第2.5章 二人の遠出~温泉旅行編~
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先ほどまでの激しい交わりが嘘のように静かになった部屋。
だいぶ夜も深まった頃…
赤井はぐったりしているりおを抱きかかえると、部屋のお風呂へと向かった。
間接照明の浴室で、赤井はそっとりおに湯をかける。
「…ん…」
「りお、大丈夫か?」
「あ…私…落ちてた…?」
「ああ。すまん。ちょっと無理させた」
申し訳なさそうな顔をして、赤井はりおを見る。
りおは周りを見回した。
「ん? ここ…お風呂?」
「ああ。お互い…その…。ベトベトなんでな…」
「?!」
ようやく状況を把握したりおは顔を真っ赤にした。
「じ、じ、じ、自分でアライマス…」
赤井から体を離すと、背中を向け石鹸を泡立てる。
体を洗いながらいたたまれない気持ちになった。
ちらっと後ろを振り向くと、同じように石鹸を泡立て体を洗っている赤井がいる。
思わず泡の付いた手を伸ばして、背中をそっと撫でた。
「っ!」
「どうしたの?」
「い、いや…。人に背中を流してもらうなんて、子どもの時以来だから…」
たっぷりの泡で優しく背中を洗う。
「ふっ! くすぐったい。またヘンな気分になる」
「そ、それはコマリマス…」
「りおの背中も洗ってやるよ」
今度は赤井がたっぷりの泡で洗ってくれた。
「ほんと! くすぐったい」
「ふふふ」と笑い合う二人は、お互いの体を洗い合って顔から体から泡だらけになった。
最後にザバーンと湯をかけ、大量の泡を流す。
「一緒に湯船に入るぞ」
「う、うん。このままじゃ寒いもん…」
かなり恥ずかしかったが、今更だろうと言われ観念して一緒に入った。
「なんか…良いな。こういうの」
「え? 一緒にお風呂入るのが?」
ぼそりと赤井がつぶやいたので、りおは思わず聞き返した。
「今まで…どちらかというと一人で過ごすことが多かった。一人は気楽だし、群れることはあまり好きではなかったからな。
お前も知ってるだろうが、潜入は基本一人だ。誰が敵か味方かなんて分からん。
気を許すことは無いし、誰かとどうこうしようなどとは考えなかった。
でもお前と出会ってから、なんか違うんだ。
美味い物があればお前と一緒に食べたいと思うし、キレイな景色を見れば一緒に見たいと思う。
気持ちいい風呂があれば一緒に入りたい。
何をやるにも、『一緒に』って思ってしまうんだ」
あのクールな赤井秀一の口から出た言葉とは思えない、カワイイ告白に思わずりおの顔が綻ぶ。
「おかしいかな」
ちょっと困ったような顔をして、赤井はりおに訊ねた。
照れているのかお風呂のせいか、少し顔が赤い。
「おかしくないよ。だって…」
「私も同じだから」
りおの言葉に赤井は驚いた顔をした。
カ~ッとまるで茹でたタコの様に全身を赤くする。
「私、愛されているんだなぁ~」
「どうやら、俺も愛されているようだ…」
二人で顔を見合わせて笑った。
お風呂から上がって水分補給をすると途端に眠気が襲ってくる。
「人間の三大欲求をすべて満たせそうだ」
そうね、と言って身支度を整えたりおは布団の中に潜り込む。
「こら、一人で寝る気か? やる事だけやって、それはさすがに酷くないか?」
すでに寝る気満々のりおをみて赤井は口を尖らせた。
「そんな訳ないでしょ。さあ、秀一さんおいで」
布団をめくっておいでをした。
「俺は犬か…」
文句を言いながらも、りおの布団の中に潜り込む。
揃いに浴衣を着た赤井は、そのままりおの体を抱きしめた。
二人からは同じ石鹸の匂いがする。
りおは赤井の胸元に耳を付けた。
とくとくと規則正しい鼓動
呼吸と共に上下する胸
優しい温度を伝える肌
生きている証を感じるだけで満たされる。
りおが思わずすり寄ると、赤井も優しく抱き寄せた。
(安心する…)
すっぽりと赤井の腕の中に収まって、このまま眠ってしまおうと思った時だった。
『—————!!』
「「ッ!!」」
りおはピクリと反応した。
赤井も同時に何かを感じた。
「今の…悲鳴?」
「分からん。かなり距離があるようだった…。野生動物の声かもしれないが…」
「行ってみる?」
「いや、今出るのは危険だ。土地勘もない真っ暗な山の中を歩くわけにはいかん。
装備もそんなに持って来て無い。
明るくなったら行ってみよう」
「うん、分かった」
人間の悲鳴のようにも聞こえた音。
あの音はいったい何だったのだろうか?
一抹の不安を感じながら二人は眠りについた。