第8章 ~新たな決意を胸に~
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***
「ウォッカ、待て」
車を降り建物の裏口を探していたジンが声をかけた。建物と建物の間にある小さな通路を見つけ、その中を進む。
小さな鉄の扉の存在に気付き、ウォッカがそっと開ける。どうやら地下アジトに続く階段のようだ。ジンは口角を上げる。
気配を消して待っていると、やがて奥から足音が聞こえてきた。
「ウォッカ」
ジンはウォッカにアゴで指示を出す。
「わかりやした」
ウォッカは閃光弾を取り出すと、階段へと転がした。
コン…コロン…カコン…
階段を転がる閃光弾が乾いた音を立てる。やがて、コツンと壁にぶつかった瞬間——
カッ!!
強い光を発した。
扉の近くで外壁に背を付け、ジンとウォッカは光が治まるのを待つ。
完全に光が無くなったことを確認して階段を下りた。階段の中ほどには数名の工作員が顔を押さえ、見悶えていた。
「フン。ざまぁねえな」
パシュ!
パシュ!
パシュ!
目をやられて反撃できない者たちの頭を、サイレンサーの付いた銃で撃ち抜く。二人にとっては造作もない事だった。
「ハッ! あっけないもんだ」
四〜五人ほどの遺体が転がる様を見てジンが吐き捨てるように言った。
「さてと、ツラを拝ませてもらおうか」
折り重なるように倒れている男たちを、ジンは足で転がし顔を確認する。
「ッ! リュ・スンホが居ない⁉」
最後に転がした男の顔を見てジンの顔色が変わる。ヤツは組織が報復に来ることを読んでいた。
だからこそ【酸化ニッケルサマリウム】による隠れ蓑を使って工作員を配置させていた。そしてさらに、ベタな影武者まで用意して。
つまり今この瞬間も、本物のスンホが自分たちを狙っているかもしれない——。
ジンは忌々しそうに舌打ちをした。
「ウォッカ。予定通りアジトの心臓部に爆弾を仕掛ける。だが厄介なことに、ヤツがどこから狙っているか分からない。急ぐぞ」
「準備出来てますぜ、アニキ」
ウォッカは片手に持ったジュラルミンケースに、一瞬だけ視線を落とす。
「いくぞ」
「へい」
その場に転がる死体を蹴り飛ばしながら、二人は奥へと進んでいった。
迷路のような細い通路を進むと、右手側に大きな扉が視界に入った。
扉にはセキュリティーの高いロックがかけられている。おそらくこの中にオドゥムが日本を掌握するために必要な金や物資、その他にも裏工作で収集した情報などが収められているのだろう。
「アニキ、この壁……爆破できやすかね?」
ウォッカが扉に触れ、心配そうにジンを見た。
「まあ、やってみるしかねぇだろう。全部吹っ飛んじまうんならそれはそれで構わねぇ。万が一扉がぶっ飛ばなくても、爆発に気付いた日本警察にくれてやればいい。俺はここに有るモンに興味はねぇ。
日本にいるオドゥムの連中を一網打尽にするのが今回の目的だ。アジトが使い物にならなくなり、尚且つ部隊が全滅すればしばらく日本に手を出すことも困難だろう。オドゥムなんぞ、いずれC国ごとぶっ潰してやるさ」
ニヤリと笑うジンを見て、ウォッカもフッと口角を上げる。ジュラルミンケースを床に置くとすぐさま爆破の準備に入った。
同じ頃、コルンとキャンティはB班、C班と共に銃撃戦の中にいた。
「やつら、よく訓練されている。オレ、わくわくする」
コルンはコンテナの裏に身を隠し、時折顔を出しては工作員に向けて発砲していた。
一人、二人、と面白いように工作員が倒れる。キャンティもコルンの反対側から同じように攻撃していた。
『コルン、キャンティ! 聞こえますか?』
顔の横を数発の銃弾がかすめた時、ヘッドセットからバーボンの声がした。
「ああ、聞こえる」
コルンは銃弾をリロードしながら答えた。
『ドローンの赤外線カメラで確認したところ、桟橋付近に待機していた三名がそちらに移動しています。気を付けて』
「分かった」
コルンはリロードし終えた銃を海の方へ向ける。暗い海側をジッと見つめ、神経を尖らせた。
ドン!
ドン!
ドン!
三発の銃声と共に「ぐぁッ!」という悲鳴と、ドボ〜ン! という何かが海に落ちる音が三回闇の中で響いた。
「この暗闇で見えたのかい? コルン、やるじゃないか」
そばで見ていたキャンティが目を見張った。
「しっかし相手もかなりのやり手だね! 手持ちの弾も少なくなってきたし、そろそろさっきのアレ、使おうよ」
キャンティが目配せをすると、やや頬を赤くしたコルンが「ああ」と短く返事をして足元の武器に手を伸ばす。
先程使ったグレネードランチャーを肩に担ぎ、工作員が身を隠しているコンテナめがけてランチャー弾を放つ。
ドゴーン!!
コンテナがバラバラになった瞬間、そこにいた数名の工作員が一気に走り出す。
近くで銃を構えていた組織の構成員も、一斉に攻撃を仕掛けた。
「これで皆殺しだよ!!」
散り散りになって駆けだす工作員に向かって、キャンティが銃を向けると——
「将軍様万歳!!」
そう叫びながら近づいて来る工作員の手には武器だけでなく、リモコンのスイッチも握られていた。
ドゥオオオオォォォン!!
そこかしこで激しい爆音が相次いで響いた。
「ん? 何事だ?」
爆弾を仕掛け終え、再び地上に戻ろうとしていたジンが、激しい爆発音に眉根を寄せる。
『大変だよ、ジン!! 奴ら自爆しやがった! 総攻撃を仕掛けていたB班とC班が——』
ヘッドセットから聞こえたキャンティの声が珍しく上ずっている。
「チッ! やつらめ、敵わないと思えばすぐ自爆だな」
行くぞ、とジンがウォッカに声をかけ、身を翻したその瞬間——
ヒュン!
「ッ!」
ジンの喉元を狙ったナイフが空を切った。
「ウォッカ、待て」
車を降り建物の裏口を探していたジンが声をかけた。建物と建物の間にある小さな通路を見つけ、その中を進む。
小さな鉄の扉の存在に気付き、ウォッカがそっと開ける。どうやら地下アジトに続く階段のようだ。ジンは口角を上げる。
気配を消して待っていると、やがて奥から足音が聞こえてきた。
「ウォッカ」
ジンはウォッカにアゴで指示を出す。
「わかりやした」
ウォッカは閃光弾を取り出すと、階段へと転がした。
コン…コロン…カコン…
階段を転がる閃光弾が乾いた音を立てる。やがて、コツンと壁にぶつかった瞬間——
カッ!!
強い光を発した。
扉の近くで外壁に背を付け、ジンとウォッカは光が治まるのを待つ。
完全に光が無くなったことを確認して階段を下りた。階段の中ほどには数名の工作員が顔を押さえ、見悶えていた。
「フン。ざまぁねえな」
パシュ!
パシュ!
パシュ!
目をやられて反撃できない者たちの頭を、サイレンサーの付いた銃で撃ち抜く。二人にとっては造作もない事だった。
「ハッ! あっけないもんだ」
四〜五人ほどの遺体が転がる様を見てジンが吐き捨てるように言った。
「さてと、ツラを拝ませてもらおうか」
折り重なるように倒れている男たちを、ジンは足で転がし顔を確認する。
「ッ! リュ・スンホが居ない⁉」
最後に転がした男の顔を見てジンの顔色が変わる。ヤツは組織が報復に来ることを読んでいた。
だからこそ【酸化ニッケルサマリウム】による隠れ蓑を使って工作員を配置させていた。そしてさらに、ベタな影武者まで用意して。
つまり今この瞬間も、本物のスンホが自分たちを狙っているかもしれない——。
ジンは忌々しそうに舌打ちをした。
「ウォッカ。予定通りアジトの心臓部に爆弾を仕掛ける。だが厄介なことに、ヤツがどこから狙っているか分からない。急ぐぞ」
「準備出来てますぜ、アニキ」
ウォッカは片手に持ったジュラルミンケースに、一瞬だけ視線を落とす。
「いくぞ」
「へい」
その場に転がる死体を蹴り飛ばしながら、二人は奥へと進んでいった。
迷路のような細い通路を進むと、右手側に大きな扉が視界に入った。
扉にはセキュリティーの高いロックがかけられている。おそらくこの中にオドゥムが日本を掌握するために必要な金や物資、その他にも裏工作で収集した情報などが収められているのだろう。
「アニキ、この壁……爆破できやすかね?」
ウォッカが扉に触れ、心配そうにジンを見た。
「まあ、やってみるしかねぇだろう。全部吹っ飛んじまうんならそれはそれで構わねぇ。万が一扉がぶっ飛ばなくても、爆発に気付いた日本警察にくれてやればいい。俺はここに有るモンに興味はねぇ。
日本にいるオドゥムの連中を一網打尽にするのが今回の目的だ。アジトが使い物にならなくなり、尚且つ部隊が全滅すればしばらく日本に手を出すことも困難だろう。オドゥムなんぞ、いずれC国ごとぶっ潰してやるさ」
ニヤリと笑うジンを見て、ウォッカもフッと口角を上げる。ジュラルミンケースを床に置くとすぐさま爆破の準備に入った。
同じ頃、コルンとキャンティはB班、C班と共に銃撃戦の中にいた。
「やつら、よく訓練されている。オレ、わくわくする」
コルンはコンテナの裏に身を隠し、時折顔を出しては工作員に向けて発砲していた。
一人、二人、と面白いように工作員が倒れる。キャンティもコルンの反対側から同じように攻撃していた。
『コルン、キャンティ! 聞こえますか?』
顔の横を数発の銃弾がかすめた時、ヘッドセットからバーボンの声がした。
「ああ、聞こえる」
コルンは銃弾をリロードしながら答えた。
『ドローンの赤外線カメラで確認したところ、桟橋付近に待機していた三名がそちらに移動しています。気を付けて』
「分かった」
コルンはリロードし終えた銃を海の方へ向ける。暗い海側をジッと見つめ、神経を尖らせた。
ドン!
ドン!
ドン!
三発の銃声と共に「ぐぁッ!」という悲鳴と、ドボ〜ン! という何かが海に落ちる音が三回闇の中で響いた。
「この暗闇で見えたのかい? コルン、やるじゃないか」
そばで見ていたキャンティが目を見張った。
「しっかし相手もかなりのやり手だね! 手持ちの弾も少なくなってきたし、そろそろさっきのアレ、使おうよ」
キャンティが目配せをすると、やや頬を赤くしたコルンが「ああ」と短く返事をして足元の武器に手を伸ばす。
先程使ったグレネードランチャーを肩に担ぎ、工作員が身を隠しているコンテナめがけてランチャー弾を放つ。
ドゴーン!!
コンテナがバラバラになった瞬間、そこにいた数名の工作員が一気に走り出す。
近くで銃を構えていた組織の構成員も、一斉に攻撃を仕掛けた。
「これで皆殺しだよ!!」
散り散りになって駆けだす工作員に向かって、キャンティが銃を向けると——
「将軍様万歳!!」
そう叫びながら近づいて来る工作員の手には武器だけでなく、リモコンのスイッチも握られていた。
ドゥオオオオォォォン!!
そこかしこで激しい爆音が相次いで響いた。
「ん? 何事だ?」
爆弾を仕掛け終え、再び地上に戻ろうとしていたジンが、激しい爆発音に眉根を寄せる。
『大変だよ、ジン!! 奴ら自爆しやがった! 総攻撃を仕掛けていたB班とC班が——』
ヘッドセットから聞こえたキャンティの声が珍しく上ずっている。
「チッ! やつらめ、敵わないと思えばすぐ自爆だな」
行くぞ、とジンがウォッカに声をかけ、身を翻したその瞬間——
ヒュン!
「ッ!」
ジンの喉元を狙ったナイフが空を切った。