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最終決戦の地は、天城玲凰が裏社会の頂点に立った、最初の秘密施設だった。
岩本照は、玲凰の妹である天城美月(K. M.)と、その施設の中心で対峙していた。玲凰が裏切りの象徴として用いた、古びたフィルムカメラが、二人の間に置かれている。
「始めましょう、偽りの王」美月の声は、憎しみと悲しみが混ざり合い、深淵のような響きを持っていた。
岩本は、その声に揺らぐことなく、静かに応じた。
「貴方が本当に望むのは、玲凰の死ではない。彼を『人間』として取り戻すことだ。俺たちの戦いは、貴方が最後に兄へ送った『光の記憶』、その真実を、貴方自身が受け入れるための戦いだ」
岩本は、美月に向かって、佐久間たちが解析した**「最後の抱擁」の静止画**を、壁面の大型モニターに映し出した。
「貴方は、この瞬間、玲凰に『あなたは、私の光だから、生きなさい』と告げた。玲凰は、その愛を、世界の重荷と共に背負った。その孤独を、憎しみに変えてしまうのは、貴方の愛への最大の裏切りだ」
美月の瞳から、一筋の涙が流れ落ちた。彼女が背負い続けた憎悪の盾は、兄への真実の愛によって、遂に砕かれた。
「私は…私は、ただ…」美月は、その場に膝をついた。「あの人に、幸せに生きてほしかっただけなのよ…!」
岩本は、美月の悲痛な叫びに、静かに応じた。
「その願いは、俺たちが引き継ぐ。玲凰の**『生きる場所』**は、貴方と俺たち9人が作る」
その時、施設の奥から、もう一つの影が現れた。
黒のコートを纏ったその男は、静かに、しかし確かな足取りで、岩本と美月の間に歩み出た。天城玲凰だ。
「美月」
玲凰の声は、静かだったが、その中に含まれる長年の孤独と、妹への愛情が、空間を満たした。
美月は、顔を上げ、兄の姿を見た。彼女が殺そうとした、世界の頂点の男。しかし、その瞳には、かつて美月が愛した、「兄」の表情が戻っていた。
「兄様…!」
「私は、君の愛から逃げ続けた。世界の均衡のため、と自分に言い聞かせ、君の『光』を、私自身の『闇』で塗りつぶそうとした。…許してくれ、美月」
玲凰は、妹に近づき、そっと抱きしめた。それは、二人が何十年も渇望していた、真の和解の抱擁だった。
(深澤side)
その頃、北欧の別荘では、深澤辰哉たちが、美月の残存部隊との最後の攻防戦を繰り広げていた。
「絶対に、ここを突破させるな!ひかると玲凰さんが和解する、時間を稼ぐんだ!」深澤は、声を枯らして叫んだ。
別荘を取り囲む敵部隊は、凄まじい火力で攻撃を仕掛けてくる。しかし、深澤たちの絆の力は、それを上回っていた。
(ラウール side)
ラウールの全身から、青い光が放出された。それは、もはや単なるエネルギーではなく、彼らの**『希望』**を可視化した、強烈な光だった。彼は、その光をバリアーのように展開し、別荘全体を包み込んだ。
「僕は、負けない!ひーくんと玲凰さんの**『生きる場所』**を守るんだ!」
(宮舘&渡辺 side)
宮舘は、その鍛え抜かれた肉体と、驚異的な判断力で、敵の接近を阻止する。渡辺は、冷静な視線で敵の連携を読み取り、宮舘と連携して、完璧な防衛ラインを構築していた。
「涼太、右に二人!」「わかった!」二人の連携は、まるで一つの生命体のようだった。彼らの絆は、どんな暗殺者よりも強固な壁となる。
(佐久間&向井 side)
佐久間は、その機動力を活かし、敵の注意を分散させる。康二は、その様子を全て記録しながら、同時に、爆発的な閃光を放つストロボを駆使し、敵の視界を奪った。
「俺のカメラは、光の武器や!玲凰さんが俺にくれた光、絶対に無駄にせえへん!」
(目黒side)
目黒は、建物の構造と敵の動きを瞬時に計算し、最も危険な突破口を、その強靭な体で塞いだ。彼の心には、岩本の**『孤独な王』としての覚悟と、玲凰の『孤独な人間』**としての苦しみが響いていた。
「玲凰さん。貴方の孤独は、ここで終わらせる。岩本くんを、俺たちの場所に帰すんだ!」
(阿部side) 阿部は、敵の通信をジャックし、誤情報を流すことで、敵の連携を完全に崩壊させた。彼の知力は、最新鋭の兵器以上の力を発揮していた。
「ふっか、敵は撤退を始めた!岩本くんと玲凰さんの和解が、裏社会に波紋を広げている!」
玲凰と美月の抱擁は、数十年にもわたる孤独と憎悪の鎖を断ち切った。
「美月。私は、この**『偽りの王』、岩本照とその仲間たちによって、初めて生きる意味**を与えられた」
玲凰は、美月に語りかける。その瞳は、もはや冷たい氷ではない。
「世界の均衡は、私一人が背負うものではない。これからは、私と君、そして**彼らの『光の絆』**によって、守られるべきものだ」
その時、氷室が、玲凰と岩本に近づいた。彼の顔は、初めて安堵の表情を浮かべていた。
「天城様。北欧の防衛線は成功しました。そして、裏社会は、貴方の**『自死』ではなく、貴方の妹の『裏切り』**によって、貴方の支配体制が崩壊したと認識しました」
「これで、私の望む『静かな結末』は得られた」玲凰は、氷室に静かに言った。「岩本照。貴方の命を賭した宣戦布告と、仲間たちの光の絆に、心から感謝する」
玲凰は、玉座に座る岩本に向き直り、深々と頭を下げた。裏社会のトップが、アイドルに敬意を表した、歴史的な瞬間だった。
「私の命は、貴方と、貴方の9人の光が救った。私の権力とネットワークは、貴方方が**『生きる場所』**を守り抜くために、今後、無償で提供しよう」
「玲凰さん…」岩本は、その言葉に、胸が熱くなるのを感じた。
「偽りの王の役目は終わった」岩本は、玲凰の玉座から立ち上がった。
「俺たちの『生きる場所』は、この裏社会でも、貴方の光の記憶が詰まった北欧でもない」
岩本は、玲凰と美月、そして氷室に向かい、強く、そして誇らしげに言い放った。
「俺たちの『生きる場所』は、9人全員が、笑顔でステージに立てる場所だ」
玲凰は、微笑んだ。それは、彼が何十年も前に失った、『人間』としての笑顔だった。
「わかった。私は、君たちの**『永遠の光』**を、この闇の中から見守ろう。そして、君たちのステージが、**世界を照らす『真の均衡』**となることを、祈っている」
数日後。Snow Manの9人は、再び日本のステージに立っていた。彼らは、玲凰のネットワークによる完璧な情報操作と、アンチ勢力の瓦解により、無事、日常へと帰還した。
ステージの眩い光の中で、渡辺翔太は、客席の遠い闇の中に、ある人影を見つけた。
黒いコート。静謐な横顔。その隣には、天城美月。
玲凰は、美月と共に、裏社会の支配者という地位を放棄し、その巨大なネットワークを、世界の安定のための『影の支援組織』へと変えていた。彼らは、表舞台に立つことはないが、Snow Manの活動を、静かに、そして強力に支援し続けている。
「照、見て」翔太は、岩本に目配せをした。
岩本は、頷いた。彼の瞳には、孤独な王の冷酷さではなく、仲間への信頼と、未来への希望が輝いていた。
「俺たちの『生きる場所』は、ここだ」
9人は、最高の笑顔で、一斉にパフォーマンスを始めた。
彼らの放つ光は、かつて玲凰が求めた『静かな死場所』を、**『生きたまま輝く場所』**へと変えた。
そして、その光は、ステージの闇の中に佇む、二人の孤独な魂を、永遠に照らし続けるだろう。
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