第4章 ~両親との記憶~
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《杯戸ショッピングモールに爆破予告》
「なんと?! またかいな?」
「今日2回目よね?」
「え? 今日他にも予告があったのですか?」
博士と哀の言葉に昴が驚く。
「ああ。昴さんは出かけていたから知らないか……。
実は夕方4時頃にも速報が出て、その時は東都タワーに爆破予告があったって。でもそれも爆発物処理班が出たけど、どこにも爆弾が無かったの」
さくらが二人の代わりに説明をした。
「夕べは沢袋駅。今日の夕方は東都タワー。夜になってショッピングモール。2日間で3件立て続けよ。
これだけ爆弾のない爆破予告が続くと、今回も爆弾なんて無いんじゃないかって思っちゃうわよね」
「確かに…そうですね…」
哀がうんざり顔で言うと、昴も同意した。
テレビはLIVE映像に切り替わり、記者が杯戸ショッピングモールの前で中継を始めた。
その後ろには爆破物処理班の車が映っている。
《今日2件目の爆破予告があったのが、ここ杯戸ショッピングモールです。ここでは3年前にも爆破事件があり、警察官一人が殉職しています。
一連の爆破予告は爆発物が発見されず、悪質ないたずらとの見解がされていますが、今回の予告も同一人物による犯行かどうか、慎重に調べが進んでいます》
冷静な記者の実況が流れる。
(松田先輩……)
さくらは記者のアナウンスを聞き、思わず目を閉じた。
淡々と現場の状況がアナウンスされ、画面の奥では暗闇の中で作業をする爆破物処理班や、警察官の影が確認出来た。
ジッと4人でその映像を見守っている時だった。
ドォォォオオオオン!!!
「「「「ッ!」」」」
テレビから大きな爆発音が聞こえた。
同時に画面の奥で激しい火の手が上がる。
《爆発です! 爆発がありました! たった今大きな爆音が聞こえてきました。爆弾が爆発したものと思われます! 繰り返します。たった今…》
記者が繰り返し、爆発があったことを伝えている。
「ッ! か、風見さんッ!!」
さくらは今回の現場にも、当然臨場している風見の事を思い出す。脳裏には松田の顔も浮かんだ。
「待ちなさい! さくらっ!」
思わず外へと飛び出そうとするさくらの手首を掴み、昴は慌てて止めた。
「どこへ行く気ですか?!」
「現場に!! 現場に行かなくちゃ!!」
昴の腕を振り払い、現場へ行こうとするさくら。
「あなたが行っても出来ることは何もありません。
爆破予告があったのですから、みんな相応の備えをして活動しているはずです。当然風見さんも危険なエリアには入っていません。落ち着いてください!」
それでもさくらは動きを止めない。手首を掴む昴の手をなんとか振り払おうと必死だ。
昴もケガをさせないように細心の注意を払う。
やがてその動きは弱くなり、ハアハアとさくらの呼吸が聞こえてきた。
「少し…落ち着きましたか?」
完全に動きが止まったさくらに声を掛ける。
さくらはコクリとうなずいた。
昴は掴んでいた手首を離し、そっと抱きしめた。
「ごめん。昴さん。なんか…いろいろ思うように行かなくて…。焦っているのかな…私…」
昴の胸元に頭を預け、さくらは目を閉じた。
「焦る気持ちも分かります。最近ずっと捜査資料と向き合って、神経を尖らせていたせいもあるのでしょう。
やはり疲れているんですよ。もう少し気持ちをラクに持ちましょう」
そういって昴は、さくらの背中を何度か撫でた。
工藤邸に戻ってからは、りおはほとんどしゃべらなかった。入浴を終えてベッドに入ると、すぐに眠ってしまう。
しばらくして様子を見に来た赤井が顔を見ると、涙がひとすじ流れていた。
(中途半端に思い出される記憶に振り回され、両親の秘密にたどり着きそうでたどり着かない。辛いはずだ。
全てを話してやることは容易いが…。お前の心がそれに耐えられるのか?)
赤井は涙を指で拭う。後から後から涙は零れ落ちた。
その様子を見て赤井の口からはため息が漏れる。
ジェームズに伝えた気持ちは嘘ではない。
#りお3の心の状態を見ながら、少しずつ伝えるべきだと考えている。だが、いつどのタイミングで話すかは分からない。りおが何をきっかけに、どの時期の事を思い出すか分からないからだ。当然時系列通りに思い出すわけでもない。赤井は考えあぐねていた。
りおの涙の粒はぽとりと落ち、シーツの色を変える。
「泣くな…。泣かないでくれ」
その光景にいたたまれなくなった赤井は、そっと目元にキスをする。涙の雫を舌ですくいとった。
そのまま頬に、耳に、あごに、そして最後に唇に触れるだけの優しいキスをする。
そっと頭を撫でて悲しげにりおの顔を見つめると、赤井はするりとベッドに潜り込んだ。
自分の胸元にりおを抱きしめると、小さくつぶやく。
「俺はお前のそばに居る。もう寂しい思いはさせないよ」