最終章 ~未来へ向かって~
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「か、隠し事なんて……僕は何も……」
言葉とは裏腹に森は動揺を見せる。しかし、さくらは追及の手を緩めない。
「いいえ。教授は誰かを庇っているのでしょう? その人物の無実を信じて。でも……それは無意味です。だって、その人物こそが組織の——【ビジネス】の中心人物ですから」
「ッ‼」
突きつけられた現実に森は息を飲む。体が震え、ガクリと肩を落とした。
「その中心人物——。あなたが庇っているのは……島谷教授、ですね」
昴が優しい声で語りかけた。
「……ああ……」
森は観念したようにつぶやいた。
「君たちの言う通りだ。僕はノブが人の道を外れたのではと疑った。それを調べるためにカジノに行ったんだ。でも、素人の僕では何も分からなかった……」
森の手は震え、顔は苦し気に歪んでいる。さくらも辛そうに森を見た。
「初めにおかしいと思ったのは数年前だ。
学会にノブが姿を見せないと仲間内から言われてね。でも、大学には学会参加の報告をしている。
ノブは研究バカだから学会に出ないなんて考えられなかったんだ」
「それで……教授はお一人で色々調べられたのですね」
さくらは表情を緩め、労わるように声をかける。
「ああ、そうだよ。特にここ数か月は不審な行動も多くて、彼に直接聞いたこともある。しかし上手くはぐらかされてしまって……。
それで本格的に彼の周辺を探っていたら、ある日大学構内で見知らぬ女性に声をかけられたんだ。
理学部の建物の裏で『命が惜しければこれ以上不審な行動を取るな』と言われたんだ。
その時に確信したんだよ。ノブが何か良からぬことに首を突っ込んでいるってね」
森の説明を聞いて、さくらは納得したように数回うなずいた。
(ああ、なるほど……その女性というのが変装したベルモットだったんだわ。私が二人を目撃したのはその時の……)
奇しくも、この時のベルモットと森の接触が後に森を疑う理由の一つになったのだ。
「尾沼くんが亡くなる少し前に、ノブと僕の学会の会場が同じホテルだった時があったんだ。
それで……ノブがちゃんと学会に来ているかどうか確かめようとしたんだけど……うまくいかなくて」
結局疑心暗鬼のまま時が過ぎ、尾沼が殺害され、りおが尾沼の事件から離れたタイミングで森自身も手がかりを求めてカジノに出入りをしていたようだ。
「やっぱり……ノブは悪いことを…」
突きつけられた現実に森は項垂れた。
「はい……。組織の研究者名簿の中に島谷教授の名がありました。
かなり前から彼は【バイオテロ】について研究をしていたようです」
「ば、バイオテロ⁉︎ なんてことだ……」
森は頭を抱えた。ケンカばかりしていたとはいえ、二人は学生時代からの旧友。
『ケンカするほど仲がいい』とは、まさにこの二人のことを言うのだろう。
「研究ってのはね、お金がかかるんだ。応援してくれる企業があればいくらでも研究を続けられるけどね。
ノブの研究は当時、時代の最先端だった。僕らが学生の頃はまだまだ理解されなかったよ。
研究を続けたいのに資金不足で続けられない。それをノブは憂いていたよ」
森は遠い昔、島谷が悔しそうに実験室の机を叩いていたことを思い出す。
「……それに組織は付け込んだのですね。お金を工面する代わりにバイオテロの研究を……」
さくらは悔しそうに下を向いた。昴も黙って森を見る。
「アイツは研究バカだよ…本当に…それしか脳が無いヤツさ。でも、人として許されない研究をするなんて……」
そうつぶやいた森の声は震えていた。
さくらはソファーから立ち上がり、森の横にひざまずく。
「教授……彼の凶行を止めなくてなりません。お願いです。警察でその事を証言して下さい」
これ以上彼が罪を重ねないために——。
さくらの言葉は森の心に響いた。
「……分かった」
森は意を決して、そうつぶやいた。
『おいっ! どうしたんだよッ!!』
『ちょ、ちょっと‼ やめなさ…』
『きゃあッ!』
『ぅわぁッ!』
さくらと森が立ち上がった時、何やら実験室の方から声が聞こえた。
「騒がしいですね」
昴が声の方へ視線を向ける。
何事かと、さくらと森が顔を見合わせた。
バンッ!
突然、さくらたちがいる部屋のドアが開いた。
「「「ッ‼」」」
三人の視線がドアに向く。
「ふ、深田くん⁉︎」
ドアを開けたのは深田だった。目が吊り上がり、フー、フー、と荒い呼吸をしている。
「どうしたんだい、深田くん」
森は眉間にしわを寄せ、怪訝そうに問いかけた。
「お前の……せいだ…」
森の問いかけを無視して、深田が低い声でつぶやいた。
「お前のせいで……星川さんがケガをした…」
深田はギロリと昴を睨む。
昴は表情を変えず、真っすぐに深田の顔を見た。
「君はさっき受付の前で話をした方ですね。まだ私に何か?」
尋常ではない深田の様子を注意深く探りながら、昴は静かに問いかける。
深田の顔色は悪く、まるで何かに憑りつかれたよう。
「お前さえ……お前さえいなければ……」
そう何度もつぶやく深田の手にはカッターナイフが握られていた。
言葉とは裏腹に森は動揺を見せる。しかし、さくらは追及の手を緩めない。
「いいえ。教授は誰かを庇っているのでしょう? その人物の無実を信じて。でも……それは無意味です。だって、その人物こそが組織の——【ビジネス】の中心人物ですから」
「ッ‼」
突きつけられた現実に森は息を飲む。体が震え、ガクリと肩を落とした。
「その中心人物——。あなたが庇っているのは……島谷教授、ですね」
昴が優しい声で語りかけた。
「……ああ……」
森は観念したようにつぶやいた。
「君たちの言う通りだ。僕はノブが人の道を外れたのではと疑った。それを調べるためにカジノに行ったんだ。でも、素人の僕では何も分からなかった……」
森の手は震え、顔は苦し気に歪んでいる。さくらも辛そうに森を見た。
「初めにおかしいと思ったのは数年前だ。
学会にノブが姿を見せないと仲間内から言われてね。でも、大学には学会参加の報告をしている。
ノブは研究バカだから学会に出ないなんて考えられなかったんだ」
「それで……教授はお一人で色々調べられたのですね」
さくらは表情を緩め、労わるように声をかける。
「ああ、そうだよ。特にここ数か月は不審な行動も多くて、彼に直接聞いたこともある。しかし上手くはぐらかされてしまって……。
それで本格的に彼の周辺を探っていたら、ある日大学構内で見知らぬ女性に声をかけられたんだ。
理学部の建物の裏で『命が惜しければこれ以上不審な行動を取るな』と言われたんだ。
その時に確信したんだよ。ノブが何か良からぬことに首を突っ込んでいるってね」
森の説明を聞いて、さくらは納得したように数回うなずいた。
(ああ、なるほど……その女性というのが変装したベルモットだったんだわ。私が二人を目撃したのはその時の……)
奇しくも、この時のベルモットと森の接触が後に森を疑う理由の一つになったのだ。
「尾沼くんが亡くなる少し前に、ノブと僕の学会の会場が同じホテルだった時があったんだ。
それで……ノブがちゃんと学会に来ているかどうか確かめようとしたんだけど……うまくいかなくて」
結局疑心暗鬼のまま時が過ぎ、尾沼が殺害され、りおが尾沼の事件から離れたタイミングで森自身も手がかりを求めてカジノに出入りをしていたようだ。
「やっぱり……ノブは悪いことを…」
突きつけられた現実に森は項垂れた。
「はい……。組織の研究者名簿の中に島谷教授の名がありました。
かなり前から彼は【バイオテロ】について研究をしていたようです」
「ば、バイオテロ⁉︎ なんてことだ……」
森は頭を抱えた。ケンカばかりしていたとはいえ、二人は学生時代からの旧友。
『ケンカするほど仲がいい』とは、まさにこの二人のことを言うのだろう。
「研究ってのはね、お金がかかるんだ。応援してくれる企業があればいくらでも研究を続けられるけどね。
ノブの研究は当時、時代の最先端だった。僕らが学生の頃はまだまだ理解されなかったよ。
研究を続けたいのに資金不足で続けられない。それをノブは憂いていたよ」
森は遠い昔、島谷が悔しそうに実験室の机を叩いていたことを思い出す。
「……それに組織は付け込んだのですね。お金を工面する代わりにバイオテロの研究を……」
さくらは悔しそうに下を向いた。昴も黙って森を見る。
「アイツは研究バカだよ…本当に…それしか脳が無いヤツさ。でも、人として許されない研究をするなんて……」
そうつぶやいた森の声は震えていた。
さくらはソファーから立ち上がり、森の横にひざまずく。
「教授……彼の凶行を止めなくてなりません。お願いです。警察でその事を証言して下さい」
これ以上彼が罪を重ねないために——。
さくらの言葉は森の心に響いた。
「……分かった」
森は意を決して、そうつぶやいた。
『おいっ! どうしたんだよッ!!』
『ちょ、ちょっと‼ やめなさ…』
『きゃあッ!』
『ぅわぁッ!』
さくらと森が立ち上がった時、何やら実験室の方から声が聞こえた。
「騒がしいですね」
昴が声の方へ視線を向ける。
何事かと、さくらと森が顔を見合わせた。
バンッ!
突然、さくらたちがいる部屋のドアが開いた。
「「「ッ‼」」」
三人の視線がドアに向く。
「ふ、深田くん⁉︎」
ドアを開けたのは深田だった。目が吊り上がり、フー、フー、と荒い呼吸をしている。
「どうしたんだい、深田くん」
森は眉間にしわを寄せ、怪訝そうに問いかけた。
「お前の……せいだ…」
森の問いかけを無視して、深田が低い声でつぶやいた。
「お前のせいで……星川さんがケガをした…」
深田はギロリと昴を睨む。
昴は表情を変えず、真っすぐに深田の顔を見た。
「君はさっき受付の前で話をした方ですね。まだ私に何か?」
尋常ではない深田の様子を注意深く探りながら、昴は静かに問いかける。
深田の顔色は悪く、まるで何かに憑りつかれたよう。
「お前さえ……お前さえいなければ……」
そう何度もつぶやく深田の手にはカッターナイフが握られていた。