第4章 ~両親との記憶~
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翌朝——
りおは工藤邸で自分のPCを開くと、組織が取引をしている先をいくつか探っていく。
最近警察に目を付けられたり、組織との取引で不都合があったところがないか、丹念に調べていった。
膨大にある情報の中からアタリを付けるのは容易ではない。だがジンの考えている事は……何となく分かる。
最近の彼の関心事は——
様々なデータと彼の思考を読み、りおはいくつかピックアップに成功した。
さらに精査していくと、《キョファン貿易》という会社に行きついた。
この会社、表向きは貿易会社だが裏では偽札を製造している。
組織とも以前何度か取引があったようだが、数年前からバッタリと取引をしなくなっていた。
その後この会社が個人的に繋がりを持っているのが、どうやらK国のコムンセク市にある病院の院長。エミリーが入院していたあの病院だ。
つまり……オドゥムと繋がっている可能性が高い。
(オドゥムはキョファン貿易を通して偽の外貨を手に入れる事が出来るわ。
さらにその外貨(偽物)を使えば、無制限に武器や弾薬などを調達できる……。
いわば彼らが力をつけるための要。それを組織が見過ごすはずがない)
あくまで候補の一つに過ぎない。
だが、最近ジンが神経を尖らせている事柄の一つに、オドゥムの動向がある。可能性は高いだろう。
今知り得た情報を降谷と風見にメールで送る。
同じものをプリントアウトすると、りおはそれを赤井の元へと持って行った。
「オドゥムと繋がっているかもしれないだと?!」
りおが手渡した資料を見て、赤井が声を上げた。
「ええ。たぶん間違いないと思う。オドゥムの資金源の一つだと思うわ。
しかも偽札だから、わずかな資金で利益は絶大。ココを組織が見逃すはずがない」
りおの顔は確信を得ているように見えた。
「貿易会社そのものが偽札作りの工場なの。おそらくジンは工場ごと爆破するつもりなんじゃないかな。
組織と取引があったのは数年前だから、そんなに痕跡が残っているとは思えないけど…。
会社がオドゥムと繋がっているとすれば、万が一の時に備え、あえて組織にとって都合の悪い情報を残している可能性もある。
過去の情報だとしても、改ざんすればいくらでも証拠として警察の目を欺ける。
それを何とかしろって事を、ジンは言いたかったのかもしれない」
りおの説明を聞いて赤井は頷いた。
「その可能性は高いな。組織にとって今、オドゥムに力を付けさせるわけにはいかない。
組織はまだ奴らを消す力も方法も、手に入れてはいない…」
「ええ。その貿易会社にハッキングして、PCの中を調べてみるのはどうかしら?」
「ジンに見つかる可能性は?」
「無いわ。もしバレても、今回公安のツールは使っていない。すべてラスティーとして持っている情報のみで調べているから問題ないわ」
りおの言葉に赤井は目を見開く。
「お前…公安のデータベースを使わずに調べたのか?
ラスティーとして持っている情報って、いったい……」
「それは企業秘密です」
驚いている赤井に、りおは悪戯っぽく笑った。
「ではお前がハッキングしている間、俺はその貿易会社へ行って周辺を洗ってみるとしよう。
運が良ければ組織の爆破担当——《カーディナル》というコードネームを持つ男の顔を拝めるかもしれん」
「えっ! ちょっと待って! 数日中には爆破されるかもしれない会社の周辺を洗うですって?!
無茶よ! 爆破に巻き込まれたら…ッ!」
りおは赤井の腕を掴んだ。その顔は驚きと焦りが入り混じっている。大丈夫だよと笑う赤井に対して、りおは首を横に振った。
「イヤ! 絶対にイヤよ! 行くなら私も行く」
「もしターゲットがその会社でビンゴなら、ジン達が近くに居るかもしれないんだ。お前と一緒に行くわけには行かないだろう」
「なら、私も変装する! 絶対一人でなんか行かせないわ!」
泣きそうな顔でりおは訴えた。
(昴が殺される悪夢を、まだ覚えているのだな。だからこんなに不安になるのだろう……)
ウェストホールディングス事件での記憶の混乱は、首を切断された西村が昴に置き換わり、りおを苦しめた。
《事実と違う記憶を事実だと思い込んでしまう事もあります。そのため余計に苦しむことになるのです》
つい最近ドクターに言われたことが脳裏に浮かぶ。
必死になるりおの姿を見て、赤井は心が痛んだ。
「分かった。変装して一緒に行こう。だから……泣くな」
腕を掴んで必死に訴えていたりおを、赤井は抱きしめ背中をさする。
りおは乱れた呼吸を整えているが、はらはらと零れる涙を止めることが出来なかった。
「大丈夫。大丈夫だ。お前と一緒にいる。置いて行きはしないよ」
涙が止まり気持ちが落ち着くまで、赤井はりおを抱きしめ声をかけ続けた。
りおは工藤邸で自分のPCを開くと、組織が取引をしている先をいくつか探っていく。
最近警察に目を付けられたり、組織との取引で不都合があったところがないか、丹念に調べていった。
膨大にある情報の中からアタリを付けるのは容易ではない。だがジンの考えている事は……何となく分かる。
最近の彼の関心事は——
様々なデータと彼の思考を読み、りおはいくつかピックアップに成功した。
さらに精査していくと、《キョファン貿易》という会社に行きついた。
この会社、表向きは貿易会社だが裏では偽札を製造している。
組織とも以前何度か取引があったようだが、数年前からバッタリと取引をしなくなっていた。
その後この会社が個人的に繋がりを持っているのが、どうやらK国のコムンセク市にある病院の院長。エミリーが入院していたあの病院だ。
つまり……オドゥムと繋がっている可能性が高い。
(オドゥムはキョファン貿易を通して偽の外貨を手に入れる事が出来るわ。
さらにその外貨(偽物)を使えば、無制限に武器や弾薬などを調達できる……。
いわば彼らが力をつけるための要。それを組織が見過ごすはずがない)
あくまで候補の一つに過ぎない。
だが、最近ジンが神経を尖らせている事柄の一つに、オドゥムの動向がある。可能性は高いだろう。
今知り得た情報を降谷と風見にメールで送る。
同じものをプリントアウトすると、りおはそれを赤井の元へと持って行った。
「オドゥムと繋がっているかもしれないだと?!」
りおが手渡した資料を見て、赤井が声を上げた。
「ええ。たぶん間違いないと思う。オドゥムの資金源の一つだと思うわ。
しかも偽札だから、わずかな資金で利益は絶大。ココを組織が見逃すはずがない」
りおの顔は確信を得ているように見えた。
「貿易会社そのものが偽札作りの工場なの。おそらくジンは工場ごと爆破するつもりなんじゃないかな。
組織と取引があったのは数年前だから、そんなに痕跡が残っているとは思えないけど…。
会社がオドゥムと繋がっているとすれば、万が一の時に備え、あえて組織にとって都合の悪い情報を残している可能性もある。
過去の情報だとしても、改ざんすればいくらでも証拠として警察の目を欺ける。
それを何とかしろって事を、ジンは言いたかったのかもしれない」
りおの説明を聞いて赤井は頷いた。
「その可能性は高いな。組織にとって今、オドゥムに力を付けさせるわけにはいかない。
組織はまだ奴らを消す力も方法も、手に入れてはいない…」
「ええ。その貿易会社にハッキングして、PCの中を調べてみるのはどうかしら?」
「ジンに見つかる可能性は?」
「無いわ。もしバレても、今回公安のツールは使っていない。すべてラスティーとして持っている情報のみで調べているから問題ないわ」
りおの言葉に赤井は目を見開く。
「お前…公安のデータベースを使わずに調べたのか?
ラスティーとして持っている情報って、いったい……」
「それは企業秘密です」
驚いている赤井に、りおは悪戯っぽく笑った。
「ではお前がハッキングしている間、俺はその貿易会社へ行って周辺を洗ってみるとしよう。
運が良ければ組織の爆破担当——《カーディナル》というコードネームを持つ男の顔を拝めるかもしれん」
「えっ! ちょっと待って! 数日中には爆破されるかもしれない会社の周辺を洗うですって?!
無茶よ! 爆破に巻き込まれたら…ッ!」
りおは赤井の腕を掴んだ。その顔は驚きと焦りが入り混じっている。大丈夫だよと笑う赤井に対して、りおは首を横に振った。
「イヤ! 絶対にイヤよ! 行くなら私も行く」
「もしターゲットがその会社でビンゴなら、ジン達が近くに居るかもしれないんだ。お前と一緒に行くわけには行かないだろう」
「なら、私も変装する! 絶対一人でなんか行かせないわ!」
泣きそうな顔でりおは訴えた。
(昴が殺される悪夢を、まだ覚えているのだな。だからこんなに不安になるのだろう……)
ウェストホールディングス事件での記憶の混乱は、首を切断された西村が昴に置き換わり、りおを苦しめた。
《事実と違う記憶を事実だと思い込んでしまう事もあります。そのため余計に苦しむことになるのです》
つい最近ドクターに言われたことが脳裏に浮かぶ。
必死になるりおの姿を見て、赤井は心が痛んだ。
「分かった。変装して一緒に行こう。だから……泣くな」
腕を掴んで必死に訴えていたりおを、赤井は抱きしめ背中をさする。
りおは乱れた呼吸を整えているが、はらはらと零れる涙を止めることが出来なかった。
「大丈夫。大丈夫だ。お前と一緒にいる。置いて行きはしないよ」
涙が止まり気持ちが落ち着くまで、赤井はりおを抱きしめ声をかけ続けた。