第3.5章 ~君を想う・君を守る~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
***
夜——
りおは日課となった、おまじないのブレスレットを手に考え込んでいた。
「りお、どうした?」
難しい顔をしたまま動きを止めたりおに、赤井が声を掛ける。
「今日から一緒に寝れば、ブレスレット要らなくない?」
「一緒に寝て良いのか?」
赤井が目を丸くしてりおに問いかけた。
「え…だって一度抱いたんだし。我慢とか、もういらないでしょ」
僅かに頬を赤くして小さな声でつぶやいた
「それより…まだあの夢見るの?」
今度は心配そうに赤井の顔を覗き込む。
くるくると変わるりおの表情を見て、赤井は微笑んだ。
「夢は見るが…お前におまじないをしてもらうようになってだいぶ落ち着いた。
それより…昨日デパートから帰ってきた時、目を覚ましたお前の目が夢と同じで…。
夕べは何だかんだと理由を付けていたが、実際は俺が不安だったんだ。
また…俺を忘れてしまうんじゃないかって。
それで…まだ体調が万全ではないお前を…」
赤井は申し訳なさそうに下を向いて、夕べの事を話した。
「ん…。気付いてた。不安にさせて…ごめん…」
赤井の顔を見ていたりおは、切なげに目を伏せた。
「昨日は色々あったし…。それに…何だろう。今朝起きてから何かモヤモヤするの。
まだ何か大事な事…忘れている気もして…
あ! でも大丈夫だから。心配ないから…ね」
りおは慌てて取り繕うように大丈夫を繰り返す。
赤井の表情を伺うように、不安そうな顔を向けた。
『あなたが不安になったら、さくらはもっと不安になるわ』
ジョディの言葉がふいに思い出された。
りおの全てを守ると誓って、一緒に暮らす事を決めた。
自分たちは身も心も繋がるほど、深く愛し合っているはずだ。
それなのに…
まだ起こってもいない事を心配して。
俺が守るんじゃないのか?
りおに気を使わせてどうする…。
赤井は目を閉じた。
自分の心に問いかける。
ジョディにはもっとりおを信じろと言われた。
もちろん、彼女の事を信じていないわけではない。
だが自分には何かが足りないのだ。
りおをもっと信じてやるために、今の自分に足りないものは何だ?
決意か?
自覚か?
…どれもしっくりこなかった。
さらに考えて、あることに気付く。
(足りないものは…覚悟…か…)
例え何が起きてもすべてを受け入れる覚悟。
良い事であっても、悪い事であっても。
赤井秀一は神様ではない。
すべてが上手く行くとは限らない…最悪の事態だって受け入れなければならない事もある。
その覚悟が無いから、まだ起こってもいないことを不安になるのだろう。
赤井はようやく答えが見えた気がした。
もし…再びりおが自分を忘れてしまう事があっても…それを受け入れる覚悟を持つ。
そしてもう一度やり直せばいいじゃないか。
死なない限りいくらでもやり直せる。
何度でも。
赤井の心の中で何かが吹っ切れた。
「りお。すまない」
赤井はりおの隣に座ると手を膝の上で組み、ジッとそれを見つめた。
「俺が不安になれば、お前はもっと不安になるよな。俺は自分の事しか考えていなかった。
忘れられたらどうしようと、そればかりだった」
赤井は下を向いたまま話し続ける。
「でも、今気づいたんだ。もし忘れられたら…
もう一回お前を振り向かせれば良いんだって。
お前が俺を忘れても、俺自身の気持ちは変わらない。
だったら。出会いからもう一回やり直して、俺を好きにさせれば良いんだって気付いたんだよ」
赤井はりおの方へ向き直る。
ニッコリ微笑んだ顔に迷いはなく、どこかスッキリしていた。
「もう一度最初から…私と恋愛をするの?」
りおの目には涙がにじむ。
「ああ、そうさ。出会うところから」
赤井はりおの体を抱きしめた。
「大した自信ね。私を落とす事が出来るかしら?」
強気な言葉とは裏腹に、りおの目から一粒涙がこぼれる。
「猛アピールをして絶対に落とす。俺は執念深いんでね」
「秀一さんの猛アピールか…。ふふ。受けてみたいわね」
「ん? 気付いていないのか? いつもしてるんだが?」
「いつも?」
「ああ。特に…夜…な」
「……あ~…」
いたわるように始まるキスも。
すべてを奪おうとする熱い抱擁も。
独占欲をあらわにする律動も。
すべて彼の《愛してる》というアピール…
「俺から逃げられると思うなよ」
「逃げないわよ」
りおは即答した。
逃げるわけがない。
例えもう一度最初からやり直したって、結果は変わらない。
もうあなた無しではいれないのだから…。
「キスして。秀一さん」
「ん…。りお…」
何度か唇が触れる。
りおが小さく口を開けると、今度は深く口づけた。
赤井の大きな手がりおの両耳を覆う。
耳をふさがれたことで、くちゅりと水音がリアルに響いた。
りおは赤井の服をぎゅっと掴む。
何度も角度を変え、唇を食み舌を絡めた。
胸の内にあった不安も焦燥感も、すべてとけてなくなるほど、二人はキスに夢中になった。
「りお…今日は、ここまで」
はぁ…と熱に浮かれたようなため息をこぼして、赤井は唇を離した。
「さすがに連日抱いたら、お前が参ってしまう。
今日は俺を紳士でいさせてくれ」
「あら。秀一さんはいつだって紳士だわ。時々カワイイけど」
赤井の顔を見上げてりおは微笑む。
「俺をカワイイなんていうのはお前だけだよ」
そう言って赤井は照れたように笑った。
名残を惜しむ様に体を離す。
今日は別々に寝ようという赤井の提案で、それぞれの部屋へと入った。
先ほどまで体に溜まった熱がウソのように、部屋の空気は身震いするほど冷たい。
りおはすぐにベッドへと潜り込む。
もそもそと布団の中に首まで入ると目を瞑った。
夜——
りおは日課となった、おまじないのブレスレットを手に考え込んでいた。
「りお、どうした?」
難しい顔をしたまま動きを止めたりおに、赤井が声を掛ける。
「今日から一緒に寝れば、ブレスレット要らなくない?」
「一緒に寝て良いのか?」
赤井が目を丸くしてりおに問いかけた。
「え…だって一度抱いたんだし。我慢とか、もういらないでしょ」
僅かに頬を赤くして小さな声でつぶやいた
「それより…まだあの夢見るの?」
今度は心配そうに赤井の顔を覗き込む。
くるくると変わるりおの表情を見て、赤井は微笑んだ。
「夢は見るが…お前におまじないをしてもらうようになってだいぶ落ち着いた。
それより…昨日デパートから帰ってきた時、目を覚ましたお前の目が夢と同じで…。
夕べは何だかんだと理由を付けていたが、実際は俺が不安だったんだ。
また…俺を忘れてしまうんじゃないかって。
それで…まだ体調が万全ではないお前を…」
赤井は申し訳なさそうに下を向いて、夕べの事を話した。
「ん…。気付いてた。不安にさせて…ごめん…」
赤井の顔を見ていたりおは、切なげに目を伏せた。
「昨日は色々あったし…。それに…何だろう。今朝起きてから何かモヤモヤするの。
まだ何か大事な事…忘れている気もして…
あ! でも大丈夫だから。心配ないから…ね」
りおは慌てて取り繕うように大丈夫を繰り返す。
赤井の表情を伺うように、不安そうな顔を向けた。
『あなたが不安になったら、さくらはもっと不安になるわ』
ジョディの言葉がふいに思い出された。
りおの全てを守ると誓って、一緒に暮らす事を決めた。
自分たちは身も心も繋がるほど、深く愛し合っているはずだ。
それなのに…
まだ起こってもいない事を心配して。
俺が守るんじゃないのか?
りおに気を使わせてどうする…。
赤井は目を閉じた。
自分の心に問いかける。
ジョディにはもっとりおを信じろと言われた。
もちろん、彼女の事を信じていないわけではない。
だが自分には何かが足りないのだ。
りおをもっと信じてやるために、今の自分に足りないものは何だ?
決意か?
自覚か?
…どれもしっくりこなかった。
さらに考えて、あることに気付く。
(足りないものは…覚悟…か…)
例え何が起きてもすべてを受け入れる覚悟。
良い事であっても、悪い事であっても。
赤井秀一は神様ではない。
すべてが上手く行くとは限らない…最悪の事態だって受け入れなければならない事もある。
その覚悟が無いから、まだ起こってもいないことを不安になるのだろう。
赤井はようやく答えが見えた気がした。
もし…再びりおが自分を忘れてしまう事があっても…それを受け入れる覚悟を持つ。
そしてもう一度やり直せばいいじゃないか。
死なない限りいくらでもやり直せる。
何度でも。
赤井の心の中で何かが吹っ切れた。
「りお。すまない」
赤井はりおの隣に座ると手を膝の上で組み、ジッとそれを見つめた。
「俺が不安になれば、お前はもっと不安になるよな。俺は自分の事しか考えていなかった。
忘れられたらどうしようと、そればかりだった」
赤井は下を向いたまま話し続ける。
「でも、今気づいたんだ。もし忘れられたら…
もう一回お前を振り向かせれば良いんだって。
お前が俺を忘れても、俺自身の気持ちは変わらない。
だったら。出会いからもう一回やり直して、俺を好きにさせれば良いんだって気付いたんだよ」
赤井はりおの方へ向き直る。
ニッコリ微笑んだ顔に迷いはなく、どこかスッキリしていた。
「もう一度最初から…私と恋愛をするの?」
りおの目には涙がにじむ。
「ああ、そうさ。出会うところから」
赤井はりおの体を抱きしめた。
「大した自信ね。私を落とす事が出来るかしら?」
強気な言葉とは裏腹に、りおの目から一粒涙がこぼれる。
「猛アピールをして絶対に落とす。俺は執念深いんでね」
「秀一さんの猛アピールか…。ふふ。受けてみたいわね」
「ん? 気付いていないのか? いつもしてるんだが?」
「いつも?」
「ああ。特に…夜…な」
「……あ~…」
いたわるように始まるキスも。
すべてを奪おうとする熱い抱擁も。
独占欲をあらわにする律動も。
すべて彼の《愛してる》というアピール…
「俺から逃げられると思うなよ」
「逃げないわよ」
りおは即答した。
逃げるわけがない。
例えもう一度最初からやり直したって、結果は変わらない。
もうあなた無しではいれないのだから…。
「キスして。秀一さん」
「ん…。りお…」
何度か唇が触れる。
りおが小さく口を開けると、今度は深く口づけた。
赤井の大きな手がりおの両耳を覆う。
耳をふさがれたことで、くちゅりと水音がリアルに響いた。
りおは赤井の服をぎゅっと掴む。
何度も角度を変え、唇を食み舌を絡めた。
胸の内にあった不安も焦燥感も、すべてとけてなくなるほど、二人はキスに夢中になった。
「りお…今日は、ここまで」
はぁ…と熱に浮かれたようなため息をこぼして、赤井は唇を離した。
「さすがに連日抱いたら、お前が参ってしまう。
今日は俺を紳士でいさせてくれ」
「あら。秀一さんはいつだって紳士だわ。時々カワイイけど」
赤井の顔を見上げてりおは微笑む。
「俺をカワイイなんていうのはお前だけだよ」
そう言って赤井は照れたように笑った。
名残を惜しむ様に体を離す。
今日は別々に寝ようという赤井の提案で、それぞれの部屋へと入った。
先ほどまで体に溜まった熱がウソのように、部屋の空気は身震いするほど冷たい。
りおはすぐにベッドへと潜り込む。
もそもそと布団の中に首まで入ると目を瞑った。