第4章 ~両親との記憶~
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夕方——
阿笠邸ではさくらと哀、博士で料理をしていた。
「わ~! 博士、それ入れすぎですよ!」
さくらは鍋を抱え、博士の攻撃(?)から守ろうとしている。
「いや、わしは甘い方が好きなんじゃ」
「ちょっと、博士! それじゃあ私の日頃の努力が水の泡になっちゃうでしょ。せっかく色々考えて献立作りしているのに!」
追加で砂糖を足そうとして、哀にめちゃくちゃ怒られた博士は、シュンとしていた。それを見てさくらは大笑いしている。
「ほら、博士。こっちはもう良いから、食卓の準備をお願い。さくらさん、お鍋を死守してくれて助かったわ」
博士をダイニングに押しやって、哀とさくらで料理の仕上げをした。
ピンポ~ン
炊飯器が炊き上がりまであと3分を告げる頃、昴が帰ってきた。
さくらと哀で玄関まで出迎える。
「「昴さん、おかえりなさ~い」」
「ただいま帰りました。ん~、良い匂いですね」
「でしょ? みんなで作ったの。もう少しでご飯炊けるから。早く入って手を洗ってね」
さくらは昴のジャケットを受け取ると、哀と一緒にキッチンへ。昴は洗面所へと向かった。
昴は洗面所で手を洗い、顔を上げた。
細めていた目を開け、鏡に映る自分の姿を見つめる。
(俺は…必ずりおを守る。何があっても。どんなことが起きても。それは《昴》の姿でも《秀一》の姿でも変わらない)
決意を新たに再び目を細めると、昴はりおたちの待つリビングへと足を向けた。
博士の家のダイニングテーブルには、たくさんの料理が並べられていた。そこへ昴が顔を出す。
「すごいご馳走ですね。何かのパーティーみたいだ」
「女子二人寄ればすごいもんじゃな。あっという間にドンドン作ってしまって。わしは手伝いというより邪魔をしていたんじゃ」
博士は苦笑いをしながら頭を掻いた。
「博士ってば勝手に砂糖を加えようとするし、味見と言って何度もおかわりするし。子どもたちより手に負えないわ」
哀はため息交じりに文句を言う。哀に睨まれた博士は大きな体をキュ~ッと小さくした。
「ふふふ。哀ちゃん。それくらいにしてあげて。ご飯も炊けたし、食べましょう」
さくらが助け舟を出す。
4人で席に座り挨拶をして食べ始めた。
「わぁ! さくらさん、これ美味しい。いつものお出汁なのに…こんなに違うなんて」
「普段使っているものも、ちょっとしたひと手間で雑味が無くなっておいしくなるのよ」
「さくらくん、このお味噌汁…結構しっかり味がついてるが…」
味噌汁を一口すすった博士が不思議そうに訊ねた。
「そう思うでしょ? 実は塩分濃度は哀ちゃんが作る時と同じなんです」
「えっ!? 哀くんの味噌汁は結構薄く感じるのに、何故この味噌汁はそう感じないんじゃ?」
お椀を手に持ったまま、博士は驚いた顔で中を覗き込む。
「具に秘密があるの」
「味噌汁の具?」
「そう。今日の具材はキノコ。しめじのほかにエノキと舞茸を入れたの。
舞茸ってすごく香りが良いでしょう。香りが強い具材を使ってさらに具だくさんにすると、薄味でもそう感じないのよ」
「へぇ~~。勉強になったわ」
哀は目を丸くして驚いていた。
一人より二人。二人より大勢で食べる食事はやっぱり楽しい。笑顔で食事をするさくらを見て、昴も微笑んでいた。
食事を終え、さくらと哀が洗い物を始めた。
「昴さんと博士はテレビでも見ていてね」
女性陣が楽しくおしゃべりをしながら片付けているので、男二人リビングのソファーに座り、テレビをつけた。
「たまにはこんな夕飯も良いもんじゃな」
博士が昴に声をかけた。
「ええ。やっぱり大勢で食べると美味しいですね」
「いやいや、昴くんはいつもあんなに美味しい料理を食べているんかいな?」
「え?」
心底羨ましそうに博士は昴の顔を見る。
まあ、確かにりおの料理は美味い。しかも以前キャメルがりおの料理を見た時に「かなり体の事を考えて作られていますよ!」と興奮気味に教えてくれた。
美味いだけではなく、健康管理も自分が知らないうちにされていたようだ。
「哀くんも料理は得意なんじゃが…なんせ健康管理が厳しくて…。減塩・低カロリー・低脂肪・高たんぱくな食事がほとんどで…。味気ないったらありゃしない…」
コソコソと耳打ちをする博士の言葉に、昴は思わず笑ってしまった。
その時だった。
ピンポーン ピンポーン
テレビの上部に緊急速報の文字が表示された。
4人の視線がテレビに集まる。