第2.5章 二人の遠出~温泉旅行編~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ご飯になる前に旅館の大湯に行ってこようかな。昨日露天風呂に入って以来だし」
ひとつ伸びをしてりおは立ち上がる。
「それはやめた方が良いと思いますよ」
「えっ? 何でですか?」
昴に止められてりおは首を傾げた。
「いえ、あなたが良いなら良いんですけど…」
「私が良いなら? それってどういう…」
そこまで言って察した。
「あ…」
「気付きました? 夕べ…ちょっと激しく抱きすぎましたね」
昴は涼しい顔で言う。
「人が居なくなる時間に旅館の大湯に入るか、この部屋のお風呂に入るしかありませんね。
なんならここで一緒に入りますか?」
さわやかな笑顔を向けて問いかけた。
「昴さんのスケベ」
「おや、お風呂に入るだけでスケベとは…。
りおは何を想像したのですか?」
意地悪な笑顔を向ける。
りおはもう何も言えなくなって、一人で赤くなっていた。
結局部屋のお風呂にりおは一人で入った。
夕食の準備で旅館の人が出入りするため、昴はまだ変装を解くわけにはいかなかったからだ。
「『部屋に入ったら別の男がいた』なんてことになれば、大騒ぎになってしまいますからね」
昴は心なしか残念そうだ。
そんな昴を横目にお風呂でさっぱりしたりおは、旅館の浴衣を着て旅の雰囲気を味わった。
6時半になると夕食が運ばれてきた。
「わ~。やっと一汁三菜以上のまともな食事にありつける上に、こんなに豪華なんて!」
りおは並べられた料理に感激していた。
「確かに。夕べはチョコレートとビスケット。今朝は乾パン。お昼は警察でうどんでしたからね。天地ほどの差ですよ」
二人が感激している姿に担当の女性も笑っていた。
「さあ、温かいうちにどうぞお召し上がりください」
すすめられるままに二人は挨拶をして、ようやく旅行らしい時間を過ごした。
布団を敷いてもらい旅館の人の出入りが無くなると、昴は部屋のお風呂に向かった。
数十分後…
ホカホカの赤井が旅館の浴衣を着て出てきた。
「秀一さん…なんでも似合うね」
「そうか? どうやって着るのか少々迷ったよ」
「上手に着れていると思うよ。でも…」
「ん? なんだ?」
「ちょっと丈が足りない…秀一さん背が高いから」
足元の生地が少々短いようだった。
「まあ、これで寝るだけだから。問題ないだろう?」
クスクスと笑いながらりおはそうねと答えた。
ふと、少し開いた赤井の胸元に目が行く。今朝早くにりおが付けたキスマークが見えた。
思わず目を逸らす。顔が熱くなるのが分かった。
それをごまかすように窓際のイスに腰かけ視線を移す。窓ガラスが部屋の中を鏡の様に映していた。
ガラガラと窓を開けると、とたんに冷たい風が室内に流れ込む。
街灯も無く、月明かりに照らされた木々がぼんやりと見えるだけだった。
「どうした? 風邪ひくぞ」
りおの後ろから赤井が声を掛ける。
「あ、ごめんなさい。秀一さん湯冷めしちゃうね」
慌てて窓を閉めた。
「何か見えたのか?」
「ううん。月がきれいだなって思って。部屋の明かりで外が良く見えなかったから」
「なら、部屋の電気を消すと良い。窓を開けなくても良く見えるぞ」
そう言うと明かりのスイッチを切った。
部屋は真っ暗になる。
ぼんやりと傘をかぶったような月が見えた。
ただ先ほどより目が慣れてくると、月に照らされた周りの景色も次第に見えるようになってくる。
生い茂る木々は昼間見た色鮮やかな美しさは影を潜め、まるで墨絵のようだ。
繊細な濃淡の美しさに思わずため息が出る。
「キレイね…」
「ああ」
「昨日は雨だったし、夜景を楽しむなんて状態じゃなかったけど、こうして月明かりだけで見る景色も、ネオンで輝く街とは違った美しさがあるわ」
「そうだな。お前と二人だけで見ていると思うと、なおさら気分が良い」
サラッとキザなことを言うんだから…とりおは思った。
キザではあるが赤井が言うとサマになる。
思わず照れてしまった。
「どうした? 黙り込んで。照れているのか?」
「う、うん…」
きっと真っ赤になっているのだろうと、想像しながら、赤井はりおのうなじにキスをした。
「ッ! 真っ暗なのに、どうして私の場所が分かるの?」
「もう目が慣れたし…どうせさっきいた場所からそんなに動いていないだろう?」
そう耳元でつぶやくと、浴衣の合わせ目に手を入れてくる。
「ちょっ…昨日だって散々抱いたでしょう? いくらなんでも連日は……」
言い終わらないうちに、キスで抗議は塞がれた。
「言っただろう? 何度だって抱きたいって。この腕に閉じ込めて、俺だけのものにしたいんだ」
浴衣を大きく開けさせ、りおの肩は肌を晒す。
耳から首すじ、鎖骨そして肩へとキスを落とす。
そのたびに、りおの体はピクリと反応した。
ぎゅっと抱きしめ、赤井は右手でりおの後頭部を支えると、そのまま唇を重ねる。
舌を絡めたまま、二人は敷かれた布団へと体を倒していった。