最終章 ~未来へ向かって~
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離島での施設爆破から二週間と少し——
工藤邸の前にはスバル360が停まり、車から家の中へと荷物を運び入れる昴の姿があった。
「さてと。これで全部ですね。じゃあ、私は車を移動させてきます」
「うん、ありがとう! 昴さん」
玄関で言葉を交わし、昴は再び外に出る。りおは二人分の荷物をそれぞれの部屋へと運び入れた。
車を移動し自室の片付けも一通り終わると、昴はキッチンへ向かう。戸棚から道具を取り出してコーヒーを淹れ始めた。そこへりおが顔を出す。
「ん~! 良い匂い。昴さんのコーヒー久しぶりだわ」
部屋いっぱいに漂うコーヒーの香りに、りおはスンスンと鼻を鳴らしてダイニングのイスに座った。
「そうですね。あれから二週間ちょっと。二人して入院生活でしたからね」
クスクスと笑いながら昴は手際よくコーヒーを淹れた。
昴が言う通り、二人は揃っておよそ二週間の入院生活を送っていた。
当初、昴の入院は一週間の予定だったが右肩は完全に固定されているため、工藤邸でひとりで生活するにはまだ無理がある。
またりおも、今回のことがPTSDにどの程度影響があるか分からなかったため、赤井がそばにいた方が良いだろうと担当ドクターが判断。おかげで二人は仲良く入院生活を送ることになったのだ。
現在赤井の肩は固定具が外され、リハビリも進んだことから(無理は禁物だが)かなり元の状態に近い。
「警察病院の特別病棟とはいえ、秀一さんってばほとんど私の部屋にいるんだもの。
看護師さんが気を使って部屋に来なくなっちゃったじゃない。『何かあったらナースコールしてくださーい』なんて言われちゃってさ~……」
りおは顔をわずかに赤くすると恥ずかしそうに言った。
「それぞれ個室で隣の部屋だったし、問題ないだろう。なによりヒマでね。話し相手がいると時間が過ぎるのが早くていい」
悪びれる様子も無く、昴は赤井の口調でしれっと答える。
赤井はそれで良いかもしれないが、ナースステーションでは二人の『仲の良さ』にだいぶ盛り上がっていた、とりおはコナンから聞いて知っていた。
しばらくは通院しなければならないというのに、恥ずかしいことこの上ない。
「秀一さん、読書しながら私の部屋で寝ちゃうし、自分のリハビリを早々に終わらせて私のリハビリの方に来ちゃうし…。
『カッコ良くて優しい彼氏さんで羨ましい』って色んな人に言われて、もう…なんて返事して良いか迷っちゃったよ」
「ははは、そうか。しかしカッコ良いかどうかは知らんが、優しい彼氏は事実だろう? もう少し褒めても良いんだぞ」
昴はカフェオレの入ったカップをりおの前に置くと、自分のカップを持ったまま隣の席に座る。
「ま、まあ確かにそうね……秀一さんの優しさのおかげで今の私があるんだもの。
だからってわけじゃないけど……私、あなたのこと大好きよ」
な〜んてね〜、とりおは照れ隠しに笑い出す。
「ッ!?」
予想外のことを言われ、今度は昴が動きを止めた。
そもそも日本人は奥ゆかしい。アメリカ人と違って『愛してる』だの『好き』だのという言葉はあまり軽々しく口にしない。
りおは祖父母に育てられたためか、さらに奥ゆかしく、仮に赤井が愛の言葉を10言っても返ってくるのは多くて2か3程度。決して愛する気持ちが少ない訳ではなく、ただ単に恥ずかしがり屋なのだ。そんなりおから『大好き』などと言われればさすがの赤井も赤面する。
「やだ、昴さん。急に黙り込まないでよ。恥ずかしいじゃない」
りおは恥ずかしそうに下を向く。
「い、いきなりそれはダメだろう……心の準備ってものが……」
昴は動揺を隠せず、口元に手を当て視線を泳がせた。普段の昴(赤井)からは想像もつかないような動揺ぶりにりおは目が点になる。
(ナースの前でイチャイチャは平気なのにどうして二人の時に照れてるんだろ)
相変わらず昴の照れるポイントが分からない。尚も真っ赤な顔をしてしどろもどろな昴に、りおは堪え切れなくなってクスクスと笑い出した。
「ふふふっ……あははは」
「そ、そんなにおかしいか?」
「だって、昴さん顔真っ赤だし……」
「いや、それはお前が…」
「動画撮ってもいい?」
「えっ!? そ、それはダメだろう!」
笑いながらスマホを取り出すりおと、それを阻止する昴。
工藤邸のキッチンに平和なやり取りが響く。
長いこと失っていた穏やかな時間を感じ、赤井は心が満たされた気がした。
「あ~~…本当はちゃんと、お膳立てをしてからと思ってたんだがな…」
「え?」
昴はボソリとつぶやくと突然メガネを外し、その他の変装道具もスルスルと外してダイニングテーブルに置いた。
すっかり『赤井』の姿に戻って、りおの方に体を向ける。りおの座るイスもグイッと引くと、りおの体も自分の方へと向けた。二人はイスに座ったまま正面から向き合う形になる。
テーブルの上では二人の成り行きを見守るように、色違いのペアカップからゆらゆらと湯気が揺れていた。
工藤邸の前にはスバル360が停まり、車から家の中へと荷物を運び入れる昴の姿があった。
「さてと。これで全部ですね。じゃあ、私は車を移動させてきます」
「うん、ありがとう! 昴さん」
玄関で言葉を交わし、昴は再び外に出る。りおは二人分の荷物をそれぞれの部屋へと運び入れた。
車を移動し自室の片付けも一通り終わると、昴はキッチンへ向かう。戸棚から道具を取り出してコーヒーを淹れ始めた。そこへりおが顔を出す。
「ん~! 良い匂い。昴さんのコーヒー久しぶりだわ」
部屋いっぱいに漂うコーヒーの香りに、りおはスンスンと鼻を鳴らしてダイニングのイスに座った。
「そうですね。あれから二週間ちょっと。二人して入院生活でしたからね」
クスクスと笑いながら昴は手際よくコーヒーを淹れた。
昴が言う通り、二人は揃っておよそ二週間の入院生活を送っていた。
当初、昴の入院は一週間の予定だったが右肩は完全に固定されているため、工藤邸でひとりで生活するにはまだ無理がある。
またりおも、今回のことがPTSDにどの程度影響があるか分からなかったため、赤井がそばにいた方が良いだろうと担当ドクターが判断。おかげで二人は仲良く入院生活を送ることになったのだ。
現在赤井の肩は固定具が外され、リハビリも進んだことから(無理は禁物だが)かなり元の状態に近い。
「警察病院の特別病棟とはいえ、秀一さんってばほとんど私の部屋にいるんだもの。
看護師さんが気を使って部屋に来なくなっちゃったじゃない。『何かあったらナースコールしてくださーい』なんて言われちゃってさ~……」
りおは顔をわずかに赤くすると恥ずかしそうに言った。
「それぞれ個室で隣の部屋だったし、問題ないだろう。なによりヒマでね。話し相手がいると時間が過ぎるのが早くていい」
悪びれる様子も無く、昴は赤井の口調でしれっと答える。
赤井はそれで良いかもしれないが、ナースステーションでは二人の『仲の良さ』にだいぶ盛り上がっていた、とりおはコナンから聞いて知っていた。
しばらくは通院しなければならないというのに、恥ずかしいことこの上ない。
「秀一さん、読書しながら私の部屋で寝ちゃうし、自分のリハビリを早々に終わらせて私のリハビリの方に来ちゃうし…。
『カッコ良くて優しい彼氏さんで羨ましい』って色んな人に言われて、もう…なんて返事して良いか迷っちゃったよ」
「ははは、そうか。しかしカッコ良いかどうかは知らんが、優しい彼氏は事実だろう? もう少し褒めても良いんだぞ」
昴はカフェオレの入ったカップをりおの前に置くと、自分のカップを持ったまま隣の席に座る。
「ま、まあ確かにそうね……秀一さんの優しさのおかげで今の私があるんだもの。
だからってわけじゃないけど……私、あなたのこと大好きよ」
な〜んてね〜、とりおは照れ隠しに笑い出す。
「ッ!?」
予想外のことを言われ、今度は昴が動きを止めた。
そもそも日本人は奥ゆかしい。アメリカ人と違って『愛してる』だの『好き』だのという言葉はあまり軽々しく口にしない。
りおは祖父母に育てられたためか、さらに奥ゆかしく、仮に赤井が愛の言葉を10言っても返ってくるのは多くて2か3程度。決して愛する気持ちが少ない訳ではなく、ただ単に恥ずかしがり屋なのだ。そんなりおから『大好き』などと言われればさすがの赤井も赤面する。
「やだ、昴さん。急に黙り込まないでよ。恥ずかしいじゃない」
りおは恥ずかしそうに下を向く。
「い、いきなりそれはダメだろう……心の準備ってものが……」
昴は動揺を隠せず、口元に手を当て視線を泳がせた。普段の昴(赤井)からは想像もつかないような動揺ぶりにりおは目が点になる。
(ナースの前でイチャイチャは平気なのにどうして二人の時に照れてるんだろ)
相変わらず昴の照れるポイントが分からない。尚も真っ赤な顔をしてしどろもどろな昴に、りおは堪え切れなくなってクスクスと笑い出した。
「ふふふっ……あははは」
「そ、そんなにおかしいか?」
「だって、昴さん顔真っ赤だし……」
「いや、それはお前が…」
「動画撮ってもいい?」
「えっ!? そ、それはダメだろう!」
笑いながらスマホを取り出すりおと、それを阻止する昴。
工藤邸のキッチンに平和なやり取りが響く。
長いこと失っていた穏やかな時間を感じ、赤井は心が満たされた気がした。
「あ~~…本当はちゃんと、お膳立てをしてからと思ってたんだがな…」
「え?」
昴はボソリとつぶやくと突然メガネを外し、その他の変装道具もスルスルと外してダイニングテーブルに置いた。
すっかり『赤井』の姿に戻って、りおの方に体を向ける。りおの座るイスもグイッと引くと、りおの体も自分の方へと向けた。二人はイスに座ったまま正面から向き合う形になる。
テーブルの上では二人の成り行きを見守るように、色違いのペアカップからゆらゆらと湯気が揺れていた。