笑顔だな)
昨日までは暗い顔をしてほとんど表情が無かったのに。
今日はまるで百面相でもしているかのように表情をクルクル変える。
そうやって怒ったり笑ったりしている時の顔が一番好きだ、と赤井は思った。
「変装しないの?」
再び水に口をつけながらりおは訊ねた。
「汗が引かないから変装出来ないんだ。このままじゃウイッグの中が汗まみれだよ。せっかく風呂に入ったのに」
(ああ確かに……)
いつもは涼しい顔をしている赤井が汗だくになっていた。
「ヤラシーことするから…。普段だって秀一さんこんなに長湯しないのにね」
「お前と一緒に入る時は大抵長湯だぞ」
「ぶッ!! ゴホッゴホッゴホッ!!」
しれっと言われてりおがむせた。
「今日のお前は笑ったり怒ったりむせたり…忙しいな。大丈夫か?」
忙しくさせているのはいったい誰よ! と心の中でツッコミを入れながら、りおはゴホゴホと喉の調子を整えた。
備え付けの扇風機の前で汗が引くのを待つ間、赤井は持ってきた雑誌を広げた。
「ここを出たら、このままハイキングコースへ行ってみるか? 東屋まで行けば絶景スポットがあるらしい」
「うん。せっかく来たんだから行ってみたい」
「さっきだるいって言ってただろう。それに腹の傷も、まだ完全に痛みがなくなったわけでは無いだろう? 結構歩くぞ。大丈夫か?」
「休みながら行けば大丈夫だよ」
「りおの『大丈夫』は怪しいからなぁ…」
「ちぇっ! 信用ないなぁ…まあ、いざとなったら秀一さんにおんぶしてもらえば良いや。
私のなけなしの体力を奪ったのも秀一さんだし」
「…確かにそれは否定しないが…。この山道でおんぶか…。 ちょっと考えさせてくれ」
「え~。そこは『任せておけ』でしょ~…」
いつもの様にテンポの良い会話をしているうちに汗も引き、赤井から昴へと変装を終えると二人は小屋を後にした。