第5章 ~カルト集団~
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夜——
ジンは自室でタバコをふかしながら、いくつかの報告書を読んでいた。
「フン…バーボンのヤツ…良く調べていやがる…」
次の取引先として選んだ男を探るよう、バーボンに頼んだのだが…。その情報収集力と洞察力は大したものだ…と感心する。
秘密主義なところは食えねぇヤツだと思っているが、仕事に関しては非のつけどころが無い。むしろ、利用価値は高い。
「ま、利用するだけ利用して…また怪しい行動を取るようなら…理由をつけて始末すればいい」
こぼれ落ちそうなほど長くなった灰を灰皿へ落としながら、ジンは片方の口角を上げた。
トントン
短くなったタバコを灰皿に押し付けた時、ドアのノックが聞こえた。
「誰だ」
「ラスティーです」
「入れ」
ジンがそう声をかけると、ドアが開きラスティーが部屋へと入ってきた。
「珍しいな。お前から来るなんて。何か用か?」
「……」
思い詰めた表情で立ち尽くすラスティーに、ジンは表情を変えずに問いかけた。
しかし当の本人は身じろぎ一つせず口を閉ざしている。
何か言い辛い事でもあるのか唇を噛み、その目は不安げに揺れていた。
「……なんだ? 俺に用があったんじゃないのか?」
普段の彼女は、ジンが多くを語らずともその思考を読み、必要な情報を伝えてくる。
部屋に入ったまま黙り込むラスティーの姿に、ジンは意外だと言いたげに声をかけた。
「……実は……最近…後をつけられたり、写真を撮られたりしているの…。誰の仕業なのか…調べたくて…」
ラスティーは覚悟を決め、言葉を選ぶように話す。
この男に小細工は必要ない。ヘンに探ろうとすればかえって疑われる可能性がある。
尾行者が組織と関係がなければ、ここで余計な事を言って墓穴を掘るようなマネはしたくない。
「後をつけられている?」
ジンはピクリと眉を動かす。
ようやく口を開いたと思ったら、何ともきな臭い話が飛び出した。
「オドゥムか?」
その名を口にしたジンの目は鋭くなる。
(ッ! …この反応…てっきり軽くあしらわれるかと思ったのに……。秀一さんが睨んだ通り、組織は関係が無いのかしら?)
ラスティーが予想していた反応と明らかに違う。
「どんなヤツなのか……顔を見たか?」
「いいえ。顔どころか姿も確認できていないの。気配がものすごく薄くて…。
かなり訓練されているわ。こちらが気配を察して振り向く時には煙のように居なくなる。
ただ幸い殺気は無くて、まるで見張られているみたい」
ジンは話を聞きながら腕を組み、何やら思案している。
左手の人差し指で右の二の腕をトントンとタップするのは、考え事をする時の癖なのだろう。
「ふん。お前のスキルを持ってしても、そのストーカー野郎の顔も姿も拝めねぇなら、そいつはプロ中のプロだ。
今は危害を加える気が無くてもいずれ牙を向いてくる可能性がある。
オドゥムの奴らにはかなりのダメージを与えたはずだが……。
まあ、雑魚どもの報復という可能性も捨てきれない。ちょっと調べてみるか…」
ジンは立ち上がるとポケットからスマホを取り出す。ラスティーに背を向けて誰かと連絡を取った。
(ふぅ。どうやらジンは関係ないようね。彼はオドゥムを疑っているのか。確かにそっちだとしても厄介ね……)
とりあえずNOCだとバレたわけではないようだ。ラスティーはホッと胸を撫で下ろす。
当初の目的は果たしたので、このままジンの部屋を出ようと彼が通話を終えるのを待っていた。
「……ああ、そうだ。頼んだぞ」
ジンは通話を切るとスマホをテーブルに置いた。
「こちらで掴んでいるオドゥムの諜報員の動向を調べさせる。数日のうちに分かるだろう」
ラスティーの方へ向き直ると、ジンはアンバーの瞳をジッと見つめた。
「そう…ありがとう。助かるわ。連絡待ってる。じゃあ、私はこれで…」
ラスティーは表情を緩め、礼を言って部屋を出ようと体の向きを変えた。
「ちょっと待て」
ジンが制止の言葉を口にする。
「礼ってのは言葉だけじゃなくても良いんだぜ」
「…『ありがとう』の他に何があるの?」
ラスティーは振り返り、硬い表情のままジンを見上げる。彼の目がわずかに細められたのを見て息を詰めた。
(何か企んでいる!)
そう察するが、ジンの鋭い視線に射抜かれて動く事が出来ない。
ジンは音もなく近づくと、左手でクイッとラスティーのアゴを持ち上げた。
お互いの顔をジッと見つめたまま、二人の唇がゆっくり重なる。
「ッん!」
アゴを掴んで無理やり口を開けさせると、肉厚なジンの舌がラスティーの口の中に入り込む。
一度入り込んでしまえば抵抗は叶わず、さらにジンの右手がラスティーの頭をガッチリホールドした。
そのまま縦横無尽に、ジンの舌がラスティーの口内をかき回す。
「ッ!」
濃厚なキスが一瞬で離れた。ジンの唇がわずかに出血している。
「前に言わなかったかしら? ビジネスパートナーと寝る趣味は無いって」
「フフ。噛みついてくるとは……なかなかのじゃじゃ馬だな。
だが、お前ほどの女、そう簡単に手を引くほど俺も落ちぶれちゃいない」
「⁉」
ジンは素早くラスティーの肩を掴むと、そのままラスティーの背後にある壁に向かって勢いよく押しつけた。
ドンッ!!
「かはッ! ひゅ…はぅッ! ゴッ! ゴホッ! ゴホッ! ゴホッ!」
両肩を掴まれていたため受け身が取れず、かなりの強さで壁に叩きつけられた。
背中への衝撃はダイレクトに胃や肺まで響き、一瞬呼吸が出来ない。
苦し紛れに吸い込んだ空気が喉を刺激し、激しく咳き込んだ。さらに追い打ちをかけるように、吐き気までがラスティーを襲う。
(ま、マズ…イ…)
サーッと顔から血の気が引くのが分かる。喉から「ひゅ」と嫌な音がして呼吸もしづらい。
痛みと苦しさで目の前が暗くなり、ズルリと体から力が抜けた。
「おっと…力加減を間違えたか…」
ジンはラスティーの体を抱き留めると、そのままその体を抱き上げソファーへと移動した。
ジンは自室でタバコをふかしながら、いくつかの報告書を読んでいた。
「フン…バーボンのヤツ…良く調べていやがる…」
次の取引先として選んだ男を探るよう、バーボンに頼んだのだが…。その情報収集力と洞察力は大したものだ…と感心する。
秘密主義なところは食えねぇヤツだと思っているが、仕事に関しては非のつけどころが無い。むしろ、利用価値は高い。
「ま、利用するだけ利用して…また怪しい行動を取るようなら…理由をつけて始末すればいい」
こぼれ落ちそうなほど長くなった灰を灰皿へ落としながら、ジンは片方の口角を上げた。
トントン
短くなったタバコを灰皿に押し付けた時、ドアのノックが聞こえた。
「誰だ」
「ラスティーです」
「入れ」
ジンがそう声をかけると、ドアが開きラスティーが部屋へと入ってきた。
「珍しいな。お前から来るなんて。何か用か?」
「……」
思い詰めた表情で立ち尽くすラスティーに、ジンは表情を変えずに問いかけた。
しかし当の本人は身じろぎ一つせず口を閉ざしている。
何か言い辛い事でもあるのか唇を噛み、その目は不安げに揺れていた。
「……なんだ? 俺に用があったんじゃないのか?」
普段の彼女は、ジンが多くを語らずともその思考を読み、必要な情報を伝えてくる。
部屋に入ったまま黙り込むラスティーの姿に、ジンは意外だと言いたげに声をかけた。
「……実は……最近…後をつけられたり、写真を撮られたりしているの…。誰の仕業なのか…調べたくて…」
ラスティーは覚悟を決め、言葉を選ぶように話す。
この男に小細工は必要ない。ヘンに探ろうとすればかえって疑われる可能性がある。
尾行者が組織と関係がなければ、ここで余計な事を言って墓穴を掘るようなマネはしたくない。
「後をつけられている?」
ジンはピクリと眉を動かす。
ようやく口を開いたと思ったら、何ともきな臭い話が飛び出した。
「オドゥムか?」
その名を口にしたジンの目は鋭くなる。
(ッ! …この反応…てっきり軽くあしらわれるかと思ったのに……。秀一さんが睨んだ通り、組織は関係が無いのかしら?)
ラスティーが予想していた反応と明らかに違う。
「どんなヤツなのか……顔を見たか?」
「いいえ。顔どころか姿も確認できていないの。気配がものすごく薄くて…。
かなり訓練されているわ。こちらが気配を察して振り向く時には煙のように居なくなる。
ただ幸い殺気は無くて、まるで見張られているみたい」
ジンは話を聞きながら腕を組み、何やら思案している。
左手の人差し指で右の二の腕をトントンとタップするのは、考え事をする時の癖なのだろう。
「ふん。お前のスキルを持ってしても、そのストーカー野郎の顔も姿も拝めねぇなら、そいつはプロ中のプロだ。
今は危害を加える気が無くてもいずれ牙を向いてくる可能性がある。
オドゥムの奴らにはかなりのダメージを与えたはずだが……。
まあ、雑魚どもの報復という可能性も捨てきれない。ちょっと調べてみるか…」
ジンは立ち上がるとポケットからスマホを取り出す。ラスティーに背を向けて誰かと連絡を取った。
(ふぅ。どうやらジンは関係ないようね。彼はオドゥムを疑っているのか。確かにそっちだとしても厄介ね……)
とりあえずNOCだとバレたわけではないようだ。ラスティーはホッと胸を撫で下ろす。
当初の目的は果たしたので、このままジンの部屋を出ようと彼が通話を終えるのを待っていた。
「……ああ、そうだ。頼んだぞ」
ジンは通話を切るとスマホをテーブルに置いた。
「こちらで掴んでいるオドゥムの諜報員の動向を調べさせる。数日のうちに分かるだろう」
ラスティーの方へ向き直ると、ジンはアンバーの瞳をジッと見つめた。
「そう…ありがとう。助かるわ。連絡待ってる。じゃあ、私はこれで…」
ラスティーは表情を緩め、礼を言って部屋を出ようと体の向きを変えた。
「ちょっと待て」
ジンが制止の言葉を口にする。
「礼ってのは言葉だけじゃなくても良いんだぜ」
「…『ありがとう』の他に何があるの?」
ラスティーは振り返り、硬い表情のままジンを見上げる。彼の目がわずかに細められたのを見て息を詰めた。
(何か企んでいる!)
そう察するが、ジンの鋭い視線に射抜かれて動く事が出来ない。
ジンは音もなく近づくと、左手でクイッとラスティーのアゴを持ち上げた。
お互いの顔をジッと見つめたまま、二人の唇がゆっくり重なる。
「ッん!」
アゴを掴んで無理やり口を開けさせると、肉厚なジンの舌がラスティーの口の中に入り込む。
一度入り込んでしまえば抵抗は叶わず、さらにジンの右手がラスティーの頭をガッチリホールドした。
そのまま縦横無尽に、ジンの舌がラスティーの口内をかき回す。
「ッ!」
濃厚なキスが一瞬で離れた。ジンの唇がわずかに出血している。
「前に言わなかったかしら? ビジネスパートナーと寝る趣味は無いって」
「フフ。噛みついてくるとは……なかなかのじゃじゃ馬だな。
だが、お前ほどの女、そう簡単に手を引くほど俺も落ちぶれちゃいない」
「⁉」
ジンは素早くラスティーの肩を掴むと、そのままラスティーの背後にある壁に向かって勢いよく押しつけた。
ドンッ!!
「かはッ! ひゅ…はぅッ! ゴッ! ゴホッ! ゴホッ! ゴホッ!」
両肩を掴まれていたため受け身が取れず、かなりの強さで壁に叩きつけられた。
背中への衝撃はダイレクトに胃や肺まで響き、一瞬呼吸が出来ない。
苦し紛れに吸い込んだ空気が喉を刺激し、激しく咳き込んだ。さらに追い打ちをかけるように、吐き気までがラスティーを襲う。
(ま、マズ…イ…)
サーッと顔から血の気が引くのが分かる。喉から「ひゅ」と嫌な音がして呼吸もしづらい。
痛みと苦しさで目の前が暗くなり、ズルリと体から力が抜けた。
「おっと…力加減を間違えたか…」
ジンはラスティーの体を抱き留めると、そのままその体を抱き上げソファーへと移動した。