最終章 ~未来へ向かって~
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「ふ、深田くん⁉ 何を……」
カッターの存在に気付いたさくらが叫ぶ。
「や、やめて! 深田くん! そんなもの振り回したら危な……」
「星川さん……ジャマなこの男は俺が消すから。そしたら俺のところに来て。俺の物になって」
「え?」
彼はいったい何を言っているのか。
どうしてこんなことになってしまったのか。
動揺するさくらを見て、深田がニヤリと笑う。
「そういえば……尾沼さんの死を知った時も、そんな風に動揺していたね。あの時のあなた、すごく可愛かった」
恍惚とした表情で深田はさくらを見る。感情の起伏が激しく、とても正気だとは思えない。
深田の意識がさくらに向いた瞬間を逃さず、昴が一気に間合いを詰める。それに気付いた深田がカッターを振り回した。
ヒュンッ!
ヒュッ!
刃先が空を切る。
ギリギリのところで昴が上手くかわした。
「やめて…ッ! ふたりとも…お願い……」
どちらも傷ついて欲しくない。
さくらは一歩も動けないまま、懇願するように叫んだ。
その間も深田の攻撃は留まる事を知らず、昴はそれを避け続ける。
ドン…ッ! ガララッ!
闇雲に攻撃していた深田が、足元のゴミ箱を蹴飛ばした。
「⁉︎」
一瞬よろめいた深田の腹に、昴の蹴りが決まる。
「ぐはぁッ!!」
蹴りの衝撃で、深田は後ろへと倒れ込んだ。
「深田くんッ!」
それを見て、さくらが深田に駆け寄ろうとする。しかし、昴がそれを止めた。
「さくら、動くな!」
「な、なん…で⁉︎ どうして……」
制止された理由がわからず、さくらは昴に向かって叫ぶ。
「よく見てみろ!」
「?」
昴は深田から目を離さず叫んだ。
納得がいかないまま、さくらは視線を移す。
そこには腹を押さえ、床にうずくまる深田がいる。
「……?」
どうも様子がおかしい。さくらは深田の肩が細かく揺れていることに気付いた。それはまるで、笑っているかのように。
「ふ、深田……くん?」
さくらが恐る恐る声をかける。
クククッと、深田が顔をうずめたまま笑った。
「…ス………」
ゆっくり体を起こしながら、深田は何かをつぶやいていた。
「コロ…ス……コロス……。ココニイル……ゼンイン…コロス」
完全に体を起こした深田の顔は目つきが変わり、まるで悪魔が憑依したかのようだった。
それを見たさくらは口元に手を当て、声も出ない。
「深田くん……一体どうしたというんだ‼︎」
目の前の光景が信じられず、森も叫ぶ。
「こうなったら、ちょっと眠ってもらうほかありませんね」
昴が深田の首元を狙い、近づいた。
深田はそれを近くにあったイスを放り投げて阻止した。その後はまるで狂ったかのようにカッターを振り回し、激しく抵抗する。
文字通り暴れまわる深田に、さすがの昴も迂闊に手を出せない。
ザッ!
カッターの刃が昴の左手の甲をかすめる。
パッと血しぶきが飛んだ。
「昴さんッ!!」
「大丈夫、かすり傷だ」
攻撃を避けながら昴が叫ぶ。その後も二人の攻防は続いた。
はぁ…はぁ…はぁ…
やがて深田の息が乱れ始めた。
全力で抵抗している深田に対し、昴は最小限の動きで攻撃を避けている。
当然、深田の方が体力の消耗は激しい。
(そろそろか……)
茶番の決着をつけようと、昴がジークンドーの構えをした。
その瞬間——
ドクンッ!
深田の体が大きく跳ねた。
「ッ⁉︎」
何事かと三人は目を見張る。
「あ…あッ……あぁ…ぅあ…おぐぅ…」
突然言葉にならない声を発し、深田が胸を押さえる。
「ふ、深田……くん?」
「ほ…ほし…か……わ……さ…」
苦しそうにさくらの名を口にしたその直後、
「ぐあぁぁぁッ!!」
叫び声をあげて深田が駆け出した。
「深田くん! 待って! そ、そっちは……」
ガシャーンッ!!!
さくらの制止もむなしく、深田はガラス窓を突き破った。
「きゃあぁぁ! 深田くん!」
「くっ!」
昴が慌てて深田に手を伸ばす。
しかしその手は空を切り——
深田は三階下のアスファルトへと転落した。
ドシャッ!
耳を覆いたくなるような、不快な音が響いた。昴が割れた窓から下を覗き込む。
倒れる深田の周りには、血だまりがみるみるうちに広がっていく。当の深田はピクリとも動かない。
「くそっ!」
昴は血の流れる左手を強く握りしめた。さくらはその場に座り込み、呆然としている。森も目を見開いたまま立ち尽くした。
「なんだ。ひとりも殺せなかったのか」
開けっ放しのドアから突然、声が聞こえた。
「ッ‼︎」
昴がギラリとドアの方を睨む。
コツコツと靴を鳴らし、男が一人、姿を現した。
「…ノブ……」
森が男を見て小さくつぶやいた。
「久しぶりだね、ケンチ」
部屋へと入ってきた男——島谷はそう言って笑顔を見せる。
「やはり戦闘経験が無い者は、感染してもさほど戦えないんだね。いやぁ、良いデータが取れた」
深田の奇行にショックを受けている三人とは対照的に、島谷は楽しそうな顔をした。
「感…染…って…まさ、か……」
さくらの声は震えていた。昴もハッとして自分の左手を押える。流れた血がぽたりと床に落ちた。
『SBA』は人から人へ感染し、次々と人を殺めた後、自身をも殺してしまう恐ろしいウイルス。
深田がそれに感染してるなら、深田と接触した昴は——。
「は、はッ…は、は、はぁ…ぅ…ふ…」
「さくらッ!」
ショックのあまりさくらは呼吸を乱す。昴もそれに気付きながら、その場から動けない。
万が一自分も感染していたら——。
そう思うと迂闊に近づけない。
「はははは。安心して良いよ。私が作ったウイルスはまだ人から人へはうつらない。食べ物や飲み物に混ぜたり、注射を使って直接体に入れないと感染しないんだ。
まあ、その辺りが今後の課題なんだけどね」
楽しそうに話す島谷を森は睨みつけた。
「ノブ、お前……自分が何をしているのか分かっているのか?
僕たちは人の役に立つ物を作りたくて、今まで研究をしてきたんだろう⁉︎」
学生時代、二人はよく将来のことを話した。
いつか自分たちの研究で人の役に立つものを作ろう。それが叶うまで絶対に諦めない。
そう二人で誓ったはずだ。それがいったいなぜこんなことに——
森は思わず唇を噛んだ。
カッターの存在に気付いたさくらが叫ぶ。
「や、やめて! 深田くん! そんなもの振り回したら危な……」
「星川さん……ジャマなこの男は俺が消すから。そしたら俺のところに来て。俺の物になって」
「え?」
彼はいったい何を言っているのか。
どうしてこんなことになってしまったのか。
動揺するさくらを見て、深田がニヤリと笑う。
「そういえば……尾沼さんの死を知った時も、そんな風に動揺していたね。あの時のあなた、すごく可愛かった」
恍惚とした表情で深田はさくらを見る。感情の起伏が激しく、とても正気だとは思えない。
深田の意識がさくらに向いた瞬間を逃さず、昴が一気に間合いを詰める。それに気付いた深田がカッターを振り回した。
ヒュンッ!
ヒュッ!
刃先が空を切る。
ギリギリのところで昴が上手くかわした。
「やめて…ッ! ふたりとも…お願い……」
どちらも傷ついて欲しくない。
さくらは一歩も動けないまま、懇願するように叫んだ。
その間も深田の攻撃は留まる事を知らず、昴はそれを避け続ける。
ドン…ッ! ガララッ!
闇雲に攻撃していた深田が、足元のゴミ箱を蹴飛ばした。
「⁉︎」
一瞬よろめいた深田の腹に、昴の蹴りが決まる。
「ぐはぁッ!!」
蹴りの衝撃で、深田は後ろへと倒れ込んだ。
「深田くんッ!」
それを見て、さくらが深田に駆け寄ろうとする。しかし、昴がそれを止めた。
「さくら、動くな!」
「な、なん…で⁉︎ どうして……」
制止された理由がわからず、さくらは昴に向かって叫ぶ。
「よく見てみろ!」
「?」
昴は深田から目を離さず叫んだ。
納得がいかないまま、さくらは視線を移す。
そこには腹を押さえ、床にうずくまる深田がいる。
「……?」
どうも様子がおかしい。さくらは深田の肩が細かく揺れていることに気付いた。それはまるで、笑っているかのように。
「ふ、深田……くん?」
さくらが恐る恐る声をかける。
クククッと、深田が顔をうずめたまま笑った。
「…ス………」
ゆっくり体を起こしながら、深田は何かをつぶやいていた。
「コロ…ス……コロス……。ココニイル……ゼンイン…コロス」
完全に体を起こした深田の顔は目つきが変わり、まるで悪魔が憑依したかのようだった。
それを見たさくらは口元に手を当て、声も出ない。
「深田くん……一体どうしたというんだ‼︎」
目の前の光景が信じられず、森も叫ぶ。
「こうなったら、ちょっと眠ってもらうほかありませんね」
昴が深田の首元を狙い、近づいた。
深田はそれを近くにあったイスを放り投げて阻止した。その後はまるで狂ったかのようにカッターを振り回し、激しく抵抗する。
文字通り暴れまわる深田に、さすがの昴も迂闊に手を出せない。
ザッ!
カッターの刃が昴の左手の甲をかすめる。
パッと血しぶきが飛んだ。
「昴さんッ!!」
「大丈夫、かすり傷だ」
攻撃を避けながら昴が叫ぶ。その後も二人の攻防は続いた。
はぁ…はぁ…はぁ…
やがて深田の息が乱れ始めた。
全力で抵抗している深田に対し、昴は最小限の動きで攻撃を避けている。
当然、深田の方が体力の消耗は激しい。
(そろそろか……)
茶番の決着をつけようと、昴がジークンドーの構えをした。
その瞬間——
ドクンッ!
深田の体が大きく跳ねた。
「ッ⁉︎」
何事かと三人は目を見張る。
「あ…あッ……あぁ…ぅあ…おぐぅ…」
突然言葉にならない声を発し、深田が胸を押さえる。
「ふ、深田……くん?」
「ほ…ほし…か……わ……さ…」
苦しそうにさくらの名を口にしたその直後、
「ぐあぁぁぁッ!!」
叫び声をあげて深田が駆け出した。
「深田くん! 待って! そ、そっちは……」
ガシャーンッ!!!
さくらの制止もむなしく、深田はガラス窓を突き破った。
「きゃあぁぁ! 深田くん!」
「くっ!」
昴が慌てて深田に手を伸ばす。
しかしその手は空を切り——
深田は三階下のアスファルトへと転落した。
ドシャッ!
耳を覆いたくなるような、不快な音が響いた。昴が割れた窓から下を覗き込む。
倒れる深田の周りには、血だまりがみるみるうちに広がっていく。当の深田はピクリとも動かない。
「くそっ!」
昴は血の流れる左手を強く握りしめた。さくらはその場に座り込み、呆然としている。森も目を見開いたまま立ち尽くした。
「なんだ。ひとりも殺せなかったのか」
開けっ放しのドアから突然、声が聞こえた。
「ッ‼︎」
昴がギラリとドアの方を睨む。
コツコツと靴を鳴らし、男が一人、姿を現した。
「…ノブ……」
森が男を見て小さくつぶやいた。
「久しぶりだね、ケンチ」
部屋へと入ってきた男——島谷はそう言って笑顔を見せる。
「やはり戦闘経験が無い者は、感染してもさほど戦えないんだね。いやぁ、良いデータが取れた」
深田の奇行にショックを受けている三人とは対照的に、島谷は楽しそうな顔をした。
「感…染…って…まさ、か……」
さくらの声は震えていた。昴もハッとして自分の左手を押える。流れた血がぽたりと床に落ちた。
『SBA』は人から人へ感染し、次々と人を殺めた後、自身をも殺してしまう恐ろしいウイルス。
深田がそれに感染してるなら、深田と接触した昴は——。
「は、はッ…は、は、はぁ…ぅ…ふ…」
「さくらッ!」
ショックのあまりさくらは呼吸を乱す。昴もそれに気付きながら、その場から動けない。
万が一自分も感染していたら——。
そう思うと迂闊に近づけない。
「はははは。安心して良いよ。私が作ったウイルスはまだ人から人へはうつらない。食べ物や飲み物に混ぜたり、注射を使って直接体に入れないと感染しないんだ。
まあ、その辺りが今後の課題なんだけどね」
楽しそうに話す島谷を森は睨みつけた。
「ノブ、お前……自分が何をしているのか分かっているのか?
僕たちは人の役に立つ物を作りたくて、今まで研究をしてきたんだろう⁉︎」
学生時代、二人はよく将来のことを話した。
いつか自分たちの研究で人の役に立つものを作ろう。それが叶うまで絶対に諦めない。
そう二人で誓ったはずだ。それがいったいなぜこんなことに——
森は思わず唇を噛んだ。