第1章 ~運命の再会そして…~
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組手でかいた汗を流すため、シャワーを浴び、二人で昼食の準備をしている時、昴のスマホに電話がかかってきた。
降谷からだ。
2週間近くサカモト製薬の内情とサカモトケンジの行動確認を行い、ある事実が判明する。
サカモト製薬の現社長、つまりケンジの父は、りおが以前潜入していた「ケンバリ」のNO2だったこと。
りお達潜入捜査官の働きで組織が壊滅状態になった時、いち早く仲間を捨て組織の金目の物を奪い、逃げていたこと。
それを元手に日本に元々あった製薬会社を買収し、表向きは製薬メーカー、裏では麻薬王として暗躍していたのだ。
そして息子を黒の組織へ送り込んで手を組み、エンジェルダストを世界に広めようとしていた。自分の私利私欲のために。
ギムレットは元々研究者としては優秀であったが、性格に難が有り、黒の組織でも手を焼いていた。
薬が完成したら消されることになっていたが、その事に気付いた彼は自身のレポートを隠してしまったのだ。
つまり、現在組織が持っているエンジェルダストは生前ギムネットが作ったもののみ。しかもレポートを隠したのはギムレット本人だという事が分かる。
ケンジたちがレポートだと思っていたものは、ギムネットが用意した偽物だった。彼らがそれに気付いたのは、ギムネットの死後しばらくしてからだった。今、血眼になってレポートを探しているらしい。
その夜———
昴、コナン、博士、哀、さくら、そして降谷の6名が工藤邸に集まった。
先の降谷(公安)からの報告に加え、FBIからの報告も伝える。
それによると、黄金の三角地帯には大小1000ヶ所以上の麻薬や危険ドラッグの違法工場が立ち並ぶという。
その中でサカモト製薬から金が流れているのは10ヶ所ほどだった。
また、エンジェルダスト購入を打診しているのは、中東の国に2カ国。アフリカで2カ国。
国ではなく、「組織」としては3つほどが名乗りをあげている。
中東やアフリカでは密かに大規模なテロを計画しており、国内外の組織は自国の暴力団同士の抗争を裏で操るために購入を考えているようだ。
それらの取引で必要な総量はおよそ200kg
組織のメインコンピューターからコピーした報告書によれば、具体的な工場の名前は入っていなかったものの、いくつもの工場で生産された訳ではなく、エンジェルダストは全て1ヶ所で生産されていたようだ。ギムネットの名前で生産量の報告が上がっていた。その量は150kg。そのすべてが生産された工場敷地内で厳重に管理されているという。
つまり現在必要量に50kg足りないことになる。ジンとしてはなんとしてもレポートが欲しいのだろう。
「まずはギムレットのレポートだが…」
昴が口火を切る。
「ああ。ギムレットの死後しばらくして、サカモト製薬で保管していたレポートが偽物だと気付いたらしい」
降谷が昴の方へ視線を向け、説明を始める。
「ギムレットが死んだ1週間後にジンと接触した時は、すでにレポートは掌握していたので焦ってはいなかった。むしろ消す予定でいたヤツを始末できたことにご満悦だったよ。だがしばらくして、手に入れていたレポートが偽物だったと気付き、ジンは相当焦っていた。
サカモト達に圧力をかけたようだ。3ヶ月以内にレポートを見つけ出し、必要量を確保しろと。さもなくば皆殺しだと息巻いていた」
それを聞いてさくらが口を開く。
「ギムレットは相当頭のキレる男だったから、簡単に見つけることはできないと思うわ。おまけに性格も異常だったから、誰も考えつかない所に隠している可能性が…」
「とにかく組織のやつらより先にレポートを見つけなくちゃならないってことだよね」
コナンは考え込んだ。
ここ数週間、サカモト達研究者が血眼になって探しているが見つからないレポート…。
(俺たちがどうやって探せばいいんだ…)
「ねえ」
さくらがコナンに声をかける。
「レポート探しはサカモト達にお任せして、ギムレットが作っていた150kgのエンジェルダストを全て灰にしてしまうっていうのはどう?」
やや悪戯っぽい笑顔を見せる。
「確かに。専門家が数週間かけて捜索して見つからないのですから、我々にそれを見つけられる可能性は低い。
だったらその間にガードの甘くなっている工場を攻め、奴らの焦りをさらに大きくする。名案ですね」
昴が賛同した。
「工場の特定は可能ですか博士?」
さくらが博士の方へ視線を向ける。
「エンジェルダストの精製状態を調べられれば可能かもしれん。工場の生産能力によって精製の純度も変わるからのう」
「それならすでに科捜研によって調査が済んでいます」
降谷が応えた。
「黄金地帯の工場で作られた麻薬も、現地警察が押さえてるってジョディ先生が言ってたよ」
コナンも続けて報告した。
「それなら話は早い!」博士は笑顔だ。
「……」
博士の明るい声とは正反対に、さくらは何か考え事をしている。その様子をみてコナンが訊ねた。
「さくらさん、どうしたの?」
「うーん…。ちょっと腑に落ちなくて…」
さくらは膝をつきコナンと目線を合わせると、また少し考え込む。
「降谷さん、中国系マフィアと組んだ暴力団が、組織と取引したのがエンジェルダストだったんですよね?」
「ああ。まあ、後にラスティーとバーボンが警察介入を知らせて、すり替えを行ったがね」
降谷がニヤリと笑う。
「それなら、そのエンジェルダストは暴力団を通してマフィアに届くはずだった…と考えるべきですよね? あんなもの、日本の一暴力団に必要な物とは思えない…」
さくらは口元に手を当てるとまたしばし考え込んだ。