第6.5章 ~宝探し~
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離れにある倉に到着した元太、光彦、歩美は、倉の扉に近づいた。
「カギ…かかってないね」
「かんぬきだけですから、すぐに開けられますよ」
「コナン達もじきにくるだろうし、開けちまおーぜ」
壊れそうなモンもねぇしよ、という元太の言葉に光彦がうなずく。3人は協力して金具に通してあった長いかんぬきを外した。
ギギギイィィ…
大きな扉が音を立てて開いた。
そこにコナンと哀も到着する。
「お! 扉開いたのか」
「ええ。カギは無く、かんぬきだけでしたから」
大きく口を開いた倉の中に5人は足を踏み入れた。
倉の中には古いタンスや良く分からない道具が所狭しと置いてある。
どれも木製で腕の良い職人が作った物ばかり。鑑定をしてもらえば骨董品としていい値がつくだろうと簡単に想像できる。
「さすが名家ね。置いてある道具も高級品ばかりだわ」
腕時計型のライトを照らし、哀がため息をついた。
「あら、みんな早速探しているのね」
四方八方に見える小さなライトの光を見て、到着したばかりのさくらが声をかけた。
「兄ちゃんたち、遅かったな」
元太が顔をあげて訊ねた。
「え、ええ。ちょっとアクシデントが…」
バツが悪そうに昴が答える。それを見てさくらが口元を押さえ、声を立てずに笑った。
「あ! これじゃねぇか!?」
20分程探しただろうか。突然元太が叫んだ。
「えっ! 見つけたんですか?」
全員が元太の元へと集まった。元太の手には古ぼけた布がある。
「これが地図?」
『紙の地図』だと思っていた歩美は半信半疑だ。
「でもよ、こうやって広げると…」
元太が布を開くと、地図——というより何かの絵のようなものが描かれていた。
「ええっと…これは川…ですかね。あと…池? 周りに草みたいなのが生えてます。こっちは木のようですね。それから……これは何でしょう?」
光彦が大きな木の近くに描かれたマークを指差す。弾丸のような形にも見えるし、墓石のようにも見える。
「これ…祠(ほこら)じゃないかしら」
地図を覗き込んでいたさくらがつぶやいた。
「ほこら?」
「ええ。神様を祀る小さな殿舎(でんしゃ)のことよ。神社の簡略形で、昔は集落の入口とか十字路、農地とかに建てられていたの。
ほら、ここもちょうど分かれ道だし、マークの形もよくある祠の形に似てるわ」
さくらの説明を聞いて、みんなが「へ~え」と声を上げた。
「でも……この地図いったいどこの事なんでしょう」
地図に載っているのは川と道と祠。
その近くにはおおきな木。
そして草がたくさん生えている池。
しかし、この近辺は大きな商業施設や住宅街があるばかりで、思い当たる所がない。
そこへ当主の衛が倉に顔を出した。
「おや、もう地図を見つけましたか。さすがは少年探偵団ですね」
嬉しそうに目を細め、パチパチと手を叩いた。
「ではヒントをもう一つ。その地図はかなり古いですからね。そこに書いてあるもののいくつかは、ずいぶん様子が変わってしまいました」
衛は子どもたちの為に、もう一つのヒントを教えてくれた。
「え~ッ! それじゃあこの地図、全然あてになんねぇじゃんか!」
元太が口を尖らせる。せっかくみつけたのによぅ、と残念そうに下を向いた。
「どこだか分からなきゃ、先に進めないよね」
歩美もどうしていいか分からず、そのまま黙り込んでしまった。哀やコナン、大人たちも、顔を見合わせ考え込む。
「今と様子が変わってしまった……」
衛のヒントを聞いて、光彦がアゴに手を当てた。
「あ! そういえばこの辺り、昔は池があったと聞きたことがあります! 東都の中ではわりと沼地が多く、葦(あし)が生い茂る場所がたくさんあったって。今は埋め立てられて、公園になっているとか……」
「ねえ、それって……さっき来る時に通った公園じゃないかな」
「そういや、小さい川もあったぞ」
光彦、歩美、元太が口々に叫ぶ。
「では先程の公園まで行ってみましょう」
昴の提案で、探偵団は園城寺家からほど近い公園へと急いだ。
公園の敷地内に入ると、大きな桜の木が見えた。
「あったよ~!」
先に到着していた歩美が、みんなの方へ向かって叫ぶ。桜の木の下には、石でできた小さな祠が祀られていた。
少し遅れて元太と光彦、後には哀、コナン、さくら、昴と続いた。
「確かに祠はあるけど……。でもすでに池は無いし、川も…この小さな用水路? ここに何かあるのかしら」
さくらは辺りを見回す。元太と光彦が公園の周りをグルグルと歩き回った。
が、他に地図に書かれたものは無い。
ふと、歩美が祠の中を覗き込んだ。石でできたそれには何か彫られている。
「どうした歩美?」
祠の前で動かなくなった歩美にコナンが声をかけた。
「う~ん…。女神様が彫ってあるみたいなんだけど……手に持っているの何かな~って思って……」
「女神様?」
ちょっと見せてみ、とコナンが祠に近づく。
確かに祠には人のようなものが彫られており、手に何かを持っていた。
「私にも見せてくれる?」
さくらが祠を覗き込む。
「何か丸いものを持ってる様に見えるけど……」
さくらはそっと石に触れ、形をなぞった。
「丸いもの? 日本神話の中で神様が授けたのは『剣』と『勾玉』と『鏡』…」
コナンは腕を組んで考え込んだ。
「『三種の神器』のことだったら、鏡が一番近いけど…。あとは神具の中に丸いものって……?」
コナンの脳裏に一般的な神棚が浮かぶ。
白木で出来た『神棚』
水を入れてお供えする『水玉』
米や塩をお供えする『皿』
榊(さかき)の枝を入れる『榊立て』
お酒をお供えする『瓶子(へいじ)』
神様をお祀りする『神鏡(しんきょう)』……
その他にもお供え物を載せる『三宝(さんぽう)』など上げればいろいろある。
が、やはりこの女神が持つ《丸いもの》に近いのは鏡くらいだろうか。
「鏡? そういえば園城寺家の神棚にも神鏡がありましたね。とても立派なものが」
「「「え!?」」」
昴の言葉にコナンとさくら、哀が振り返った。
「ええ。先程お話を伺った広い部屋に神棚がありましたよね。
そこにお皿や瓶子(へいじ)などの他に、とても立派な鏡がありました。
かなりの大きさがあって、ちょうどこの女神が手にしている大きさと同じくらいだったと思います」
昴も祠を覗き込み、彫られている女神と丸の大きさを確認した。
「足がしびれて青い顔してたのに……昴さん、よく神棚なんて見てたわね」
さくらがニヤリと笑って昴を見る。
「さくら、一言余計です……」
昴はバツが悪そうに口をとがらせた。滅多に見せないその顔に、さくらは口元を押さえて必死に笑いを堪える。
(ま~ったく…子どもの目の前でイチャイチャしちゃって……)
哀はチラリと大人組を見上げ、ため息をつく。気を取り直して再び祠に視線を移し、ジッと観察した。
「女神が持ってるものが神鏡だとすると、確かにけっこうな大きさね」
祠に彫られている女神像は、丸いものを抱きかかえるようにして持っている。
一般的な神鏡と比べればかなり大きい。これが本当に神様の《御神体》である神鏡なのだろうか。
「と、とりあえず園城寺家に戻って、現物を見た方が早いかもしれねーな」
コナンがみんなに声をかける。
「そうですね」
昴も同意し、さくら、哀、歩美もうなずいた。
「元太! 光彦! 戻ってこーい! お屋敷に戻るぞー!!」
「え? 何か分かったんですか!?」
「え~! も、もう戻るのかよ? オレ、ここに来てなんもしてねーぞ」
コナンの呼びかけに二人は顔を見合わせる。公園の外まで出ていたため、慌ててUターンした。
息を切らした二人が合流し全員が揃ったところで、7人は園城寺のお屋敷へと戻った。
「カギ…かかってないね」
「かんぬきだけですから、すぐに開けられますよ」
「コナン達もじきにくるだろうし、開けちまおーぜ」
壊れそうなモンもねぇしよ、という元太の言葉に光彦がうなずく。3人は協力して金具に通してあった長いかんぬきを外した。
ギギギイィィ…
大きな扉が音を立てて開いた。
そこにコナンと哀も到着する。
「お! 扉開いたのか」
「ええ。カギは無く、かんぬきだけでしたから」
大きく口を開いた倉の中に5人は足を踏み入れた。
倉の中には古いタンスや良く分からない道具が所狭しと置いてある。
どれも木製で腕の良い職人が作った物ばかり。鑑定をしてもらえば骨董品としていい値がつくだろうと簡単に想像できる。
「さすが名家ね。置いてある道具も高級品ばかりだわ」
腕時計型のライトを照らし、哀がため息をついた。
「あら、みんな早速探しているのね」
四方八方に見える小さなライトの光を見て、到着したばかりのさくらが声をかけた。
「兄ちゃんたち、遅かったな」
元太が顔をあげて訊ねた。
「え、ええ。ちょっとアクシデントが…」
バツが悪そうに昴が答える。それを見てさくらが口元を押さえ、声を立てずに笑った。
「あ! これじゃねぇか!?」
20分程探しただろうか。突然元太が叫んだ。
「えっ! 見つけたんですか?」
全員が元太の元へと集まった。元太の手には古ぼけた布がある。
「これが地図?」
『紙の地図』だと思っていた歩美は半信半疑だ。
「でもよ、こうやって広げると…」
元太が布を開くと、地図——というより何かの絵のようなものが描かれていた。
「ええっと…これは川…ですかね。あと…池? 周りに草みたいなのが生えてます。こっちは木のようですね。それから……これは何でしょう?」
光彦が大きな木の近くに描かれたマークを指差す。弾丸のような形にも見えるし、墓石のようにも見える。
「これ…祠(ほこら)じゃないかしら」
地図を覗き込んでいたさくらがつぶやいた。
「ほこら?」
「ええ。神様を祀る小さな殿舎(でんしゃ)のことよ。神社の簡略形で、昔は集落の入口とか十字路、農地とかに建てられていたの。
ほら、ここもちょうど分かれ道だし、マークの形もよくある祠の形に似てるわ」
さくらの説明を聞いて、みんなが「へ~え」と声を上げた。
「でも……この地図いったいどこの事なんでしょう」
地図に載っているのは川と道と祠。
その近くにはおおきな木。
そして草がたくさん生えている池。
しかし、この近辺は大きな商業施設や住宅街があるばかりで、思い当たる所がない。
そこへ当主の衛が倉に顔を出した。
「おや、もう地図を見つけましたか。さすがは少年探偵団ですね」
嬉しそうに目を細め、パチパチと手を叩いた。
「ではヒントをもう一つ。その地図はかなり古いですからね。そこに書いてあるもののいくつかは、ずいぶん様子が変わってしまいました」
衛は子どもたちの為に、もう一つのヒントを教えてくれた。
「え~ッ! それじゃあこの地図、全然あてになんねぇじゃんか!」
元太が口を尖らせる。せっかくみつけたのによぅ、と残念そうに下を向いた。
「どこだか分からなきゃ、先に進めないよね」
歩美もどうしていいか分からず、そのまま黙り込んでしまった。哀やコナン、大人たちも、顔を見合わせ考え込む。
「今と様子が変わってしまった……」
衛のヒントを聞いて、光彦がアゴに手を当てた。
「あ! そういえばこの辺り、昔は池があったと聞きたことがあります! 東都の中ではわりと沼地が多く、葦(あし)が生い茂る場所がたくさんあったって。今は埋め立てられて、公園になっているとか……」
「ねえ、それって……さっき来る時に通った公園じゃないかな」
「そういや、小さい川もあったぞ」
光彦、歩美、元太が口々に叫ぶ。
「では先程の公園まで行ってみましょう」
昴の提案で、探偵団は園城寺家からほど近い公園へと急いだ。
公園の敷地内に入ると、大きな桜の木が見えた。
「あったよ~!」
先に到着していた歩美が、みんなの方へ向かって叫ぶ。桜の木の下には、石でできた小さな祠が祀られていた。
少し遅れて元太と光彦、後には哀、コナン、さくら、昴と続いた。
「確かに祠はあるけど……。でもすでに池は無いし、川も…この小さな用水路? ここに何かあるのかしら」
さくらは辺りを見回す。元太と光彦が公園の周りをグルグルと歩き回った。
が、他に地図に書かれたものは無い。
ふと、歩美が祠の中を覗き込んだ。石でできたそれには何か彫られている。
「どうした歩美?」
祠の前で動かなくなった歩美にコナンが声をかけた。
「う~ん…。女神様が彫ってあるみたいなんだけど……手に持っているの何かな~って思って……」
「女神様?」
ちょっと見せてみ、とコナンが祠に近づく。
確かに祠には人のようなものが彫られており、手に何かを持っていた。
「私にも見せてくれる?」
さくらが祠を覗き込む。
「何か丸いものを持ってる様に見えるけど……」
さくらはそっと石に触れ、形をなぞった。
「丸いもの? 日本神話の中で神様が授けたのは『剣』と『勾玉』と『鏡』…」
コナンは腕を組んで考え込んだ。
「『三種の神器』のことだったら、鏡が一番近いけど…。あとは神具の中に丸いものって……?」
コナンの脳裏に一般的な神棚が浮かぶ。
白木で出来た『神棚』
水を入れてお供えする『水玉』
米や塩をお供えする『皿』
榊(さかき)の枝を入れる『榊立て』
お酒をお供えする『瓶子(へいじ)』
神様をお祀りする『神鏡(しんきょう)』……
その他にもお供え物を載せる『三宝(さんぽう)』など上げればいろいろある。
が、やはりこの女神が持つ《丸いもの》に近いのは鏡くらいだろうか。
「鏡? そういえば園城寺家の神棚にも神鏡がありましたね。とても立派なものが」
「「「え!?」」」
昴の言葉にコナンとさくら、哀が振り返った。
「ええ。先程お話を伺った広い部屋に神棚がありましたよね。
そこにお皿や瓶子(へいじ)などの他に、とても立派な鏡がありました。
かなりの大きさがあって、ちょうどこの女神が手にしている大きさと同じくらいだったと思います」
昴も祠を覗き込み、彫られている女神と丸の大きさを確認した。
「足がしびれて青い顔してたのに……昴さん、よく神棚なんて見てたわね」
さくらがニヤリと笑って昴を見る。
「さくら、一言余計です……」
昴はバツが悪そうに口をとがらせた。滅多に見せないその顔に、さくらは口元を押さえて必死に笑いを堪える。
(ま~ったく…子どもの目の前でイチャイチャしちゃって……)
哀はチラリと大人組を見上げ、ため息をつく。気を取り直して再び祠に視線を移し、ジッと観察した。
「女神が持ってるものが神鏡だとすると、確かにけっこうな大きさね」
祠に彫られている女神像は、丸いものを抱きかかえるようにして持っている。
一般的な神鏡と比べればかなり大きい。これが本当に神様の《御神体》である神鏡なのだろうか。
「と、とりあえず園城寺家に戻って、現物を見た方が早いかもしれねーな」
コナンがみんなに声をかける。
「そうですね」
昴も同意し、さくら、哀、歩美もうなずいた。
「元太! 光彦! 戻ってこーい! お屋敷に戻るぞー!!」
「え? 何か分かったんですか!?」
「え~! も、もう戻るのかよ? オレ、ここに来てなんもしてねーぞ」
コナンの呼びかけに二人は顔を見合わせる。公園の外まで出ていたため、慌ててUターンした。
息を切らした二人が合流し全員が揃ったところで、7人は園城寺のお屋敷へと戻った。