《仲間視点》

LANはスタジオを出て、夜の街を歩きながら情報を整理していた。
Reluの異変――冷たい態度、目に宿る疲労、そして会いたくないという言葉。
あれは単なる体調不良や機嫌の悪さじゃない。

「……絶対、何か隠してる」

Coe.と連絡を取り、昨日のやり取りを再確認する。
Coe.はまだ若く、最年少リーダーとして戸惑いながらも、Reluを案じていた。
しかし、藍と星奈が常に彼の前に立ちはだかり、事実を伝えられない。

LANは仲間たちに声をかける。
「ないこ、ARKHE、俺ら、もう直接確認するしかないと思う」

ないこは少し戸惑いながらも頷いた。
「Reluのこと、心配だよな……でも、藍と星奈が立ち塞がるってのも知ってるよ」

ARKHEは冷静に計算する。
「二人は単純に守ってるだけじゃない。妨害も含めて戦略的に動いてる」

それでも、仲間たちは諦めない。
LANの決意が周囲に伝わり、緊張感と焦燥感が共有される。


翌日、LANはCoe.と共にReluのマンションへ向かった。
心臓が張り裂けそうになる。

ドアをノックすると、藍がすぐに現れる。
「LANさん、会いに来たんですか」
その声には冷たさと、わずかな警戒心が混ざる。

「Reluに会わせてほしい」
LANは強く言い放つ。

藍は少しも動じず、ゆっくりと首を横に振る。
「会えません。Reluは今、会いたくないと言ってます」

LANは怒りと悲しみで震えた。
「それは違うでしょ！　本当は誰かに守られてるだけでしょ！」
だが藍は一歩も譲らない。

その背後から、星奈が静かに立つ。
「LANさん……これ以上は無理です。Reluを傷つけたくないから」
彼女の目には涙が光っていた。
でも、決してLANに道を譲らない強さがあった。

LANは拳を握りしめる。
悔しさと無力感で体が震える。
（俺は……諦めねぇ……必ず、Reluに辿り着く）


夜、仲間たちはスタジオに集まり、情報を整理する。
LANがReluの行動や様子を共有し、Coe.も自分が感じた違和感を話す。

「昼間のリハの時も、避けられたんだ」
Coe.の声が震える。
「僕が何かしたんじゃないかって思うくらい……」

ないこが深く息をつく。
「藍と星奈が妨害してるんだろうけど……でも、Reluを守りたい気持ちは分かる」

ARKHEは冷静に、状況を分析する。
「でも、守り方が極端すぎる。これじゃ、Reluも俺らも苦しいだけだろう」

それでも結論は出ない。
一歩踏み出せば、藍と星奈に阻まれる。
それでも、仲間たちの心は一つだった。
「Reluを、俺らの手で……絶対、助ける」

LANは深呼吸をして、再びReluのマンション前に立った。
「今度こそ、直接会う」
握った拳に力を込める。

Coe.も隣で小さく頷く。
「自分も……一度だけでいい。話したい」
二人の決意は固い。

ドアを開けると、予想通り藍と星奈が立ちはだかる。
藍は冷静に視線を向け、声を低くする。
「LANさん、Coe.、これ以上入ったら危険です」

LANは怒りに震えた。
「Reluは会いたがってないかもしれない。でも、俺らには理由を知る権利がある！」

しかし、星奈が静かにLANの前に立つ。
「Reluの意志を尊重して。無理に会わせたら、彼を追い詰めるだけです」
その眼差しは優しいが、揺るがない決意を持っていた。

Coe.は言葉を詰まらせる。
「でも……僕は、なるべく……」
藍がさっと手を伸ばし、Coe.の腕を軽く掴む。
「やめとけ。今は守る時や」

LANは怒りと苛立ちで声を荒げる。
「守る？　守るって、ただ遠ざけるだけじゃんか！　本当はReluが苦しんでるでしょ！」

星奈は悲しげに首を振る。
「LANさんにはわからない。今、Reluに必要なのは、会って答えを求めることじゃない」
その言葉に、LANは言葉を失う。
理解できるようで、理解できない――そのジレンマが胸を締め付けた。

結局、LANもCoe.も、藍と星奈の壁を前にして、どうすることもできなかった。
悔しさで震える手を握りしめながら、LANは心の中で誓う。
（俺は……絶対に諦めない。Reluの本当の気持ち、必ず知る）

藍と星奈の二人は、少し離れた位置で互いを見つめ合い、静かに頷く。
「……守れてるかな」
「うん、大丈夫。まだ、俺たちで支えなあかん」

夜の静寂の中、Reluを巡る攻防は決着がつかないまま続いていた。