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《Coe.視点》
スタジオの壁に反響するリズム。
いつものリハーサル。
でも――今日の空気は、どこかおかしかった。
「れるさん、そこもうちょい抑え気味にしてくれる?」
音合わせの途中、僕はマイクを持ったまま声をかけた。
細かいニュアンスを直すのは、リーダーの役目だと思って。
けれどReluは、眉をひそめて僕を一瞥すると、吐き捨てるように言った。
「……自分で考えろや。リーダーやろ?」
その一言に、胸がぎゅっと掴まれたように苦しくなった。
いつもなら「おお、わかったで」って笑って返してくれるのに。
冗談交じりに毒舌を飛ばすのは慣れてたけど、今日のは笑えない。
「え……」
声が漏れたけど、すぐに藍が間に入った。
「おいおい、Coe.、気にすんなや。れる、昨日ほとんど寝てへんねん」
軽く笑いながら、場を流す。
その横で、星奈さんがペットボトルの水を手渡して「ほら、休憩しよ」って言った。
Reluは不機嫌そうに受け取り、口をつけただけで視線を逸らした。
――なにこれ。
胸の奥がざわざわして、集中できない。
僕は最年少だけど、リーダーをやってるから、メンバーの空気の変化には敏感でいたい。
それなのに、今のReluの態度をどう受け止めていいのかわからなかった。
「……僕、なんかした?」
思わず問いかけると、Reluは短く答えた。
「別に」
冷たい。
突き放された感覚。
心臓がどくどく早くなる。
隣でくにおが小声で「れるち、機嫌悪ぃな……」と呟くのが聞こえた。
こったんも眉をひそめて僕を見る。
「こえちむ、今日は無理に詰めないでおこう。流れを優先しよ」
わかってる。わかってるけど……
リーダーとして、今のReluをそのままにしていいのか。
藍はいつも通りの顔で、でもどこか影を落とした瞳で僕を見返した。
その視線に「深入りするな」と言われているようで、言葉を飲み込むしかなかった。
僕は譜面台の上の楽譜を握りしめる。
震えてる指先に、汗がじっとり滲む。
――Reluさん、どうしたんだよ。
胸の中で叫んでも、返事は返ってこない。
ただ、スタジオに流れる沈黙と、仲間の気まずい視線が突き刺さるだけだった。
スタジオの休憩スペースに移動しても、胸のざわつきは収まらなかった。
Reluはスマホをいじっていて、誰とも目を合わせようとしない。
僕が隣に座ろうとした瞬間、彼はさりげなく椅子を引いて距離を取った。
……やっぱり、僕が何かしたんだ。
そうじゃなきゃ、ここまで避けられる理由がわからない。
「こえちむ、大丈夫?」
こったろさんが小声で聞いてきた。
僕は無理に笑って「うん、大丈夫」と答えたけど、心の中はぐちゃぐちゃだった。
藍はそんな僕らを横目に見ながら、わざと明るい声を出した。
「おーい、そろそろ次の曲合わせるで!」
その声にみんなが立ち上がり、空気が強引に動かされた。
――けど、違和感は消えないままだった。
配信前
その日の夜は定期配信の日。
「すたぽら」のメンバー全員でリスナーと会話する、大事な時間。
僕は準備をしながらも、昼間のReluの冷たさが頭から離れなかった。
本番前、控室で声をかけてみる。
「れる、今日は大丈夫?」
ほんの少しだけ期待していた。
「ごめん、昼間は疲れてただけや」って笑ってくれるんじゃないかって。
けれど返ってきたのは、無表情のままの一言だった。
「別に問題ない」
氷みたいに冷たい声。
胸の奥がずしんと沈んで、息苦しくなった。
星奈さんが「大丈夫、大丈夫。Coe.、配信楽しもう?」と柔らかく肩を叩いてくれる。
でも、その笑顔の奥に、何か隠してる気がしてならなかった。
配信中
画面の向こうにリスナーのコメントが流れる。
「すたぽらだ〜!」「今日も楽しみ!」
いつもと変わらない温かい声があふれてる。
僕は笑顔で「こんばんは、すたぽらのCoe.です!」と挨拶した。
メンバーも順番に自己紹介をしていく。
そしてReluの番。
「……Reluです」
短く、感情を乗せない声。
コメント欄に「れる元気ない?」「どうしたの?」の文字が一気に流れた。
僕の心臓が跳ねる。
「れるさん、今日はテンション低め?」と僕が冗談めかして振ると、
彼は無表情のまま返した。
「……別に。盛り上げるのはリーダーの役目やろ」
その瞬間、場の空気が一瞬固まった。
画面越しのリスナーにも、きっと伝わってる。
僕は慌てて笑顔を作り、「はいはい、がんばります!」と返した。
コメント欄には「え、喧嘩?」「大丈夫?」「Coe.泣かないで」なんて文字が流れてくる。
藍がすかさず割り込んできた。
「おーいおーい! れるはツンデレやからな! 気にせんでええで〜!」
星奈さんも「はいはい、次のコーナー行こう!」と明るく進行してくれる。
二人が必死に誤魔化してくれるのを感じながら、
僕は胸の奥で叫んでいた。
――Reluさん、どうして……?
配信が終わった瞬間、スタジオに静けさが戻った。
さっきまでコメントの洪水に押し流されていた僕の心は、逆に空っぽになっていた。
Reluは片付けもそこそこに、マイクの前から立ち上がる。
その背中を見て、僕の足が勝手に動いた。
「れるさん、ちょっと――」
呼び止めた声が震えていた。
言葉にしたら、何かが変わる気がした。
せめて理由を聞きたい。僕が何をしたのか、知りたい。
けれど、その声に重なるように明るい声が響いた。
「おつかれさーん! 今日も最高やったな!」
藍がわざと大げさに伸びをしながら、Reluの肩を軽く叩いた。
星奈さんもすぐに続く。
「ほんとだね! みんな疲れてるだろうし、今日はもう帰ろ?」
柔らかい笑顔。でも、その目は真剣に僕を見ていた。
――やめろ、と言われている気がした。
「でも、僕……」
言いかけた瞬間、藍が僕の肩に腕を回してきた。
「おいおいリーダー! そんな難しい顔すんなや。配信は終わりや、次は打ち上げ気分やで!」
笑いながら強引に話を逸らす。
その隙に、Reluは無言でギターケースを背負い、出口へ向かっていった。
背中が小さくなっていく。呼び止めたいのに、喉が張りついて声が出ない。
「……なんで」
小さなつぶやきは、誰にも届かない。
星奈さんがそっと僕の前に立つ。
「Coe.、今日はもう休んで。ね?」
優しい声。でも、その優しさは僕を遠ざける壁にも思えた。
僕は頷くことしかできなかった。
自宅に戻ったはずなのに、まったく落ち着けなかった。
ベッドに横になっても、さっきの光景が何度も頭の中で繰り返される。
――「盛り上げるのはリーダーの役目やろ」
あの冷たい声が耳の奥に残って、離れてくれない。
思い出すたびに胸の奥が締めつけられて、呼吸が浅くなる。
僕、リーダー失格なんだろうか。
いつも頼れる最年少でいたいと思ってた。
みんなをまとめたい、笑顔でいさせたい、そう思ってたのに。
でも……どうして?
どうしてれるが僕を避けるんだろう。
僕が何をしたの?
スマホを開けば、配信のアーカイブを見直せてしまう。
コメント欄には「Coe.大丈夫?」「れると喧嘩した?」なんて文字が並んでいて、胸に刺さる。
リーダーとして笑っていなきゃいけないのに、泣きそうになる。
枕をぎゅっと抱きしめて、目を閉じた。
けど、涙は勝手に滲んでくる。
――れる。
もし僕が何か悪いことをしたなら、教えてほしいよ。
謝るから。
ちゃんと話したいよ。
でも、昼も夜も、彼は僕から離れていくばかりだ。
時計の針は深夜を回っていた。
眠れないまま天井を見つめて、心臓の音だけがやけに大きく響いていた。
《藍、星奈視点》
夜の街はすっかり静まり返っていた。
配信が終わり、解散したあと。Reluを送り出した帰り道、藍と星奈は同じ方向に歩いていた。
無言のまま数分。
ふいに藍が小さくため息をついた。
「……正直、Coe.には悪いことしたな」
「うん……。わたしも、胸が痛かった」
星奈は歩きながら、手に持った水のペットボトルを握りしめる。
「でも……言えないよね。Reluのこと」
「言えるわけないやろ」
藍の声は低く、少し震えていた。
「余命なんて言葉、聞かされたら……あいつら、どうなると思う?」
星奈は目を伏せた。
「壊れるよ。特にCoe.は……リーダーだからって、全部背負おうとするから」
「せやな」
藍はポケットに手を突っ込み、夜空を見上げる。
「俺らが盾になるしかない。Reluが嫌われ役をやりたいって言うなら、俺らはその手伝いをする。……どんだけCoe.に恨まれてもな」
「……優しいよね、Relu」
星奈の声は震えていた。
「ほんとは、みんなのこと大好きなのに。嫌われようとして……そんなの、つらいに決まってるのに」
藍はしばし黙り込み、やがてぼそっと言った。
「でもな、星奈。俺らが泣いてたら、Reluは余計にしんどくなるやろ。だから……泣くんは、最後まで我慢せえ」
星奈は唇を噛みしめて、こくりと頷いた。
二人の間に、重い沈黙が落ちる。
遠くで電車の音が響いた。
その音にかき消されるように、星奈が小さく呟いた。
「……せめて最後まで、Reluの味方でいよう」
藍は静かに目を閉じて、その言葉に頷いた。
スタジオの壁に反響するリズム。
いつものリハーサル。
でも――今日の空気は、どこかおかしかった。
「れるさん、そこもうちょい抑え気味にしてくれる?」
音合わせの途中、僕はマイクを持ったまま声をかけた。
細かいニュアンスを直すのは、リーダーの役目だと思って。
けれどReluは、眉をひそめて僕を一瞥すると、吐き捨てるように言った。
「……自分で考えろや。リーダーやろ?」
その一言に、胸がぎゅっと掴まれたように苦しくなった。
いつもなら「おお、わかったで」って笑って返してくれるのに。
冗談交じりに毒舌を飛ばすのは慣れてたけど、今日のは笑えない。
「え……」
声が漏れたけど、すぐに藍が間に入った。
「おいおい、Coe.、気にすんなや。れる、昨日ほとんど寝てへんねん」
軽く笑いながら、場を流す。
その横で、星奈さんがペットボトルの水を手渡して「ほら、休憩しよ」って言った。
Reluは不機嫌そうに受け取り、口をつけただけで視線を逸らした。
――なにこれ。
胸の奥がざわざわして、集中できない。
僕は最年少だけど、リーダーをやってるから、メンバーの空気の変化には敏感でいたい。
それなのに、今のReluの態度をどう受け止めていいのかわからなかった。
「……僕、なんかした?」
思わず問いかけると、Reluは短く答えた。
「別に」
冷たい。
突き放された感覚。
心臓がどくどく早くなる。
隣でくにおが小声で「れるち、機嫌悪ぃな……」と呟くのが聞こえた。
こったんも眉をひそめて僕を見る。
「こえちむ、今日は無理に詰めないでおこう。流れを優先しよ」
わかってる。わかってるけど……
リーダーとして、今のReluをそのままにしていいのか。
藍はいつも通りの顔で、でもどこか影を落とした瞳で僕を見返した。
その視線に「深入りするな」と言われているようで、言葉を飲み込むしかなかった。
僕は譜面台の上の楽譜を握りしめる。
震えてる指先に、汗がじっとり滲む。
――Reluさん、どうしたんだよ。
胸の中で叫んでも、返事は返ってこない。
ただ、スタジオに流れる沈黙と、仲間の気まずい視線が突き刺さるだけだった。
スタジオの休憩スペースに移動しても、胸のざわつきは収まらなかった。
Reluはスマホをいじっていて、誰とも目を合わせようとしない。
僕が隣に座ろうとした瞬間、彼はさりげなく椅子を引いて距離を取った。
……やっぱり、僕が何かしたんだ。
そうじゃなきゃ、ここまで避けられる理由がわからない。
「こえちむ、大丈夫?」
こったろさんが小声で聞いてきた。
僕は無理に笑って「うん、大丈夫」と答えたけど、心の中はぐちゃぐちゃだった。
藍はそんな僕らを横目に見ながら、わざと明るい声を出した。
「おーい、そろそろ次の曲合わせるで!」
その声にみんなが立ち上がり、空気が強引に動かされた。
――けど、違和感は消えないままだった。
配信前
その日の夜は定期配信の日。
「すたぽら」のメンバー全員でリスナーと会話する、大事な時間。
僕は準備をしながらも、昼間のReluの冷たさが頭から離れなかった。
本番前、控室で声をかけてみる。
「れる、今日は大丈夫?」
ほんの少しだけ期待していた。
「ごめん、昼間は疲れてただけや」って笑ってくれるんじゃないかって。
けれど返ってきたのは、無表情のままの一言だった。
「別に問題ない」
氷みたいに冷たい声。
胸の奥がずしんと沈んで、息苦しくなった。
星奈さんが「大丈夫、大丈夫。Coe.、配信楽しもう?」と柔らかく肩を叩いてくれる。
でも、その笑顔の奥に、何か隠してる気がしてならなかった。
配信中
画面の向こうにリスナーのコメントが流れる。
「すたぽらだ〜!」「今日も楽しみ!」
いつもと変わらない温かい声があふれてる。
僕は笑顔で「こんばんは、すたぽらのCoe.です!」と挨拶した。
メンバーも順番に自己紹介をしていく。
そしてReluの番。
「……Reluです」
短く、感情を乗せない声。
コメント欄に「れる元気ない?」「どうしたの?」の文字が一気に流れた。
僕の心臓が跳ねる。
「れるさん、今日はテンション低め?」と僕が冗談めかして振ると、
彼は無表情のまま返した。
「……別に。盛り上げるのはリーダーの役目やろ」
その瞬間、場の空気が一瞬固まった。
画面越しのリスナーにも、きっと伝わってる。
僕は慌てて笑顔を作り、「はいはい、がんばります!」と返した。
コメント欄には「え、喧嘩?」「大丈夫?」「Coe.泣かないで」なんて文字が流れてくる。
藍がすかさず割り込んできた。
「おーいおーい! れるはツンデレやからな! 気にせんでええで〜!」
星奈さんも「はいはい、次のコーナー行こう!」と明るく進行してくれる。
二人が必死に誤魔化してくれるのを感じながら、
僕は胸の奥で叫んでいた。
――Reluさん、どうして……?
配信が終わった瞬間、スタジオに静けさが戻った。
さっきまでコメントの洪水に押し流されていた僕の心は、逆に空っぽになっていた。
Reluは片付けもそこそこに、マイクの前から立ち上がる。
その背中を見て、僕の足が勝手に動いた。
「れるさん、ちょっと――」
呼び止めた声が震えていた。
言葉にしたら、何かが変わる気がした。
せめて理由を聞きたい。僕が何をしたのか、知りたい。
けれど、その声に重なるように明るい声が響いた。
「おつかれさーん! 今日も最高やったな!」
藍がわざと大げさに伸びをしながら、Reluの肩を軽く叩いた。
星奈さんもすぐに続く。
「ほんとだね! みんな疲れてるだろうし、今日はもう帰ろ?」
柔らかい笑顔。でも、その目は真剣に僕を見ていた。
――やめろ、と言われている気がした。
「でも、僕……」
言いかけた瞬間、藍が僕の肩に腕を回してきた。
「おいおいリーダー! そんな難しい顔すんなや。配信は終わりや、次は打ち上げ気分やで!」
笑いながら強引に話を逸らす。
その隙に、Reluは無言でギターケースを背負い、出口へ向かっていった。
背中が小さくなっていく。呼び止めたいのに、喉が張りついて声が出ない。
「……なんで」
小さなつぶやきは、誰にも届かない。
星奈さんがそっと僕の前に立つ。
「Coe.、今日はもう休んで。ね?」
優しい声。でも、その優しさは僕を遠ざける壁にも思えた。
僕は頷くことしかできなかった。
自宅に戻ったはずなのに、まったく落ち着けなかった。
ベッドに横になっても、さっきの光景が何度も頭の中で繰り返される。
――「盛り上げるのはリーダーの役目やろ」
あの冷たい声が耳の奥に残って、離れてくれない。
思い出すたびに胸の奥が締めつけられて、呼吸が浅くなる。
僕、リーダー失格なんだろうか。
いつも頼れる最年少でいたいと思ってた。
みんなをまとめたい、笑顔でいさせたい、そう思ってたのに。
でも……どうして?
どうしてれるが僕を避けるんだろう。
僕が何をしたの?
スマホを開けば、配信のアーカイブを見直せてしまう。
コメント欄には「Coe.大丈夫?」「れると喧嘩した?」なんて文字が並んでいて、胸に刺さる。
リーダーとして笑っていなきゃいけないのに、泣きそうになる。
枕をぎゅっと抱きしめて、目を閉じた。
けど、涙は勝手に滲んでくる。
――れる。
もし僕が何か悪いことをしたなら、教えてほしいよ。
謝るから。
ちゃんと話したいよ。
でも、昼も夜も、彼は僕から離れていくばかりだ。
時計の針は深夜を回っていた。
眠れないまま天井を見つめて、心臓の音だけがやけに大きく響いていた。
《藍、星奈視点》
夜の街はすっかり静まり返っていた。
配信が終わり、解散したあと。Reluを送り出した帰り道、藍と星奈は同じ方向に歩いていた。
無言のまま数分。
ふいに藍が小さくため息をついた。
「……正直、Coe.には悪いことしたな」
「うん……。わたしも、胸が痛かった」
星奈は歩きながら、手に持った水のペットボトルを握りしめる。
「でも……言えないよね。Reluのこと」
「言えるわけないやろ」
藍の声は低く、少し震えていた。
「余命なんて言葉、聞かされたら……あいつら、どうなると思う?」
星奈は目を伏せた。
「壊れるよ。特にCoe.は……リーダーだからって、全部背負おうとするから」
「せやな」
藍はポケットに手を突っ込み、夜空を見上げる。
「俺らが盾になるしかない。Reluが嫌われ役をやりたいって言うなら、俺らはその手伝いをする。……どんだけCoe.に恨まれてもな」
「……優しいよね、Relu」
星奈の声は震えていた。
「ほんとは、みんなのこと大好きなのに。嫌われようとして……そんなの、つらいに決まってるのに」
藍はしばし黙り込み、やがてぼそっと言った。
「でもな、星奈。俺らが泣いてたら、Reluは余計にしんどくなるやろ。だから……泣くんは、最後まで我慢せえ」
星奈は唇を噛みしめて、こくりと頷いた。
二人の間に、重い沈黙が落ちる。
遠くで電車の音が響いた。
その音にかき消されるように、星奈が小さく呟いた。
「……せめて最後まで、Reluの味方でいよう」
藍は静かに目を閉じて、その言葉に頷いた。