パーティーの翌日、VOISING Inc.の公式ウェブサイト、および所属するいれいす、すたぽら、クロノヴァの全SNSアカウントで、異例の緊急声明が発表された。

その声明は、VOISING代表のないこと、各グループのリーダーたちが署名した、重い内容だった。

「まず、弊社所属タレント、青龍星奈の体調不良による無断欠席について、ファンの皆様、関係者の皆様に多大なるご心配をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。」

文章は、まず謝罪から始まったが、核心はすぐに明かされた。

「星奈は現在、治療が困難な進行性の疾患を患っており、余命が半年以内であることを医師から宣告されています。」

世間は騒然となった。アイドルの余命宣告という前代未聞の事態に、VOISINGのサーバーはアクセス集中により一時ダウンした。

声明はさらに続いた。星奈がスタッフから悪質な虐めを受けていた事実、そしてVOISINGの17人が彼女の訴えを信じられなかった経緯を、贖罪という言葉と共に全て公にした。

「我々VOISING所属の17名は、彼女を深く傷つけ、孤独に追い込んだ張本人です。この償いとして、青龍星奈の残りの時間全てを、彼女のソロ活動期間として最優先することをここに誓います。」

VOISINGの全グループの活動は一時的に縮小され、全ての資源は星奈のサポートに注がれることが発表された。そして、彼女が制作し、23人がアレンジとコーラスで参加した楽曲**『青い旋律 (Blue Melody)』**を、一週間後にリリースすることも告知された。

世間の反応と試される覚悟

公表後の世間の反応は、賛否両論、激しいものだった。

否定的な声：
「余命宣告を利用した売名行為ではないか？」

「虐めを公表するのは、ただの責任逃れだ。」

「人気グループの活動を止めてまで、一人のソロタレントに注力するのはおかしい。」

肯定的な声：
「ここまで全てを公表するなんて、VOISINGは本気だ。応援したい。」

「星奈ちゃんの歌を聴きたい。どうか最期まで幸せに。」

「17人の贖罪、見てるぞ。逃げるなよ。」

VOISINGのメンバーたちも、SNSやインターネット上の激しい言葉の波にさらされた。しかし、彼らは誰も弱音を吐かなかった。

「これでいいんだ。俺たちが、彼女の光を消そうとした罪は、これくらいの批判じゃ消えない」いれいすのIfは、荒れるネットニュースを見ながら、むしろ決意を新たにした。

クロノヴァのかなめは、白組リーダーとして、全メンバーにメッセージを送った。「世間の声に耳を貸すな。俺たちの視線は、星奈ただ一人に向けられている。最後まで、家族でいろ」


楽曲リリースまでの7日間、VOISINGの17人とシクフォニは、寝る間も惜しんで準備に奔走した。

**プロモーションチーム（りうら、すち、こったろなど）**は、世間の複雑な感情を考慮し、煽情的ではない、星奈の歌に込められたメッセージを伝えるプロモーション戦略を練った。

**制作＆記録チーム（悠佑、Relu、-hotoke-など）**は、レコーディングされた楽曲の最終調整と、星奈の日常を記録したドキュメンタリー映像の制作を急いだ。

シクフォニのメンバーは、この緊迫した状況を遠くから静かに見守っていた。彼らは、VOISINGのメンバーの覚悟が本物であると確信し始めていた。

「すごいね、VOISINGの奴ら。自分たちの信用を賭けて、星奈を守り始めた」シクフォニのLANが感嘆の声を漏らす。

暇72は静かに頷いた。「あいつらは、星奈を追い詰めた過去から逃げなかった。…あとは、星奈の歌が、世界に届くかどうかだ」


星奈は、公表された声明を、ベッドの上で静かに読んでいた。彼女は、メンバーが自分たちの罪を全て公表し、彼女の人生を最優先にしたことに、驚きと同時に深い感動を覚えていた。

「…私、本当に、みんなに迷惑をかけてる」

そう呟いた星奈の隣で、いれいすの**-hotoke-**がそっと手を握った。「迷惑なんかじゃないよ、星奈。これは、僕たちの最後のチャンスなんだ。君の歌を世界に届けるための」

星奈は、小さく微笑んだ。

「ありがとう、ほとけくん。…私、ちゃんと、歌を聴いてもらいたい。みんなの、この気持ちに応えたい」

彼女の残された時間は、刻一刻と迫っている。VOISINGとシクフォニの23人は、彼女の命の火を絶やさぬよう、運命のリリース日へと向けて走り続けた。