第1章 ~運命の再会そして…~
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「確かに完璧な作戦ですが…」
昴が口を挟む。
「エンジェルダストは組織内でもトップシークレットなはず。幹部であるあなた達にも情報は降りてきていないのでしょう?
だとしたら、エンジェルダストのみを狙った爆破は情報の漏洩を疑われます。組織内でエンジェルダストとは知らなかったとはいえ、それと直接接点があったのは誰でしたっけ?」
「バーボンとラスティー…」
さくらが小さくつぶやいた。
「そうです。観察力・洞察力ともに優れたお二人がエンジェルダストと接点がある。情報はそこから漏れた…とジンが考えてもおかしくない。
安室さんやさくらがその後も組織に潜入し続けるためには、疑惑が残るやり方は避けたいところですね」
「う~ん…確かに…」
さくらが黙り込んでしまった。
「ただ、ギムレットが爆破したのなら、『ギムレットの呪い』とでも言われて、お二人に疑惑の目が向くことは無いかもしれません」
どうやら昴に何か策があるらしい。
「ギムレットの呪い?どういうことですか?」
さくらが不思議そうに訊ねた。
「実はさくらの作戦を聞いていて思いついたんです」
そう言うと昴はコナンのスマホを「ちょっと貸して」といって操作した。
実はFBIからのメールは赤井とコナンの両方に同じ内容が送られている。コナンのスマホには、まだ開いていないジョディからのメールがあった。つい先ほど届いた
ものらしい。
「先ほどコナンくんのメールを覗き見してて気づいたんですよ」
昴は白々しく前置きをする。
(自分のスマホで読んだくせに…)
コナンの表情は引きつっていた。
「FBIの調査によれば、ギムレットは生前何度かラオスの工場に足を運んでいるようです。そこには組織も把握していない隠し部屋があり、PCも発見されたそうです。
中を調べたところ、自分にもしものことがあった場合、すべてを灰にするといった内容の計画が詳細に記されていました。自分の作ったエンジェルダストを闇に葬る計画を」
「ええ?!」
全員が驚きの声を上げる。
「もちろん、その計画の途中で彼は死んでしまいましたが…。しかし、彼もさくらと同じ計画を立てていたようです。
150㎏もあるエンジェルダストを確実に灰にするには、さくらが説明した方法が一番手っ取り早いですから」
「まあ…彼の残したメモだけでは、爆破する場所がエンジェルダストの生産工場なのか、それとも保管場所なのか、もしくは両方か…そこまでは割り出せなかったようですがね」
「そ、それじゃあ、ギムレットが爆破の準備を密かにしいたかもしれないってこと?」
コナンは驚きを隠せない。
「ええ、そうです。その計画をうまく使えば、こちらは最小限の危険でエンジェルダストを焼却処分できます」
「でも、万が一の時って自分が死んでから作動させるってことでしょう? 一体どうやって?」
さくらがさらに訊ねた。
「アラームと同じですよ」
昴がニッと笑った。
「アラーム?」
「彼が決めた日時がセットされているんです。生きていればその時だけ解除する。時間が過ぎたら再びセットする。自分が死んでいれば解除する者がいないので、ドカンです」
「じゃあ、そのセットした日時は?」
「5日後の8月9日午前0時です」
「5日後?!」
「もちろん仕掛けは出来上がっているようですが、完成はしていないので現時点では爆発しません」
「どうすれば完成になるんですか?」
「ギムレットが作ったコンピューターウィルスをPCに感染させれば準備OKですよ。USBを使って直接PCに取り込ませる必要がありますが」
そこまで言うと昴は黙ってしまう。
「さくら…やりますか?」
その問い掛けにさくらは勢いよく顔を上げる。
「やります」
昴はさくらの返答を聞き、一度ため息をつく。
「あなたならそう言うと思いました。私もサポート役でご一緒します」
ここから昴は皆に指示を出していく。
「爆破の規模が正直わかっていません。場所が東京のど真ん中だということを考えると……安室さん、万が一に備えて秘密裏に周辺の交通規制を行ってもらってもいいでしょうか?」
「分かりました。手配します」
降谷は即答する。
「阿笠博士と哀さんにはギムレットが作ったウィルスを調べてもらいます。当日扱いやすいようにしてください」
「了解じゃ」
「あと、これが本社ビルの詳細な設計図です。通気口も載っています。1階の警備部までは私もあなたと一緒に行きます。
ただ地下へ降りる通気口は狭いため、さくらしか行けません」
大きなビルの設計図をテーブルに広げた。
「地下2階にあなたが着いたところで、私は警備部のPCをジャックします。防犯カメラはこちらで掌握しますので、その間に工場内に入り、ウィルスに感染させてください」
「分かりました」
「上に上がる通気口まで戻ったところで警備室のカメラは元に戻します。簡易のものですが避難ばしごを降ろすので、1階まで登ってきてください。その後は二人で脱出です」
マジックで警備部の位置と通気口、そして侵入口などに次々印を付けていく。
「詳細は分かりました。決行日は?」
「爆破の前日夜ですね。その日はちょうど製薬会社の新薬合同開発のため、都内のホテルでパーティーがあります。
そのため社長はもちろん、主要役員もそちらに行くのでビル内の人が少なくなります」
「グッドタイミングね」
ギムレットはなぜこの日を選んだんだろう。さくらは彼が死ぬ前に呟いた『カナ』と『アンバーの瞳…似てる』いうキーワードが引っかかっていた。
この日を選んだことと関係あるのだろうか…
今となっては知る由もなかった…。