第1章 ~運命の再会そして…~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日の夕方
組織のラボから盗み出した情報について解析が終わり、理事官からりおのスマホに連絡が入る。
エンジェルダストの製造責任者はやはりギムレットだった。彼の素性を調べ、ここ数年の渡航歴が調べられた。
するとミャンマー、タイ、ラオスといった、いわゆる麻薬の「黄金の三角地帯」と呼ばれる地域を頻繁に行き来していたことが分かる。
今、現地の警察に要請して秘密裏に情報収集を行っているという。また、メインコンピューター内にはエンジェルダストの《生成レポート》がなかったため、ギムレットがどこかに移した可能性が出てきた。自分の命の保証としてどこかに隠しなのかもしれない。
《生成レポート》とは、ギムレットの研究レポートの事。エンジェルダストの生成方法が記載された、いわば悪魔の薬のレシピと言って良い。
出来上がった薬をいくら始末しても、このレポートがあれば誰かがまた作り出してしまうだろう。悪魔の薬をこの世から消し去るためには、レポートの消去は絶対条件だ。何としてもその所在を確かめなければならない。
そしてりおにはもう一つ、分からない事がある。
ギムレットはなぜ自分にエンジェルダストを打ったのか…。その薬を注射した先は「死」しかないのに…。わからないことだらけだ。
とにかく、エンジェルダストの生産工場が黄金の三角地帯にある可能性が出てきた。早く工場の数と現在組織が持っているエンジェルダストの量を調べないと…。
気持ちは焦るばかりだ。
「この情報をFBIの彼にも」
理事官はそう言って電話を切った。
その日の夜———
さくらと昴はさくらの声が出るようになったことと、理事官からの情報をコナン、博士、哀に伝えた。
エンジェルダストのレポートの所在については今のところ情報がない。ギムレットの死は組織にとって大きな痛手のはずだ。だがバーボンの話によれば、ジンたちが彼に執着している様子はなかったという。となれば、ギムレットの他にエンジェルダスト生成に深く関わっている者がいるとしか考えられない。
(そんな人物がいただろうか…)
数年前ラボで治療を受けたときのことをさくらは思い出していた。
***
ギムレットと初めて会ったのはいつだったか…。
だがその目つきに恐怖を感じたのは覚えている。
当時は倦怠感や頭痛、食欲不振に悩まされていた。ベルモットに勧められてラボに行ったものの、こちらを舐めるように見るあの男の視線が嫌だった。
診察をすると言って、ギムレットは自分に近づいて来た。あの時彼は何か言っていた。
「人の死はお嫌いかい?」
あの男はそう言いながら笑っていた。そうだ、その時初めて発作を起こしたんだ…。
「は…はぁ…はぁ…はぁ…ふ…ぅぅ…」
さくらの呼吸が乱れる。
「さくら? さくら! どうしたんだ!?」
昴は慌ててさくらに近づく。
「待って、待って昴さん!」
昴を制止したのはさくら本人だった。
「何か思い出せそうなの…」
自分の両腕をギュッと抱きしめながら、さくらは当時のことを話し始めた。
「数年前、ベルモットに勧められてラボに治療を受けに行ったわ。そこで初めてギムレットに会った。彼は目つきが悪く、私が診察室に入ると舐めるように見てきたわ」
「ッ」
一瞬ではあったが、昴の眉がわずかに動いた。
「診察すると言って触れた手はとても冷たくて。私に向かってこう言ったの。『人の死はお嫌いかい?心臓を打ち抜いたヤツを見たそうじゃないか。血の花が咲く様子を見られたんだろう。俺にも教えてくれよ』」
「な…なんてことを…」
人(スコッチ)の死を、まるで美しいショーのように表現するギムレット。そこにいた全員が息を飲む。
「それを聞いて、私は初めて発作を起こしたの。発作を起こした私を見て『苦しむお前の姿は美しい。もっと見せてくれ』そう言って笑っていた」
コナンは唇を噛み、ギュッと目を閉じた。
さくらはあの時の、表に出せなかった苦しい胸の内を思い出す。必死に隠していた心の傷を、言葉のナイフでえぐられるような感覚。
痛みとも苦しみとも取れるあの感覚が、再びさくらを襲う。胸を押さえて苦しそうに話すさくらの姿に、昴達は成す術無く立ち尽くした。
「『苦しいか。それならば、すぐにラクにしてやろう。俺の作ったこの薬ですぐにラクになれる。そして俺がお前に天国を見せてやるよ』」
「チィッ」昴が舌打ちをした。
「そう言って、その後誰かに…何かを…はぁ…はぁ…」
さくらは苦しそうに肩で息をしている。自身の腕を掴む手はブルブルと震え、額には汗が浮かんでいた。
「そう、そうだ、ギムレットは…サカモト…サカモトって男の名を呼んでいた…。例のものをもってこい…サカモト…ケンジ…サカモトケンジ…という名だった…。
その男に…何かを注射…されて…はぁはぁ…危険を感じ…て…彼の足を……足を…払って…その後…どうやって…逃げたか…」
呼吸が乱れて言葉が途切れながらも、必死に当時を思い出す。
「気付いたらベルモットに介抱されて…」
「もういい! もういいから!!」
居たたまれなくなった昴が、さくらの体を抱きしめる。さくらは全身汗だくだった。
「ギムネットの近くにいた《サカモトケンジ》」
コナンが険しい顔でつぶやく。
「さくらさんが必死に思い出したこの男を、ぜってぇ逃がさねえ!」
その時———
「サカモト…ケンジ…ですって?!」
哀が目を見開き、驚いた表情をしていた。
「灰原、お前サカモトってヤツを知っているのか?」
「知ってるもなにも。一緒にアポトキシンの研究をしていた仲間よ」
「なんだって?!」
「彼はとても優秀な研究員だったわ。だからいくつかの研究を兼務していたの」
麻薬の研究をしていたのは初耳だけど、と哀はため息をつく。
「そんなに優秀なら、論文発表もしとるかもしれん。さすがに…サカモトというのは組織で使う偽名なんじゃないかのう?」
博士が残念そうにつぶやいた。
「それはないわ」
哀がキッパリと否定する。
「彼が研究員を兼務する理由がもうひとつあるの。彼はサカモト製薬の長男で、未来の社長の椅子が約束されている人物だからよ」
「!!」
哀の言葉を聞いて、全員が固まった。日本を代表する大手製薬メーカーの跡取り息子が、組織に関係しているという事実に驚愕する。《命を救う薬》を作る会社が、《殺人兵器を生む薬》を作っているというのか…。
もしそれが事実ならば、エンジェダストのレポートはサカモト製薬のどこかにある…という可能性もある。既にギムレットの手を離れ、商品化に向けて着々と進んでいるということなのか。
「それならば、三角地帯にある麻薬工場で、サカモト製薬の傘下にある工場を割り出せれば…」
昴の意見にみんながうなずいた。
昴はコナンに目で合図する。コナンも気がつき、スマホを取り出した。哀の前で、昴はFBIの仲間に連絡を取るわけにはいかないのだ。
早速ジョディ先生に電話をかける。
いきさつを話し大至急ミャンマー、タイ、ラオスにある麻薬工場でサカモト製薬の傘下にある工場を調べるよう頼んだ。
「公安の彼にも伝えた方がいいでしょうね」
そう言って今度は昴が安室に電話をかけた。
警察庁では先日さくらと協力して手に入れた情報から、国内の取引相手の割り出しに各部署がせわしなく動いていた。降谷も久しぶりに本庁に顔を出し、各方面のパイプ役として指示を出す。
今日は帰れないな…と思った矢先にスマホが鳴った。相手は《沖矢昴》。さくらに何かあったのではと、一瞬緊張した。
「もしもし?」
やや緊張した声で電話に出ると、「情報の共有をと思いまして」という昴の声が聞こえた。
沖矢からの情報に降谷は動揺を隠せない。さくらが必死の思いでたどり着いた真実だと知って、胸が痛くなる。だが感傷に浸っている暇はない。
「で、俺にどうしろと?」
努めて冷静に、降谷零として対応する。そんな彼に昴は単刀直入に要件を伝える。
「サカモト製薬の裏の顔を調べてもらえませんか? エンジェルダストをこの世から消すためには、あの会社にも消えてもらうしかありません。巧妙に隠していると思いますが、しっぽをつかめば……あるいは」
「分かりました。日本警察の威信にかけて調べ尽くしますよ」
「期待しています」
冷静な昴の声で返答され電話は切れた。
さくらは昴に肩を抱かれた状態で、ふたりの会話を聞いていた。通話が終わり、昴がスマホをテーブルに置くと小さな声でつぶやいた。
「サカモト製薬の本社ビルに潜入してみ…」
「さくら!!」
全て言い終わらないうちに、頭の上から怖い顔をした昴が、威圧的に名を呼ぶ。
「同意しかねます」
「でも」
「でもじゃありません」
昴の眉が吊り上がる。
「私の反対を押し切っただけでは飽き足らず、ギムレットのことも内緒にして潜入し、追い掛け回されてアバラを折られ、動けなくなったのはどこのどなたでしたっけ?」
(うわぁ…トゲトゲしいというより、もはやトゲしかねぇじゃねえか。ここまで来ると小気味いいくらいだな…)
コナンがジト目になる。
何も言い返せず、さくらは下を向いてしまった。
その様子にさすがの昴も「言いすぎました」と謝る。
「でも今回は良い子にしててください。私の為だと思って」
(ラボへの潜入はよほど堪えたんだな…)
大事そうにさくらの肩を抱く昴の姿を見て、コナンはふと、蘭の顔を思い出していた。
組織のラボから盗み出した情報について解析が終わり、理事官からりおのスマホに連絡が入る。
エンジェルダストの製造責任者はやはりギムレットだった。彼の素性を調べ、ここ数年の渡航歴が調べられた。
するとミャンマー、タイ、ラオスといった、いわゆる麻薬の「黄金の三角地帯」と呼ばれる地域を頻繁に行き来していたことが分かる。
今、現地の警察に要請して秘密裏に情報収集を行っているという。また、メインコンピューター内にはエンジェルダストの《生成レポート》がなかったため、ギムレットがどこかに移した可能性が出てきた。自分の命の保証としてどこかに隠しなのかもしれない。
《生成レポート》とは、ギムレットの研究レポートの事。エンジェルダストの生成方法が記載された、いわば悪魔の薬のレシピと言って良い。
出来上がった薬をいくら始末しても、このレポートがあれば誰かがまた作り出してしまうだろう。悪魔の薬をこの世から消し去るためには、レポートの消去は絶対条件だ。何としてもその所在を確かめなければならない。
そしてりおにはもう一つ、分からない事がある。
ギムレットはなぜ自分にエンジェルダストを打ったのか…。その薬を注射した先は「死」しかないのに…。わからないことだらけだ。
とにかく、エンジェルダストの生産工場が黄金の三角地帯にある可能性が出てきた。早く工場の数と現在組織が持っているエンジェルダストの量を調べないと…。
気持ちは焦るばかりだ。
「この情報をFBIの彼にも」
理事官はそう言って電話を切った。
その日の夜———
さくらと昴はさくらの声が出るようになったことと、理事官からの情報をコナン、博士、哀に伝えた。
エンジェルダストのレポートの所在については今のところ情報がない。ギムレットの死は組織にとって大きな痛手のはずだ。だがバーボンの話によれば、ジンたちが彼に執着している様子はなかったという。となれば、ギムレットの他にエンジェルダスト生成に深く関わっている者がいるとしか考えられない。
(そんな人物がいただろうか…)
数年前ラボで治療を受けたときのことをさくらは思い出していた。
***
ギムレットと初めて会ったのはいつだったか…。
だがその目つきに恐怖を感じたのは覚えている。
当時は倦怠感や頭痛、食欲不振に悩まされていた。ベルモットに勧められてラボに行ったものの、こちらを舐めるように見るあの男の視線が嫌だった。
診察をすると言って、ギムレットは自分に近づいて来た。あの時彼は何か言っていた。
「人の死はお嫌いかい?」
あの男はそう言いながら笑っていた。そうだ、その時初めて発作を起こしたんだ…。
「は…はぁ…はぁ…はぁ…ふ…ぅぅ…」
さくらの呼吸が乱れる。
「さくら? さくら! どうしたんだ!?」
昴は慌ててさくらに近づく。
「待って、待って昴さん!」
昴を制止したのはさくら本人だった。
「何か思い出せそうなの…」
自分の両腕をギュッと抱きしめながら、さくらは当時のことを話し始めた。
「数年前、ベルモットに勧められてラボに治療を受けに行ったわ。そこで初めてギムレットに会った。彼は目つきが悪く、私が診察室に入ると舐めるように見てきたわ」
「ッ」
一瞬ではあったが、昴の眉がわずかに動いた。
「診察すると言って触れた手はとても冷たくて。私に向かってこう言ったの。『人の死はお嫌いかい?心臓を打ち抜いたヤツを見たそうじゃないか。血の花が咲く様子を見られたんだろう。俺にも教えてくれよ』」
「な…なんてことを…」
人(スコッチ)の死を、まるで美しいショーのように表現するギムレット。そこにいた全員が息を飲む。
「それを聞いて、私は初めて発作を起こしたの。発作を起こした私を見て『苦しむお前の姿は美しい。もっと見せてくれ』そう言って笑っていた」
コナンは唇を噛み、ギュッと目を閉じた。
さくらはあの時の、表に出せなかった苦しい胸の内を思い出す。必死に隠していた心の傷を、言葉のナイフでえぐられるような感覚。
痛みとも苦しみとも取れるあの感覚が、再びさくらを襲う。胸を押さえて苦しそうに話すさくらの姿に、昴達は成す術無く立ち尽くした。
「『苦しいか。それならば、すぐにラクにしてやろう。俺の作ったこの薬ですぐにラクになれる。そして俺がお前に天国を見せてやるよ』」
「チィッ」昴が舌打ちをした。
「そう言って、その後誰かに…何かを…はぁ…はぁ…」
さくらは苦しそうに肩で息をしている。自身の腕を掴む手はブルブルと震え、額には汗が浮かんでいた。
「そう、そうだ、ギムレットは…サカモト…サカモトって男の名を呼んでいた…。例のものをもってこい…サカモト…ケンジ…サカモトケンジ…という名だった…。
その男に…何かを注射…されて…はぁはぁ…危険を感じ…て…彼の足を……足を…払って…その後…どうやって…逃げたか…」
呼吸が乱れて言葉が途切れながらも、必死に当時を思い出す。
「気付いたらベルモットに介抱されて…」
「もういい! もういいから!!」
居たたまれなくなった昴が、さくらの体を抱きしめる。さくらは全身汗だくだった。
「ギムネットの近くにいた《サカモトケンジ》」
コナンが険しい顔でつぶやく。
「さくらさんが必死に思い出したこの男を、ぜってぇ逃がさねえ!」
その時———
「サカモト…ケンジ…ですって?!」
哀が目を見開き、驚いた表情をしていた。
「灰原、お前サカモトってヤツを知っているのか?」
「知ってるもなにも。一緒にアポトキシンの研究をしていた仲間よ」
「なんだって?!」
「彼はとても優秀な研究員だったわ。だからいくつかの研究を兼務していたの」
麻薬の研究をしていたのは初耳だけど、と哀はため息をつく。
「そんなに優秀なら、論文発表もしとるかもしれん。さすがに…サカモトというのは組織で使う偽名なんじゃないかのう?」
博士が残念そうにつぶやいた。
「それはないわ」
哀がキッパリと否定する。
「彼が研究員を兼務する理由がもうひとつあるの。彼はサカモト製薬の長男で、未来の社長の椅子が約束されている人物だからよ」
「!!」
哀の言葉を聞いて、全員が固まった。日本を代表する大手製薬メーカーの跡取り息子が、組織に関係しているという事実に驚愕する。《命を救う薬》を作る会社が、《殺人兵器を生む薬》を作っているというのか…。
もしそれが事実ならば、エンジェダストのレポートはサカモト製薬のどこかにある…という可能性もある。既にギムレットの手を離れ、商品化に向けて着々と進んでいるということなのか。
「それならば、三角地帯にある麻薬工場で、サカモト製薬の傘下にある工場を割り出せれば…」
昴の意見にみんながうなずいた。
昴はコナンに目で合図する。コナンも気がつき、スマホを取り出した。哀の前で、昴はFBIの仲間に連絡を取るわけにはいかないのだ。
早速ジョディ先生に電話をかける。
いきさつを話し大至急ミャンマー、タイ、ラオスにある麻薬工場でサカモト製薬の傘下にある工場を調べるよう頼んだ。
「公安の彼にも伝えた方がいいでしょうね」
そう言って今度は昴が安室に電話をかけた。
警察庁では先日さくらと協力して手に入れた情報から、国内の取引相手の割り出しに各部署がせわしなく動いていた。降谷も久しぶりに本庁に顔を出し、各方面のパイプ役として指示を出す。
今日は帰れないな…と思った矢先にスマホが鳴った。相手は《沖矢昴》。さくらに何かあったのではと、一瞬緊張した。
「もしもし?」
やや緊張した声で電話に出ると、「情報の共有をと思いまして」という昴の声が聞こえた。
沖矢からの情報に降谷は動揺を隠せない。さくらが必死の思いでたどり着いた真実だと知って、胸が痛くなる。だが感傷に浸っている暇はない。
「で、俺にどうしろと?」
努めて冷静に、降谷零として対応する。そんな彼に昴は単刀直入に要件を伝える。
「サカモト製薬の裏の顔を調べてもらえませんか? エンジェルダストをこの世から消すためには、あの会社にも消えてもらうしかありません。巧妙に隠していると思いますが、しっぽをつかめば……あるいは」
「分かりました。日本警察の威信にかけて調べ尽くしますよ」
「期待しています」
冷静な昴の声で返答され電話は切れた。
さくらは昴に肩を抱かれた状態で、ふたりの会話を聞いていた。通話が終わり、昴がスマホをテーブルに置くと小さな声でつぶやいた。
「サカモト製薬の本社ビルに潜入してみ…」
「さくら!!」
全て言い終わらないうちに、頭の上から怖い顔をした昴が、威圧的に名を呼ぶ。
「同意しかねます」
「でも」
「でもじゃありません」
昴の眉が吊り上がる。
「私の反対を押し切っただけでは飽き足らず、ギムレットのことも内緒にして潜入し、追い掛け回されてアバラを折られ、動けなくなったのはどこのどなたでしたっけ?」
(うわぁ…トゲトゲしいというより、もはやトゲしかねぇじゃねえか。ここまで来ると小気味いいくらいだな…)
コナンがジト目になる。
何も言い返せず、さくらは下を向いてしまった。
その様子にさすがの昴も「言いすぎました」と謝る。
「でも今回は良い子にしててください。私の為だと思って」
(ラボへの潜入はよほど堪えたんだな…)
大事そうにさくらの肩を抱く昴の姿を見て、コナンはふと、蘭の顔を思い出していた。