第6章 ~遠い日の約束~
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***
同じ頃、小さなライブハウス——
店内は大音響で音楽が鳴り、客たちも曲に合わせて体を揺らす。色とりどりのライトが狭いステージと客席を照らしていた。
店のバックヤードに呉 の姿がある。そこへ簡単な変装をした前島が姿を現した。周りをキョロキョロと見回すと、呉のいる部屋へと身を滑らせた。
「尾行されてないな?」
「ああ。そんなヘマはしないよ」
目深にかぶった帽子を取ると、前島は呉に向かって返事をした。
「ラスティーのねぐらは分かったか?」
「いや、あの女の尾行はしてない」
乱れた髪をかき上げ、さも当然と言わんばかりに前島が答える。
「なぜだ? てっきり仇討ちをすると思っていたが……。怖気づいたのか?」
呉は鋭い目で前島を見た。
「いや、あいつは兄さんと共に戦った女だ。兄さんから戦い方の全てを学んでいる。素人の俺がヤツを殺そうとしたって無理な話さ。勝てない勝負を挑むほど、俺はバカじゃない」
呉の視線をものともせず、前島はフッと笑ってやり過ごす。
「あの女には…俺が感じた苦しみをタップリ味わってもらうさ。死ぬより苦しい思いをさせてやる」
血がにじむほど強く握り閉められた拳に、前島の恨みの強さを感じる。
「フン。まあ良いさ」
呉はグラスに入っていたウィスキーを一気に煽った。
「あんたの情報屋…趙 だっけ? ヤツには感謝しているよ。1年前、まだカメラマンとして駆け出しの俺に声をかけ、金を無心していった食えない男だったが……。
半年前に兄さんの命日でマレーシアを訪れた時、兄さんがケンバリで『潜入捜査』をしていたこと、そして『仲間を見捨てボートで逃げた女がいる』ことを教えてくれた。
出張先のマレーシアで爆発に巻き込まれて事故死した、と中国警察から聞かされていた俺にとって、あれがすべての始まりだった」
呉は空いたグラスにウイスキーを注ぐと前島に手渡す。前島はそれを一気に飲み干した。
「ほ~ぅ。俺はケンバリにONCが潜入していたことは壊滅後、少し経ってから知ったんだ。
構成員は戦闘でほぼ全滅していたから、ケンバリの財産はマレーシアの軍か警察組織、もしくは第三者として別の連中が押収したと思っていた。
それで情報屋数人を関係者に付け、探りを入れさせたんだ。
残念ながら財産はNO.2の男がほとんど持ち出したらしくて空振りだったが、趙が張り付いた獲物 が良い情報をくれたらしい」
呉は再びグラスにウィスキーを注ぐ。琥珀色の液体がトクトクとグラスを満たした。
「あの情報は俺にとっても有益だった。ラスティーがあの組織で本当にNOCかどうかなんてどうでも良い。【疑わしきは罰する】ジンはそういう男だ。ラスティーはお前が手を掛けなくても、あの男が始末をつけるだろう……。
ヤツが女を始末する前に、その苦しみとやらを早く与えてやるんだな。俺はあの男に取り入って、組織の深部へ食い込めれば——」
ウイスキーを飲みながら嬉しそうに話す呉を見て、前島が笑う。
「フフッ。あんたも食えねぇヤツだな。でもまあ、あんたのアドバイスもなかなか良かったよ。
バーボンとか言ったか。組織の男とあの女がいつも行動を共にしているというから、男が潜入しているポアロとかいう店に写真展のペアチケットを置いてきたんだ。
一緒に来た男はバーボンでは無かったが、俺の写真を気に入ったヤツらは、のこのこと個展にまで来やがった。俺が仕掛けたトラップに、まんまと引っかかったのさ。
ヤツは俺が恨みを抱いている事を知った。かなり動揺していたよ。フフフ。せいぜい苦しんでくれ。俺が受けた苦しみはこんなものではない」
ニヤリと笑った前島の顔には狂気の色が浮かぶ。そんな前島を見た呉もまた、静かに口角を上げた。
2時間後——
酔いも回り、前島はライブハウスを出た。酒で火照った体に夜風が心地いいのか、前島は上機嫌だ。徒歩数分のところに、呉が用意したアパートがある。白い息を吐きながら歩き出した。
どうやってあの女をいたぶるか——。
前島の頭の中はそのことでいっぱいだ。フラフラとおぼつかない足取りでアパートに向かう前島を、通りがかった男がチラリと視線を送る。
そのまま男はライブハウスの中へと入っていった。
「趙か……久しぶりだな。米花町で別れて以来か」
ライブハウスのバーカウンターにいた呉は、来たばかりの男に声をかけた。
「ああ。ところで、今出て行ったヤツは前島か? だいぶ酔っていたようだな」
バーのイスに座ってビールを頼むこの男、《趙天明 》は、呉が囲う情報屋の一人であり、先日北京からの直行便で日本に来たサングラスの男である。
「ああ、そうだ。ラスティーをいたぶれると言ってご機嫌だったよ」
生ビールを勢いよくジョッキに注ぐと、呉は趙の前に置く。趙はそれを一気にあおった。
「俺の情報はずいぶん役に立ったようだな」
泡の付いた口元を手の甲で拭い、趙は得意げに話す。
「ああ、もちろんだ。ヤツにとっても俺にとってもな。しかし、よくあんな凄い情報を手に入れらたものだな」
呉はタバコを取り出して箱を振り、趙に一本勧めた。
「そりゃそうさ。3年近くもターゲットに張り付いて信頼を得たんだ。苦労したんだぜ」
「フフフ。なかなかやるじゃないか」
趙がタバコを受け取り口にくわえると、呉はその先にライターの火を近づける。
趙は煙を吐き出すと「それほどでもないさ」と笑った。
「万が一の時は前島が切り札になる。あのジン相手だ。ぬかりが無いようにしねぇとな」
呉は自分のタバコにも火を点けると、気怠く煙を吐き出した。
「ああ、そうそう。空港に迎えに来てもらった時に頼まれたモンは、美術館へ行った時に前島に渡したぜ」
同じように趙も紫炎をくゆらせる。再びジョッキに口を付けると、趙は残りのビールを流し込んだ。
「そうか」
呉はニヤリと口角を上げた。二人の周りにはタバコの煙が充満する。ライトの光が当たってことさら白く煙った。
「ラスティーがNOCかどうかはさておき、次はどうするんだ?」
趙は出されたナッツを口に放り込みながら、呉に訊ねた。
「フッ。そうだな……。次は———」
ド派手なライトがくるくると回り、大音量の音楽が流れる中——呉と趙の密談が静かに交わされた。
***
翌日——
さくらは自宅待機を命じられていたので大学を休み、工藤邸に居た。
万が一の為に……と赤井に言われ、家の中でも例のGPS機能付き腕時計をはめている。
その腕時計で時間を確認した。
「10時か……子どもたちはそろそろ2時間目、教授は講義中かな」
一通りの家事を終え、ヒマだし本でも読もうかと思っていると来客のチャイムが鳴る。
インターホンに出るとどうやら宅配業者のようだった。
帽子を目深にかぶって表情をうかがい知る事が出来ない。昴は書斎のPCを使い、FBIの仲間とリモートでやり取りしている。
さくらは警戒をしつつ「は~い」と返事をして玄関へと出る。ハンコを持ってドアを開けると突然銃を向けられた。
「ッ!」
とっさに手刀で銃を叩き落そうとするが、「私よ」とささやかれた。
(き、キール!?)
宅配業者の帽子の下から、見覚えのあるウェーブの髪とアイスブルーの瞳が見える。
「このまま静かに私と一緒に来て。ジンの命令よ」
「ジンの!?」
訳が分からず、さくらはキールの言葉を反復した。
「あなたにNOCの疑いがかかっている」
「ッ!」
キールの言葉にさくらの顔が険しくなった。
「でも心配しないで。ベルモットには連絡済み。前々から頼まれていたのよ。『ジンがラスティーに何かしそうな時は、私に連絡をちょうだい』って。彼女、相当あなたを気に入っているようね」
キールはさくらの耳元で話しながら、ニヤリと笑う。そのまま銃をさくらの腹にピタリとつけた。
「アジトではベルモットが擁護してくれるはずよ。ああ、それから……あなたの《拉致》はそっちの物陰で警護している人にも目撃させるから、あなたの上司にも報告が行くわ。
あとは助けが来るまで、あなたがジンの前で上手くこのピンチを切り抜けることね」
「……分かったわ」
ここで抵抗すればかえって疑われてしまうだろう。さくらは小さくうなずくと、構えていた手を下ろした。
「じゃあ、こっちよ」
アゴで合図を出され、それに従うように靴を履きキールの前を歩く。
玄関を出ると、さくらは工藤邸の横に停められた車に乗り込んだ。
後部座席に乗り込んだところで、キールの目がギラリと光る。
「ッ!」
突然銃のグリップでさくらの後頭部を殴りつけた。
ドカッ‼
「ぐっ!」
…ドサッ…
さくらが車内で倒れ込むのを、制服警察官のフリをしていた公安刑事が目撃する。
「お、おいッ! 君! 待ちなさい!」
刑事はすぐに車の元へダッシュしたが、キールはその姿をチラリと見ると素早く運転席に乗り込み、タイヤを鳴らしてあっという間に走り去ってしまった。
「さくらッ‼」
その直後、外の異変に気付いた昴が工藤邸の前に飛び出す。しかし彼が見たのは走り去る黒いバンの後姿だけ。
「チィッ!」
昴が舌打ちをする。
いったい何者の仕業なのか?
なぜさくらは抵抗せずに捕まったのか?
何も分からないまま、昴は車が走り去った方を見つめていた。
同じ頃、小さなライブハウス——
店内は大音響で音楽が鳴り、客たちも曲に合わせて体を揺らす。色とりどりのライトが狭いステージと客席を照らしていた。
店のバックヤードに
「尾行されてないな?」
「ああ。そんなヘマはしないよ」
目深にかぶった帽子を取ると、前島は呉に向かって返事をした。
「ラスティーのねぐらは分かったか?」
「いや、あの女の尾行はしてない」
乱れた髪をかき上げ、さも当然と言わんばかりに前島が答える。
「なぜだ? てっきり仇討ちをすると思っていたが……。怖気づいたのか?」
呉は鋭い目で前島を見た。
「いや、あいつは兄さんと共に戦った女だ。兄さんから戦い方の全てを学んでいる。素人の俺がヤツを殺そうとしたって無理な話さ。勝てない勝負を挑むほど、俺はバカじゃない」
呉の視線をものともせず、前島はフッと笑ってやり過ごす。
「あの女には…俺が感じた苦しみをタップリ味わってもらうさ。死ぬより苦しい思いをさせてやる」
血がにじむほど強く握り閉められた拳に、前島の恨みの強さを感じる。
「フン。まあ良いさ」
呉はグラスに入っていたウィスキーを一気に煽った。
「あんたの情報屋…
半年前に兄さんの命日でマレーシアを訪れた時、兄さんがケンバリで『潜入捜査』をしていたこと、そして『仲間を見捨てボートで逃げた女がいる』ことを教えてくれた。
出張先のマレーシアで爆発に巻き込まれて事故死した、と中国警察から聞かされていた俺にとって、あれがすべての始まりだった」
呉は空いたグラスにウイスキーを注ぐと前島に手渡す。前島はそれを一気に飲み干した。
「ほ~ぅ。俺はケンバリにONCが潜入していたことは壊滅後、少し経ってから知ったんだ。
構成員は戦闘でほぼ全滅していたから、ケンバリの財産はマレーシアの軍か警察組織、もしくは第三者として別の連中が押収したと思っていた。
それで情報屋数人を関係者に付け、探りを入れさせたんだ。
残念ながら財産はNO.2の男がほとんど持ち出したらしくて空振りだったが、趙が張り付いた
呉は再びグラスにウィスキーを注ぐ。琥珀色の液体がトクトクとグラスを満たした。
「あの情報は俺にとっても有益だった。ラスティーがあの組織で本当にNOCかどうかなんてどうでも良い。【疑わしきは罰する】ジンはそういう男だ。ラスティーはお前が手を掛けなくても、あの男が始末をつけるだろう……。
ヤツが女を始末する前に、その苦しみとやらを早く与えてやるんだな。俺はあの男に取り入って、組織の深部へ食い込めれば——」
ウイスキーを飲みながら嬉しそうに話す呉を見て、前島が笑う。
「フフッ。あんたも食えねぇヤツだな。でもまあ、あんたのアドバイスもなかなか良かったよ。
バーボンとか言ったか。組織の男とあの女がいつも行動を共にしているというから、男が潜入しているポアロとかいう店に写真展のペアチケットを置いてきたんだ。
一緒に来た男はバーボンでは無かったが、俺の写真を気に入ったヤツらは、のこのこと個展にまで来やがった。俺が仕掛けたトラップに、まんまと引っかかったのさ。
ヤツは俺が恨みを抱いている事を知った。かなり動揺していたよ。フフフ。せいぜい苦しんでくれ。俺が受けた苦しみはこんなものではない」
ニヤリと笑った前島の顔には狂気の色が浮かぶ。そんな前島を見た呉もまた、静かに口角を上げた。
2時間後——
酔いも回り、前島はライブハウスを出た。酒で火照った体に夜風が心地いいのか、前島は上機嫌だ。徒歩数分のところに、呉が用意したアパートがある。白い息を吐きながら歩き出した。
どうやってあの女をいたぶるか——。
前島の頭の中はそのことでいっぱいだ。フラフラとおぼつかない足取りでアパートに向かう前島を、通りがかった男がチラリと視線を送る。
そのまま男はライブハウスの中へと入っていった。
「趙か……久しぶりだな。米花町で別れて以来か」
ライブハウスのバーカウンターにいた呉は、来たばかりの男に声をかけた。
「ああ。ところで、今出て行ったヤツは前島か? だいぶ酔っていたようだな」
バーのイスに座ってビールを頼むこの男、《
「ああ、そうだ。ラスティーをいたぶれると言ってご機嫌だったよ」
生ビールを勢いよくジョッキに注ぐと、呉は趙の前に置く。趙はそれを一気にあおった。
「俺の情報はずいぶん役に立ったようだな」
泡の付いた口元を手の甲で拭い、趙は得意げに話す。
「ああ、もちろんだ。ヤツにとっても俺にとってもな。しかし、よくあんな凄い情報を手に入れらたものだな」
呉はタバコを取り出して箱を振り、趙に一本勧めた。
「そりゃそうさ。3年近くもターゲットに張り付いて信頼を得たんだ。苦労したんだぜ」
「フフフ。なかなかやるじゃないか」
趙がタバコを受け取り口にくわえると、呉はその先にライターの火を近づける。
趙は煙を吐き出すと「それほどでもないさ」と笑った。
「万が一の時は前島が切り札になる。あのジン相手だ。ぬかりが無いようにしねぇとな」
呉は自分のタバコにも火を点けると、気怠く煙を吐き出した。
「ああ、そうそう。空港に迎えに来てもらった時に頼まれたモンは、美術館へ行った時に前島に渡したぜ」
同じように趙も紫炎をくゆらせる。再びジョッキに口を付けると、趙は残りのビールを流し込んだ。
「そうか」
呉はニヤリと口角を上げた。二人の周りにはタバコの煙が充満する。ライトの光が当たってことさら白く煙った。
「ラスティーがNOCかどうかはさておき、次はどうするんだ?」
趙は出されたナッツを口に放り込みながら、呉に訊ねた。
「フッ。そうだな……。次は———」
ド派手なライトがくるくると回り、大音量の音楽が流れる中——呉と趙の密談が静かに交わされた。
***
翌日——
さくらは自宅待機を命じられていたので大学を休み、工藤邸に居た。
万が一の為に……と赤井に言われ、家の中でも例のGPS機能付き腕時計をはめている。
その腕時計で時間を確認した。
「10時か……子どもたちはそろそろ2時間目、教授は講義中かな」
一通りの家事を終え、ヒマだし本でも読もうかと思っていると来客のチャイムが鳴る。
インターホンに出るとどうやら宅配業者のようだった。
帽子を目深にかぶって表情をうかがい知る事が出来ない。昴は書斎のPCを使い、FBIの仲間とリモートでやり取りしている。
さくらは警戒をしつつ「は~い」と返事をして玄関へと出る。ハンコを持ってドアを開けると突然銃を向けられた。
「ッ!」
とっさに手刀で銃を叩き落そうとするが、「私よ」とささやかれた。
(き、キール!?)
宅配業者の帽子の下から、見覚えのあるウェーブの髪とアイスブルーの瞳が見える。
「このまま静かに私と一緒に来て。ジンの命令よ」
「ジンの!?」
訳が分からず、さくらはキールの言葉を反復した。
「あなたにNOCの疑いがかかっている」
「ッ!」
キールの言葉にさくらの顔が険しくなった。
「でも心配しないで。ベルモットには連絡済み。前々から頼まれていたのよ。『ジンがラスティーに何かしそうな時は、私に連絡をちょうだい』って。彼女、相当あなたを気に入っているようね」
キールはさくらの耳元で話しながら、ニヤリと笑う。そのまま銃をさくらの腹にピタリとつけた。
「アジトではベルモットが擁護してくれるはずよ。ああ、それから……あなたの《拉致》はそっちの物陰で警護している人にも目撃させるから、あなたの上司にも報告が行くわ。
あとは助けが来るまで、あなたがジンの前で上手くこのピンチを切り抜けることね」
「……分かったわ」
ここで抵抗すればかえって疑われてしまうだろう。さくらは小さくうなずくと、構えていた手を下ろした。
「じゃあ、こっちよ」
アゴで合図を出され、それに従うように靴を履きキールの前を歩く。
玄関を出ると、さくらは工藤邸の横に停められた車に乗り込んだ。
後部座席に乗り込んだところで、キールの目がギラリと光る。
「ッ!」
突然銃のグリップでさくらの後頭部を殴りつけた。
ドカッ‼
「ぐっ!」
…ドサッ…
さくらが車内で倒れ込むのを、制服警察官のフリをしていた公安刑事が目撃する。
「お、おいッ! 君! 待ちなさい!」
刑事はすぐに車の元へダッシュしたが、キールはその姿をチラリと見ると素早く運転席に乗り込み、タイヤを鳴らしてあっという間に走り去ってしまった。
「さくらッ‼」
その直後、外の異変に気付いた昴が工藤邸の前に飛び出す。しかし彼が見たのは走り去る黒いバンの後姿だけ。
「チィッ!」
昴が舌打ちをする。
いったい何者の仕業なのか?
なぜさくらは抵抗せずに捕まったのか?
何も分からないまま、昴は車が走り去った方を見つめていた。