第6.5章 ~宝探し~
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赤井とりおが穏やかな朝を迎えた日の昼前。
警視庁公安部——
風見は報告書を携えて降谷の元へと足を運んだ。今日は珍しく上司が警視庁へ顔を出している。
「失礼します。降谷さん、先日行われたライブハウスの一斉摘発の件、報告書が出来ました」
「ああ、ご苦労だったな」
降谷はパソコンから顔を上げ風見から書類の束を受け取った。
「そういえば、前島は今日起訴されるそうだな」
「あ、はい。本人も罪を認めていますし、今回は呉たちに利用されていました。再犯の可能性も薄いため、おそらく執行猶予が付くでしょう」
風見は表情を崩さずに答えた。
「そうだな。ただ写真家として賞を取っていた関係でマスコミが少し騒いだようだ。
そのため、立件したのは《銃刀法違反》のみ。広瀬や少年探偵団へのストーカー行為は、広瀬の正体がバレる可能性もあるため伏せてある。今後もその辺りをマスコミに探られないよう、注意を怠るなよ」
「はい」
降谷も硬い表情のまま、風見に釘を刺す。
ライブハウス内での違法拳銃や麻薬などに関与しなかったのは不幸中の幸いだな、と降谷は小さくつぶやいた。
今回前島が兄の仇討ちと称して犯した罪は3つ。
銃を所持していた《銃刀法違反》
りおや少年探偵団をつけ狙った《軽犯罪法違反》
そして沖矢昴に対する《暴行及び傷害罪》だ。
ただし、昴に対する罪は被害者が実在しない上、被害者本人も取り調べを拒否したため立件しなかった。
ストーカー行為も先ほどの理由から公安部はもみ消しを図っている。
結局のところ、かつて学生時代(中国にいた頃)の顔見知りに銃を預けられ、中身を知らず所持していた——という、公安お得意の違法捜査により起訴されることになる。
「本当ならば、彼が行った犯罪はこんな軽微なものでは済まされないが、マスコミにも叩かれ社会的制裁を受けた。彼も十分反省をしているし、これで良かったのかもな」
降谷は報告書の束を広げ、表情を緩めた。
「はい。聞くところによると、前島はカメラマンとして写真を続けるようです。しばらくは誹謗中傷もあるかもしれませんが、今の彼なら……きっと立ち直って、またいい作品を我々に見せてくれるでしょう」
珍しくパッと笑顔になった風見を見て、降谷は目を丸くする。
「風見、もしかして前島翔太の写真展に行ったのか?」
先ほどの話しぶりからして、彼の作品をよく知っているように思える。
「エッ! え、ええ…まあ…。彼の動物の写真、好きなんですよ。それで以前非番の時に…ですね…」
風見は照れくさそうに頭を掻いた。
(なるほど。どうりでハロの面倒をよく見てくれるわけだ)
部下の知らなかった一面を垣間見て、降谷はフフッと笑った。
トントン
場が少し和んだ時、ドアのノックが聞こえた。
「どうぞ」
降谷が声をかける。
「Hello!」
ドアを開けて入ってきたのは——長身で金髪、青い瞳の男。
元FBI捜査官、そして元連続殺人犯《ミシェル》、現在は情報屋のルークだった。
キャップとサングラスで変装し、パーカーにジーンズというラフな出で立ち。
目立たないようにしているのだろうが、均整の取れた体はスタイルが良すぎて逆に目立つ。
本人はおそらく気付いてない。というより、まったく気にしている様子はない。
「ッ!」
驚いた顔をする風見に「僕が呼んだんだよ」と降谷は笑顔を向けた。警戒のため、気を張りつめた風見が「そうですか」と肩の力を抜く。
「そんな簡単な変装でバレないですか?」
席を立った降谷が、やや呆れ顔でルークに問いかけた。
「そのドアの前まではマスクも付けていたから。ま、正体バレるより、不審者扱いされる可能性の方が高かったけど」
ケラケラと楽しそうに笑うルークを見て、風見はやれやれとため息をついた。
国をまたいでの今回の事件——
ルークの情報にはずいぶん助けられた。
趙の来日をいち早くキャッチしたのも、チェンシーが追っていた情報屋が《趙》だということも、全て彼の情報によるものだ。
もちろん、5年前のマレーシアの脱出劇についてもそうだ。
ルーク(ノエル)はかつて、ジンからケンバリでの脱出劇の惨状を聞かされていた。
それゆえ目撃者の存在を不審に感じ、それを降谷に耳打ちしていた。
そこからチェンシーへ疑惑の目が向けられたのだ。
「今回の事件解決は、彼の力無くしては成し得なかったよ」
複雑そうな顔をする風見を見ながら、降谷は笑顔で説明した。
「ところで——。前島の一件ですっかり後回しになってしまいましたが、《アロン・モーリス》についてはどうなっていますか?」
応接セットに腰を下ろし、降谷はルークに問いかける。
りおと昴で潜入した例の捜査(違法カジノのガサ入れ)から、ずいぶん日にちが経ってしまっている。
そのためか先程とは違い、降谷の顔はやや険しい。
この件に関しては風見も一緒に聞いて欲しいと降谷に言われ、風見も表情を固くしてルークの話に耳を傾けた。
警視庁公安部——
風見は報告書を携えて降谷の元へと足を運んだ。今日は珍しく上司が警視庁へ顔を出している。
「失礼します。降谷さん、先日行われたライブハウスの一斉摘発の件、報告書が出来ました」
「ああ、ご苦労だったな」
降谷はパソコンから顔を上げ風見から書類の束を受け取った。
「そういえば、前島は今日起訴されるそうだな」
「あ、はい。本人も罪を認めていますし、今回は呉たちに利用されていました。再犯の可能性も薄いため、おそらく執行猶予が付くでしょう」
風見は表情を崩さずに答えた。
「そうだな。ただ写真家として賞を取っていた関係でマスコミが少し騒いだようだ。
そのため、立件したのは《銃刀法違反》のみ。広瀬や少年探偵団へのストーカー行為は、広瀬の正体がバレる可能性もあるため伏せてある。今後もその辺りをマスコミに探られないよう、注意を怠るなよ」
「はい」
降谷も硬い表情のまま、風見に釘を刺す。
ライブハウス内での違法拳銃や麻薬などに関与しなかったのは不幸中の幸いだな、と降谷は小さくつぶやいた。
今回前島が兄の仇討ちと称して犯した罪は3つ。
銃を所持していた《銃刀法違反》
りおや少年探偵団をつけ狙った《軽犯罪法違反》
そして沖矢昴に対する《暴行及び傷害罪》だ。
ただし、昴に対する罪は被害者が実在しない上、被害者本人も取り調べを拒否したため立件しなかった。
ストーカー行為も先ほどの理由から公安部はもみ消しを図っている。
結局のところ、かつて学生時代(中国にいた頃)の顔見知りに銃を預けられ、中身を知らず所持していた——という、公安お得意の違法捜査により起訴されることになる。
「本当ならば、彼が行った犯罪はこんな軽微なものでは済まされないが、マスコミにも叩かれ社会的制裁を受けた。彼も十分反省をしているし、これで良かったのかもな」
降谷は報告書の束を広げ、表情を緩めた。
「はい。聞くところによると、前島はカメラマンとして写真を続けるようです。しばらくは誹謗中傷もあるかもしれませんが、今の彼なら……きっと立ち直って、またいい作品を我々に見せてくれるでしょう」
珍しくパッと笑顔になった風見を見て、降谷は目を丸くする。
「風見、もしかして前島翔太の写真展に行ったのか?」
先ほどの話しぶりからして、彼の作品をよく知っているように思える。
「エッ! え、ええ…まあ…。彼の動物の写真、好きなんですよ。それで以前非番の時に…ですね…」
風見は照れくさそうに頭を掻いた。
(なるほど。どうりでハロの面倒をよく見てくれるわけだ)
部下の知らなかった一面を垣間見て、降谷はフフッと笑った。
トントン
場が少し和んだ時、ドアのノックが聞こえた。
「どうぞ」
降谷が声をかける。
「Hello!」
ドアを開けて入ってきたのは——長身で金髪、青い瞳の男。
元FBI捜査官、そして元連続殺人犯《ミシェル》、現在は情報屋のルークだった。
キャップとサングラスで変装し、パーカーにジーンズというラフな出で立ち。
目立たないようにしているのだろうが、均整の取れた体はスタイルが良すぎて逆に目立つ。
本人はおそらく気付いてない。というより、まったく気にしている様子はない。
「ッ!」
驚いた顔をする風見に「僕が呼んだんだよ」と降谷は笑顔を向けた。警戒のため、気を張りつめた風見が「そうですか」と肩の力を抜く。
「そんな簡単な変装でバレないですか?」
席を立った降谷が、やや呆れ顔でルークに問いかけた。
「そのドアの前まではマスクも付けていたから。ま、正体バレるより、不審者扱いされる可能性の方が高かったけど」
ケラケラと楽しそうに笑うルークを見て、風見はやれやれとため息をついた。
国をまたいでの今回の事件——
ルークの情報にはずいぶん助けられた。
趙の来日をいち早くキャッチしたのも、チェンシーが追っていた情報屋が《趙》だということも、全て彼の情報によるものだ。
もちろん、5年前のマレーシアの脱出劇についてもそうだ。
ルーク(ノエル)はかつて、ジンからケンバリでの脱出劇の惨状を聞かされていた。
それゆえ目撃者の存在を不審に感じ、それを降谷に耳打ちしていた。
そこからチェンシーへ疑惑の目が向けられたのだ。
「今回の事件解決は、彼の力無くしては成し得なかったよ」
複雑そうな顔をする風見を見ながら、降谷は笑顔で説明した。
「ところで——。前島の一件ですっかり後回しになってしまいましたが、《アロン・モーリス》についてはどうなっていますか?」
応接セットに腰を下ろし、降谷はルークに問いかける。
りおと昴で潜入した例の捜査(違法カジノのガサ入れ)から、ずいぶん日にちが経ってしまっている。
そのためか先程とは違い、降谷の顔はやや険しい。
この件に関しては風見も一緒に聞いて欲しいと降谷に言われ、風見も表情を固くしてルークの話に耳を傾けた。