最終章 ~未来へ向かって~
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「だいぶ減ったな……っていうか、これだけか?」
今度は逆に、画面の半分に収まるほどしかヒットしない。しかも、ルーペが映し出したような《木》のマークは無い。
「社章ではないってことですかね?」
昴が画面を見ながら冴島に問いかけた。
冴島はyesともnoとも答えられず、「う~ん……」と唸る。
「おや?」
静かに画面を見ていたジェームズが、ある社章を見て声を上げた。
もちろん、ルーペが映し出したマークとは全然違う。が、アルファベットで記された社名にデザインが施されていた。
枝と葉で頭文字の『K』というアルファベットが表現されており、文字と絵が一体化した斬新なデザインだ。
(ほ~ぅ。絵心のある人がデザインするとアルファベットもこんなにオシャレになるのか……)
感心したようにジェームズはその社章を眺めていた。
「ジェームズ、何をそんなに感心しているんだい?」
一人でニコニコしているジェームズに、冴島が問いかける。
「ああ、いや、すまない。全然関係ないところを見ていた。このアルファベットの『K』がとてもオシャレだな、と思ってね」
ジェームズは先ほどの社章を指さした。「どれ?」といって冴島もその社章を見る。
「ホントだ……確かにオシャレな社章だね。ジェームズが感心するのも分かるよ。そうか、こうやって絵と文字を組み合わせても……」
なるほど、と思いながら先程りおが描いたマークに視線を移した。
「あッ!!」
何かに気付いた冴島は、マークが描かれた紙を手に取る。マークをジッと見つめると、再びルーペに光を当てた。
「やっぱり……」
冴島は壁に映し出された光のマークを見てうなずいた。
「いったいどうしたんだ、冴島くん」
一人で納得している冴島を見て、ジェームズが何事かと問いただした。
「ああ、三人とも見てくれ。この《木》の幹の部分。ただの三角かと思ったんだが、よく見るとアルファベットの『A』に見えないか?」
「ホントだ」
「確かに……」
冴島に言われて光のマークを見ると、冴島が指摘するように、幹を現す三角形の中には、もう一つ同じ向きで小さな三角形がある。その形は確かに『A』に見えた。
「じゃあ、これもアルファベットと絵を組み合わせたマーク?」
りおが昴を見る。昴はジッと光を見つめ「『A』から始まる名前で、木や自然に関係する……」とつぶやいた。
「つまり『あ』から始まる名前ということか……うん? ちょっと待て。『あ』から始まる木のマーク……やはりどこかで……」
あとちょっと。あと少しで何か思い出せる。
冴島は眉間に指を当てた。確かに自分はこのマークを、以前どこかで見たことがある。
必死に記憶の糸を手繰り寄せた。
(いつだ? あのマークを見たのは……ずっと昔…まだ警察官に成り立ての……——)
「ッ!!」
遠い遠い記憶。
懐かしい思い出と共に、そのマークが冴島の脳裏にクッキリと浮かび上がった。
「思い出した!」
突然冴島が叫ぶ。
「このマークは『青茉(あおま)区』の区章だ!
昔……警察学校を卒業してすぐだ。公安に配属されたばかりの頃——。
俺と広瀬の二人で、初めて犯人を逮捕した場所が、確か青茉区だった。
現場は区役所の近く。逃亡する犯人を、ちょうど職員が付け替えようとしていた区章旗を使ってとっ捕まえたんだ!」
「青茉区!」
りおは急いで青茉区の区章を調べた。
「た、確かに! 青茉区の区章と同じだわ!」
PCの画面に映し出されたマークは、ペンダントが映し出した光のマークと同じだった。
「『茉』は『茉莉花(まつりか)』と書いてモクセイ科の常緑小低木のこと。つまり、ジャスミン。区章に描かれている木はジャスミンなのね」
りおは改めてマークを見る。
「広瀬のヤツ、よく覚えてたな……」
画面に映る区章を見て冴島が微笑んだ。
「父から冴島さんへのメッセージだったんですね。二人にとって『警察官として始まりの場所』を謎解きの中に入れたのですから」
父親にとってどれほど頼もしい親友だったのだろう。そんな仲間を手に入れていた父を少々うらやましいと思う。
自分にとって、そんな仲間は——
(風見さんと、降谷さん? あれ、上司しかいないや……)
同期ともう少し仲良くしておけば良かった、とりおは肩をすぼめた。
「しかし青茉区といってもかなり広いぞ」
冴島は地図を手に取った。
「おそらく、その次のヒントが『queue』なんだろう」
ジェームズの言葉を聞いて、全員がうなずく。
「神奈川県横浜市青茉区。県の南東に位置し海と接する。沿岸部は工場地帯。一方内陸は、自然が残る閑静な住宅街が広がり——」
りおは青茉区について調べ、詳細を読み上げた。
「なかなか住み心地が良さそうなところだね」
詳細を聞いていたジェームズが腕を組んだ。
「確かにいい所だ。東都のベッドタウンだよ。そしてこの青茉区のどこかに広瀬が証拠を……」
冴島は地図を広げ、区全体を見回す。
ネットに記載があった通り、県の南東部に位置しその東側は海に面していた。
「仮に青茉区をこの区章と重ね合わせると……『queue』の文字列は沿岸部になりますね。しかもやや斜めに書かれているのが気になります」
冴島が広げた地図を見ながら、昴が該当場所を指さした。
「確かにこの辺りは工業地帯で、周りは工場やタンカーばかりだ。しかも海沿いは埋め立てられてはいるものの、入り組んでいるから『列』にはなっていない」
こんな工場とタンカーが出入りする入江しかない所に、『列』をなすものなんて——
四人は地図を眺め、該当しそうなものを探した。
「海、か……。【太陽】…【風】…【水】…ん?」
地図を眺めながら、りおがお話の登場人物たちをつぶやく。【風】とつぶやいた時、地図上のある記号に気付いた。
「あ、この記号……風車、よね? この辺りは海風で風力発電をしているのかしら?」
「風力発電?」
昴が地図を見る。
「確かに再生可能エネルギーとして、風力発電は三十年以上前から注目されています。特に沿岸部は海風が常に吹いていますから、発電効率も良い。この地域に風力発電所があるのは理にかなっていますね」
りおが指さした地図記号を見る。その記号を一つ一つ目で追った。
「ッ! ずいぶんたくさん設置されていますね。しかもこの位置関係……まさに……」
『queue(列)!!』
りおと昴の目が合った。
「じゃあ、一真はこの辺りに証拠を⁉」
居ても立っても居られないと、冴島が立ち上がる。
「いえ、そうとは言い切れません。お話の登場人物にはまだ【水】があります。それについて謎が解けていません」
冷静な昴が冴島を見上げる。「そうか……」と言って冴島は再びソファーに座った。
「しかし、ペンダントからのヒントは全て解いた。この先はどうするつもりだい?」
ジェームズが昴に問いかける。
確かに、ルーペが映し出したものは『区章』と『queue』の文字
どちらの謎も解けた。
「まずは青茉区の風力発電所に行ってみるのが得策かと思います」
昴が地図から目を離し、ジェームズを見た。
「我々が持っている残りのヒントは、りおの『お話』だけです。現場に行ってもう一度お話について精査するのが一番近道でしょう」
「そうだな」
昴の意見に全員がうなずいた。
今度は逆に、画面の半分に収まるほどしかヒットしない。しかも、ルーペが映し出したような《木》のマークは無い。
「社章ではないってことですかね?」
昴が画面を見ながら冴島に問いかけた。
冴島はyesともnoとも答えられず、「う~ん……」と唸る。
「おや?」
静かに画面を見ていたジェームズが、ある社章を見て声を上げた。
もちろん、ルーペが映し出したマークとは全然違う。が、アルファベットで記された社名にデザインが施されていた。
枝と葉で頭文字の『K』というアルファベットが表現されており、文字と絵が一体化した斬新なデザインだ。
(ほ~ぅ。絵心のある人がデザインするとアルファベットもこんなにオシャレになるのか……)
感心したようにジェームズはその社章を眺めていた。
「ジェームズ、何をそんなに感心しているんだい?」
一人でニコニコしているジェームズに、冴島が問いかける。
「ああ、いや、すまない。全然関係ないところを見ていた。このアルファベットの『K』がとてもオシャレだな、と思ってね」
ジェームズは先ほどの社章を指さした。「どれ?」といって冴島もその社章を見る。
「ホントだ……確かにオシャレな社章だね。ジェームズが感心するのも分かるよ。そうか、こうやって絵と文字を組み合わせても……」
なるほど、と思いながら先程りおが描いたマークに視線を移した。
「あッ!!」
何かに気付いた冴島は、マークが描かれた紙を手に取る。マークをジッと見つめると、再びルーペに光を当てた。
「やっぱり……」
冴島は壁に映し出された光のマークを見てうなずいた。
「いったいどうしたんだ、冴島くん」
一人で納得している冴島を見て、ジェームズが何事かと問いただした。
「ああ、三人とも見てくれ。この《木》の幹の部分。ただの三角かと思ったんだが、よく見るとアルファベットの『A』に見えないか?」
「ホントだ」
「確かに……」
冴島に言われて光のマークを見ると、冴島が指摘するように、幹を現す三角形の中には、もう一つ同じ向きで小さな三角形がある。その形は確かに『A』に見えた。
「じゃあ、これもアルファベットと絵を組み合わせたマーク?」
りおが昴を見る。昴はジッと光を見つめ「『A』から始まる名前で、木や自然に関係する……」とつぶやいた。
「つまり『あ』から始まる名前ということか……うん? ちょっと待て。『あ』から始まる木のマーク……やはりどこかで……」
あとちょっと。あと少しで何か思い出せる。
冴島は眉間に指を当てた。確かに自分はこのマークを、以前どこかで見たことがある。
必死に記憶の糸を手繰り寄せた。
(いつだ? あのマークを見たのは……ずっと昔…まだ警察官に成り立ての……——)
「ッ!!」
遠い遠い記憶。
懐かしい思い出と共に、そのマークが冴島の脳裏にクッキリと浮かび上がった。
「思い出した!」
突然冴島が叫ぶ。
「このマークは『青茉(あおま)区』の区章だ!
昔……警察学校を卒業してすぐだ。公安に配属されたばかりの頃——。
俺と広瀬の二人で、初めて犯人を逮捕した場所が、確か青茉区だった。
現場は区役所の近く。逃亡する犯人を、ちょうど職員が付け替えようとしていた区章旗を使ってとっ捕まえたんだ!」
「青茉区!」
りおは急いで青茉区の区章を調べた。
「た、確かに! 青茉区の区章と同じだわ!」
PCの画面に映し出されたマークは、ペンダントが映し出した光のマークと同じだった。
「『茉』は『茉莉花(まつりか)』と書いてモクセイ科の常緑小低木のこと。つまり、ジャスミン。区章に描かれている木はジャスミンなのね」
りおは改めてマークを見る。
「広瀬のヤツ、よく覚えてたな……」
画面に映る区章を見て冴島が微笑んだ。
「父から冴島さんへのメッセージだったんですね。二人にとって『警察官として始まりの場所』を謎解きの中に入れたのですから」
父親にとってどれほど頼もしい親友だったのだろう。そんな仲間を手に入れていた父を少々うらやましいと思う。
自分にとって、そんな仲間は——
(風見さんと、降谷さん? あれ、上司しかいないや……)
同期ともう少し仲良くしておけば良かった、とりおは肩をすぼめた。
「しかし青茉区といってもかなり広いぞ」
冴島は地図を手に取った。
「おそらく、その次のヒントが『queue』なんだろう」
ジェームズの言葉を聞いて、全員がうなずく。
「神奈川県横浜市青茉区。県の南東に位置し海と接する。沿岸部は工場地帯。一方内陸は、自然が残る閑静な住宅街が広がり——」
りおは青茉区について調べ、詳細を読み上げた。
「なかなか住み心地が良さそうなところだね」
詳細を聞いていたジェームズが腕を組んだ。
「確かにいい所だ。東都のベッドタウンだよ。そしてこの青茉区のどこかに広瀬が証拠を……」
冴島は地図を広げ、区全体を見回す。
ネットに記載があった通り、県の南東部に位置しその東側は海に面していた。
「仮に青茉区をこの区章と重ね合わせると……『queue』の文字列は沿岸部になりますね。しかもやや斜めに書かれているのが気になります」
冴島が広げた地図を見ながら、昴が該当場所を指さした。
「確かにこの辺りは工業地帯で、周りは工場やタンカーばかりだ。しかも海沿いは埋め立てられてはいるものの、入り組んでいるから『列』にはなっていない」
こんな工場とタンカーが出入りする入江しかない所に、『列』をなすものなんて——
四人は地図を眺め、該当しそうなものを探した。
「海、か……。【太陽】…【風】…【水】…ん?」
地図を眺めながら、りおがお話の登場人物たちをつぶやく。【風】とつぶやいた時、地図上のある記号に気付いた。
「あ、この記号……風車、よね? この辺りは海風で風力発電をしているのかしら?」
「風力発電?」
昴が地図を見る。
「確かに再生可能エネルギーとして、風力発電は三十年以上前から注目されています。特に沿岸部は海風が常に吹いていますから、発電効率も良い。この地域に風力発電所があるのは理にかなっていますね」
りおが指さした地図記号を見る。その記号を一つ一つ目で追った。
「ッ! ずいぶんたくさん設置されていますね。しかもこの位置関係……まさに……」
『queue(列)!!』
りおと昴の目が合った。
「じゃあ、一真はこの辺りに証拠を⁉」
居ても立っても居られないと、冴島が立ち上がる。
「いえ、そうとは言い切れません。お話の登場人物にはまだ【水】があります。それについて謎が解けていません」
冷静な昴が冴島を見上げる。「そうか……」と言って冴島は再びソファーに座った。
「しかし、ペンダントからのヒントは全て解いた。この先はどうするつもりだい?」
ジェームズが昴に問いかける。
確かに、ルーペが映し出したものは『区章』と『queue』の文字
どちらの謎も解けた。
「まずは青茉区の風力発電所に行ってみるのが得策かと思います」
昴が地図から目を離し、ジェームズを見た。
「我々が持っている残りのヒントは、りおの『お話』だけです。現場に行ってもう一度お話について精査するのが一番近道でしょう」
「そうだな」
昴の意見に全員がうなずいた。