最終章 ~未来へ向かって~
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店のカウンター前まで来ると、二人は立ち止まる。集まった人たちに深々と一礼した。赤井は一瞬だけりおと目を合わせ小さくうなずく。再び視線を前に向けた。
「今日は私たち二人のためにお集まりいただき、ありがとうございます。本来であれば、私たちを支えてくれた多くの友人や家族に報告をしなければならないことですが、組織壊滅までの道はまだ長く、それも叶いません。
それでもこの先の人生、りおと二人で生きていくと決めました。まだ未熟な私たちが危険を伴う任務の中、どこまでやれるか分かりません。
どちらかが倒れる事があるかもしれない。でも……二人でいることのリスクよりも、私たちは二人でいることのメリットの方が大きいと判断しました。
私たちは互いの手を取り合って、この先の困難に立ち向かう。どうか温かく見守ってください」
普段人前では無口な赤井が、自分の偽らざる気持ちを言葉にする。周りからは大きな拍手が巻き起こった。
「あ、赤井さん……」
キャメルが涙ぐみながら誰よりも大きな拍手を贈る。その隣でジョディもそっと自分の目元を押さえた。
「それではこれから、皆様の前で二人の結婚の誓いを行います」
拍手が止むのを待って、ルークが二人の後ろに立つ。赤井とりおはゆっくりとルークの方へ体を向けた。
「赤井秀一。あなたは広瀬りおを妻とし、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り——」
ルークが静かに誓いの言葉を紡ぐ。最後に「誓いますか?」と問いかけられ、赤井のペリドットの瞳がスッとりおの方へ向いた。
「はい、誓います」
赤井の低く落ち着いた声が響く。ルークがそれを聞いて微笑んだ。そして同じ誓いの言葉を今度はりおに問いかけた。
「はい、誓います」
今度はりおのアンバーの瞳が赤井を見上げ、微笑んだ。
「それでは、二人の誓いの証として指輪の交換を」
ルークはリングピローに載せられた指輪を差し出す。赤井が小さい方の指輪を手に取り、りおの左手薬指にはめた。
続いてりおが指輪を手に取り、赤井の左手薬指にはめる。
「では、誓いのキスを」
ルークの言葉を聞いて、真新しい指輪のはまった赤井の手がりおのベールにかかる。そっとベールアップして二人は見つめ合った。
「愛してるよ、りお」
「私も愛しているわ、秀一さん」
お互いの瞳を見つめ愛の言葉と共に、唇が重なる。
その瞬間、盛大な拍手とクラッカーが鳴らされた。
***
一通りの儀式が終わり、乾杯の合図と共に料理とアルコールが振る舞われた。立食スタイルの店内はさまざまな料理が並び、それぞれ舌鼓を打ちながら談笑している。
りおと赤井はそれぞれ世話になった人たちのテーブルを順番に回り、挨拶をしていた。
「今度こそ……本当に手が届かなくなってしまったな」
グラスを手にした降谷が、りおに声をかけた。
「そう簡単に落ちないですよって言ったじゃないですか」
降谷のいるテーブルに近づいたりおは降谷を見るとクスクスと笑った。
「確かにな。隙すら作ってもらえず、僕にはチャンスなんてこれっぽっちも回ってこなかったよ」
完敗だな、と降谷は笑う。そう言いながらも降谷自身、最初から分かっていたことだった。
バーボンとラスティーとしてC国に乗り込んだ日からずっと——。
赤井とりおの間には、他人には入り込めない絆があり、そこに割り込むことなど到底無理だった。
それでも降谷は諦めきれなかった。りおの聡明さと、危うさと、優しさ。手には決して入らないと分かっていながらも、降谷はずっとりおのことが好きだった。
「まさか、あの赤井が《結婚》という形でケジメを付けるとは思わなかった。アイツは意外と頭が堅いから、組織のことが片付かなければ君との関係は保留のままだと思っていたよ」
グラスに残っていたシャンパンを飲み干し、降谷はふう、と息をついた。
「アイツがこの結論に至った理由は……おそらく君が生死不明になったことだろうな。なんにせよ、君たちはきちんと答えを出した。これでようやく諦められるよ」
少し寂しげに、しかしどこかスッキリした顔で降谷はりおを見る。
「きっとヒロも……天国で『おめでとう』って言ってるはずだ」
「ッ!」
りおはハッと顔をあげた。降谷の顔に諸伏の笑顔が重なる。
「はい」
りおは涙を浮かべながら微笑んだ。
降谷はシュワシュワと気泡が弾けるシャンパングラスをりおに一つ差し出す。自分の空いたグラスにもシャンパンを注いだ。
「君の幸せと、僕の失恋。そしてあっちで僕達を見守っている友に」
「「乾杯」」
二人のグラスが「キン」と乾いた音を立てる。降谷はニコリと笑うと、それを一気に飲み干した。
りおと降谷が話をしている、ちょうどその頃——。
酔った冴島が赤井の肩に腕を回し、盛大に絡んでいた。何度も「赤井くん、りおを頼む」と言っては涙を流す。それはまるで『娘を嫁に出す父親』そのものだ。
「赤井くん! りおは今まで散々つらい思いをしてきた。君は、君だけは、あの子を悲しませるようなことは——」
「え、ええ。もちろんです。彼女を悲しませるようなことはしません」
「ホントだな!? もし裏切ったら、俺は地獄の底まで君を追いかけて——」
「おいおい、冴島くん。君までそっちに行ってしまっては、りおくんが……」
「ジェームズは黙ってて! いいか、赤井くん! 俺はな——」
「は、はい…」
「……さ、冴島…教官……?」
絡む冴島のすぐ横で、【鬼の冴島】を知る風見がドン引きしていた。
風見が警察学校にいた頃、冴島は校内で1,2を争う厳しい教官だった。が、有事の時は全力で学生を守るダンディでカッコいい教官だと評判だった。
そんな冴島の絡み酒を見て、風見はあんぐりと口を開けたまま固まってしまう。
そんな風見をジョディが「あ~……」と何かを察したように一歩引いた目で見る。
すっかりグダグダになった冴島を、ジェームズとキャメルが一生懸命なだめた。
「赤井さん、結婚おめでとう」
大人たちの泣いて笑っての騒ぎの中、コナンが赤井に声をかけた。
「ああ、ボウヤ。ありがとう」
周りのフォローのおかげもあって、ようやく冴島から解放された赤井が身を屈めて微笑んだ。
「今日、こうやって【けじめ】を付けられたのはボウヤのお陰だな。君の助言が無ければ最後の一歩は踏み出せなかったよ」
テーブルの上のソフトドリンクをコナンに手渡し、赤井が礼を言った。
「あれは灰原の受け売りだよ。でもアレを言われた時ボクもハッとしたんだ。アイツは家族の死を知ってる。だからこそ、ああいう言葉が出たんだって」
宮野明美が息を引き取る瞬間のことを思い出し、コナンが下を向く。そんなコナンの頭に赤井が優しく手を乗せた。
「悲しいことも嬉しいことも、この先たくさんあるだろう。君たちのお影で俺たちは二人でそれを分かち合う決心がついた。ありがとう」
クシャリと頭を撫でられて、コナンは赤井を見上げる。
優しくコナンを見つめるペリドットの瞳は、いつもより何倍もキレイだった。
こうして——
二人の正体を知るごく限られた人々の前で、二人の結婚式は密かに、そして和やかに執り行われたのだった。
「今日は私たち二人のためにお集まりいただき、ありがとうございます。本来であれば、私たちを支えてくれた多くの友人や家族に報告をしなければならないことですが、組織壊滅までの道はまだ長く、それも叶いません。
それでもこの先の人生、りおと二人で生きていくと決めました。まだ未熟な私たちが危険を伴う任務の中、どこまでやれるか分かりません。
どちらかが倒れる事があるかもしれない。でも……二人でいることのリスクよりも、私たちは二人でいることのメリットの方が大きいと判断しました。
私たちは互いの手を取り合って、この先の困難に立ち向かう。どうか温かく見守ってください」
普段人前では無口な赤井が、自分の偽らざる気持ちを言葉にする。周りからは大きな拍手が巻き起こった。
「あ、赤井さん……」
キャメルが涙ぐみながら誰よりも大きな拍手を贈る。その隣でジョディもそっと自分の目元を押さえた。
「それではこれから、皆様の前で二人の結婚の誓いを行います」
拍手が止むのを待って、ルークが二人の後ろに立つ。赤井とりおはゆっくりとルークの方へ体を向けた。
「赤井秀一。あなたは広瀬りおを妻とし、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り——」
ルークが静かに誓いの言葉を紡ぐ。最後に「誓いますか?」と問いかけられ、赤井のペリドットの瞳がスッとりおの方へ向いた。
「はい、誓います」
赤井の低く落ち着いた声が響く。ルークがそれを聞いて微笑んだ。そして同じ誓いの言葉を今度はりおに問いかけた。
「はい、誓います」
今度はりおのアンバーの瞳が赤井を見上げ、微笑んだ。
「それでは、二人の誓いの証として指輪の交換を」
ルークはリングピローに載せられた指輪を差し出す。赤井が小さい方の指輪を手に取り、りおの左手薬指にはめた。
続いてりおが指輪を手に取り、赤井の左手薬指にはめる。
「では、誓いのキスを」
ルークの言葉を聞いて、真新しい指輪のはまった赤井の手がりおのベールにかかる。そっとベールアップして二人は見つめ合った。
「愛してるよ、りお」
「私も愛しているわ、秀一さん」
お互いの瞳を見つめ愛の言葉と共に、唇が重なる。
その瞬間、盛大な拍手とクラッカーが鳴らされた。
***
一通りの儀式が終わり、乾杯の合図と共に料理とアルコールが振る舞われた。立食スタイルの店内はさまざまな料理が並び、それぞれ舌鼓を打ちながら談笑している。
りおと赤井はそれぞれ世話になった人たちのテーブルを順番に回り、挨拶をしていた。
「今度こそ……本当に手が届かなくなってしまったな」
グラスを手にした降谷が、りおに声をかけた。
「そう簡単に落ちないですよって言ったじゃないですか」
降谷のいるテーブルに近づいたりおは降谷を見るとクスクスと笑った。
「確かにな。隙すら作ってもらえず、僕にはチャンスなんてこれっぽっちも回ってこなかったよ」
完敗だな、と降谷は笑う。そう言いながらも降谷自身、最初から分かっていたことだった。
バーボンとラスティーとしてC国に乗り込んだ日からずっと——。
赤井とりおの間には、他人には入り込めない絆があり、そこに割り込むことなど到底無理だった。
それでも降谷は諦めきれなかった。りおの聡明さと、危うさと、優しさ。手には決して入らないと分かっていながらも、降谷はずっとりおのことが好きだった。
「まさか、あの赤井が《結婚》という形でケジメを付けるとは思わなかった。アイツは意外と頭が堅いから、組織のことが片付かなければ君との関係は保留のままだと思っていたよ」
グラスに残っていたシャンパンを飲み干し、降谷はふう、と息をついた。
「アイツがこの結論に至った理由は……おそらく君が生死不明になったことだろうな。なんにせよ、君たちはきちんと答えを出した。これでようやく諦められるよ」
少し寂しげに、しかしどこかスッキリした顔で降谷はりおを見る。
「きっとヒロも……天国で『おめでとう』って言ってるはずだ」
「ッ!」
りおはハッと顔をあげた。降谷の顔に諸伏の笑顔が重なる。
「はい」
りおは涙を浮かべながら微笑んだ。
降谷はシュワシュワと気泡が弾けるシャンパングラスをりおに一つ差し出す。自分の空いたグラスにもシャンパンを注いだ。
「君の幸せと、僕の失恋。そしてあっちで僕達を見守っている友に」
「「乾杯」」
二人のグラスが「キン」と乾いた音を立てる。降谷はニコリと笑うと、それを一気に飲み干した。
りおと降谷が話をしている、ちょうどその頃——。
酔った冴島が赤井の肩に腕を回し、盛大に絡んでいた。何度も「赤井くん、りおを頼む」と言っては涙を流す。それはまるで『娘を嫁に出す父親』そのものだ。
「赤井くん! りおは今まで散々つらい思いをしてきた。君は、君だけは、あの子を悲しませるようなことは——」
「え、ええ。もちろんです。彼女を悲しませるようなことはしません」
「ホントだな!? もし裏切ったら、俺は地獄の底まで君を追いかけて——」
「おいおい、冴島くん。君までそっちに行ってしまっては、りおくんが……」
「ジェームズは黙ってて! いいか、赤井くん! 俺はな——」
「は、はい…」
「……さ、冴島…教官……?」
絡む冴島のすぐ横で、【鬼の冴島】を知る風見がドン引きしていた。
風見が警察学校にいた頃、冴島は校内で1,2を争う厳しい教官だった。が、有事の時は全力で学生を守るダンディでカッコいい教官だと評判だった。
そんな冴島の絡み酒を見て、風見はあんぐりと口を開けたまま固まってしまう。
そんな風見をジョディが「あ~……」と何かを察したように一歩引いた目で見る。
すっかりグダグダになった冴島を、ジェームズとキャメルが一生懸命なだめた。
「赤井さん、結婚おめでとう」
大人たちの泣いて笑っての騒ぎの中、コナンが赤井に声をかけた。
「ああ、ボウヤ。ありがとう」
周りのフォローのおかげもあって、ようやく冴島から解放された赤井が身を屈めて微笑んだ。
「今日、こうやって【けじめ】を付けられたのはボウヤのお陰だな。君の助言が無ければ最後の一歩は踏み出せなかったよ」
テーブルの上のソフトドリンクをコナンに手渡し、赤井が礼を言った。
「あれは灰原の受け売りだよ。でもアレを言われた時ボクもハッとしたんだ。アイツは家族の死を知ってる。だからこそ、ああいう言葉が出たんだって」
宮野明美が息を引き取る瞬間のことを思い出し、コナンが下を向く。そんなコナンの頭に赤井が優しく手を乗せた。
「悲しいことも嬉しいことも、この先たくさんあるだろう。君たちのお影で俺たちは二人でそれを分かち合う決心がついた。ありがとう」
クシャリと頭を撫でられて、コナンは赤井を見上げる。
優しくコナンを見つめるペリドットの瞳は、いつもより何倍もキレイだった。
こうして——
二人の正体を知るごく限られた人々の前で、二人の結婚式は密かに、そして和やかに執り行われたのだった。