story
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
全面戦争の傷跡が残る世界で、荼毘と星奈は、ヴィラン連合の主要メンバーとして、新たな秩序を打ち立てるための活動を続けていた。彼らの関係は、もはや恋愛や依存という言葉では測れない、魂の誓約によって結ばれていた。
荼毘の炎は安定し、彼はその強大な力を誰にも邪魔されずに振るうことができた。彼の炎の熱は、星奈がかつて命を削って守り抜いた、愛と狂気の結晶だった。彼の隣には、常に**「氷の共犯者」である星奈が立っていた。彼女はもう無理に氷を使わない。彼女の存在そのものが、荼毘の心の安定剤であり、彼の炎を暴走させないための絶対的な結界**となっていた。
ヴィランとしての生活は、過酷で孤独なものだったが、彼らにとっては、それが唯一の安息の地だった。世界の憎悪と追跡が激しくなるほど、二人はより深くお互いの存在を確かめ合った。
ある夕暮れ、二人は焼き払われた街の廃墟の屋上に立っていた。
「見ろ、星奈。これが、俺たちが世界に刻みつけた傷跡だ」
荼毘の全身から、ゆらめく蒼い炎が発せられる。その光が、星奈の凍傷でひび割れた手を照らした。
「綺麗よ、燈矢くん。あなたの炎は、誰にも真似できない、あなたの生きた証だわ」
星奈は、手袋を脱ぎ、彼の熱を帯びた手に、そっと自分の冷たい手を重ねた。彼女の体は相変わらず冷たかったが、彼の炎の熱が、彼女の体を内側から温め続けている。彼女の凍傷は、彼が彼女を愛し、彼女が彼に献身した、二人の愛の軌跡として、もはや彼女の体の一部となっていた。
「俺は、お前と出会わなければ、とっくにあの炎に焼かれて死んでいた。轟燈矢の憎悪と共に、消えていたはずだ」
荼毘は、彼女の体を抱き寄せた。彼の炎は、彼女の肌を焦がすことなく、優しく、しかし確実に包み込む。
「あなたは、私を火事から救ってくれた。そして、私に生きる理由をくれた。この地獄で、私を愛してくれた。それだけで、私は十分よ」
彼女は、彼が自分を救い出したあの火事の日から、ずっと彼に恋をしていた。そして、兄という壁、ヴィランという運命、個性の相克という試練を乗り越え、今、彼の隣にいる。
彼らの愛は、ヒーロー社会の道徳や常識から見れば、歪んだ狂気だった。しかし、彼らにとって、それは真実の純愛だった。憎悪の中で生まれ、炎と氷の中で育まれた、誰にも理解されない、二人だけの世界。
遠くで、焦凍を筆頭とするヒーローたちの追跡のサイレンが聞こえてくる。彼らの戦いは、終わらない。荼毘の炎が消えるまで、そして星奈の心が冷え切るまで、彼らは戦い続けるだろう。
「さあ、星奈。行くぞ。地獄の次のステージへ」
「ええ、私の荼毘」
二人は手を繋ぎ、屋上から飛び降りた。蒼い炎が轟音と共に噴き出し、彼らを包み込む。その炎の周りには、目に見えない、しかし強固な氷の結界が常に存在していた。
荼毘と星奈の**円舞曲(ワルツ)**は、世界が続く限り、終わることなく繰り広げられる。
地獄の果てで、永遠の誓約を交わした炎と氷のヴィランは、お互いの存在を命綱として、闇の中を、どこまでも突き進んでいくのだった。
10/10ページ