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退院から二週間後。
藍はリハーサル室に戻ってきた。
傷跡はまだ痛む。それでも、彼の目はステージを見据えていた。
「……ほんまに大丈夫なんか?」向井の声には、心配が隠し切れない。
「うん。もう問題ないって言われたよ。」藍は軽く笑う。
――嘘ではない。医師から「問題ない」とは言われた。ただし、“動かなければ”の話だ。
だが、その真実は胸の奥に閉じ込めた。
岩本が全員を見渡す。「無理させない。立ち位置も構成も変える。藍の負担は全部俺が見る。」
その声に、誰も逆らわなかった。
それは命令ではなく、仲間を守る決意の言葉だったから。
それからのSnow Manは、目に見えない緊張を抱えながら動いていた。
渡辺と宮舘は、ステージングの細部を練り直し、藍が大きく跳ねたり衝撃を受ける箇所を削った。
阿部はスタッフにスケジュールの再調整を提案し、移動時間、睡眠時間、体力消耗をすべて管理表にまとめた。
深澤と佐久間は笑いを絶やさず、空気が重くなりそうになるたびに冗談を挟んで場を保った。
向井は藍の隣に座り、軽口を叩きながらも、その指先の震えを見逃さなかった。
目黒は、言葉少なに藍の背中を見守り続けた。彼の中にある“不安”は、もうとっくに確信に変わっていた。
ある日の深夜。
藍は、ひとり練習室に残っていた。
静かなミラーの前で、息を整えながら振付けを確認する。
――身体が重い。
――脚がしびれる。
――けれど、止まれない。
ドアがそっと開き、目黒が入ってきた。
「……やっぱりいた。」
「……ごめん。眠れなくて。」藍は鏡越しに目を伏せる。
目黒は無言で歩み寄り、藍の肩に手を置いた。
「藍。もう、頑張らなくていいんじゃないか。」
「……頑張らなきゃ、俺、ここにいられないから。」
その言葉は、悲しいほどまっすぐだった。
目黒の喉が詰まる。
「……お前、ほんとに、何を抱えてるんだよ。」
藍は微笑んだ。
「……みんなといる時間が、俺の生きてる意味なんだ。だから、最後までちゃんとSnow Manでいたい。」
“最後まで”――その言葉の重みが、二人の間に、冷たい現実の影を落とした。
夏ツアー初日。
会場の熱気、鳴りやまぬ歓声、ライトが交差する中、藍はセンターに立っていた。
声は震えていない。笑顔も作れている。
けれど、メンバー全員が知っていた。
――このパフォーマンスひとつひとつが、藍にとって危険と隣り合わせであることを。
ステージ上、目が合うたび、無言で交わされる祈り。
岩本の目が「ここまで来たら守り抜く」と訴え、
阿部の目が「絶対に危険な目には遭わせない」と告げ、
渡辺と宮舘の視線が「一緒に最後まで走ろう」と願う。
深澤と佐久間の笑顔が「不安なんて感じさせない」と支え、
向井の明るさが「怖さを全部飲み込む」と照らす。
そして、目黒の眼差しが、ただひたすらに“離れるな”と叫んでいた。
ツアーが進むごとに、藍の体は確実に削られていった。
転倒しないように支えられ、動きを制限され、抱えられながらもステージに立つ。
誰も「やめろ」とは言わなかった。
それが、彼の“願い”だから。
誰も“終わり”を口にできなかった。
それが、壊れてしまいそうで怖かったから。
ツアー最終日。
舞台袖で、藍はメンバー一人ひとりと目を合わせた。
「……ありがとう。」
その声は静かで、やけにあたたかかった。
「最後まで、俺をSnow Manにしてくれて。」
「何言ってんだよ、終わりじゃねぇだろ。」向井が笑う。
「そうそう、まだまだこれからだろ。」深澤が冗談めかして肩を叩く。
「……うん。」藍は頷いた。
――言えなかった。
――言いたくなかった。
この幸福な時間が、永遠に続くと錯覚したまま、終わりを迎えたかった。
藍はリハーサル室に戻ってきた。
傷跡はまだ痛む。それでも、彼の目はステージを見据えていた。
「……ほんまに大丈夫なんか?」向井の声には、心配が隠し切れない。
「うん。もう問題ないって言われたよ。」藍は軽く笑う。
――嘘ではない。医師から「問題ない」とは言われた。ただし、“動かなければ”の話だ。
だが、その真実は胸の奥に閉じ込めた。
岩本が全員を見渡す。「無理させない。立ち位置も構成も変える。藍の負担は全部俺が見る。」
その声に、誰も逆らわなかった。
それは命令ではなく、仲間を守る決意の言葉だったから。
それからのSnow Manは、目に見えない緊張を抱えながら動いていた。
渡辺と宮舘は、ステージングの細部を練り直し、藍が大きく跳ねたり衝撃を受ける箇所を削った。
阿部はスタッフにスケジュールの再調整を提案し、移動時間、睡眠時間、体力消耗をすべて管理表にまとめた。
深澤と佐久間は笑いを絶やさず、空気が重くなりそうになるたびに冗談を挟んで場を保った。
向井は藍の隣に座り、軽口を叩きながらも、その指先の震えを見逃さなかった。
目黒は、言葉少なに藍の背中を見守り続けた。彼の中にある“不安”は、もうとっくに確信に変わっていた。
ある日の深夜。
藍は、ひとり練習室に残っていた。
静かなミラーの前で、息を整えながら振付けを確認する。
――身体が重い。
――脚がしびれる。
――けれど、止まれない。
ドアがそっと開き、目黒が入ってきた。
「……やっぱりいた。」
「……ごめん。眠れなくて。」藍は鏡越しに目を伏せる。
目黒は無言で歩み寄り、藍の肩に手を置いた。
「藍。もう、頑張らなくていいんじゃないか。」
「……頑張らなきゃ、俺、ここにいられないから。」
その言葉は、悲しいほどまっすぐだった。
目黒の喉が詰まる。
「……お前、ほんとに、何を抱えてるんだよ。」
藍は微笑んだ。
「……みんなといる時間が、俺の生きてる意味なんだ。だから、最後までちゃんとSnow Manでいたい。」
“最後まで”――その言葉の重みが、二人の間に、冷たい現実の影を落とした。
夏ツアー初日。
会場の熱気、鳴りやまぬ歓声、ライトが交差する中、藍はセンターに立っていた。
声は震えていない。笑顔も作れている。
けれど、メンバー全員が知っていた。
――このパフォーマンスひとつひとつが、藍にとって危険と隣り合わせであることを。
ステージ上、目が合うたび、無言で交わされる祈り。
岩本の目が「ここまで来たら守り抜く」と訴え、
阿部の目が「絶対に危険な目には遭わせない」と告げ、
渡辺と宮舘の視線が「一緒に最後まで走ろう」と願う。
深澤と佐久間の笑顔が「不安なんて感じさせない」と支え、
向井の明るさが「怖さを全部飲み込む」と照らす。
そして、目黒の眼差しが、ただひたすらに“離れるな”と叫んでいた。
ツアーが進むごとに、藍の体は確実に削られていった。
転倒しないように支えられ、動きを制限され、抱えられながらもステージに立つ。
誰も「やめろ」とは言わなかった。
それが、彼の“願い”だから。
誰も“終わり”を口にできなかった。
それが、壊れてしまいそうで怖かったから。
ツアー最終日。
舞台袖で、藍はメンバー一人ひとりと目を合わせた。
「……ありがとう。」
その声は静かで、やけにあたたかかった。
「最後まで、俺をSnow Manにしてくれて。」
「何言ってんだよ、終わりじゃねぇだろ。」向井が笑う。
「そうそう、まだまだこれからだろ。」深澤が冗談めかして肩を叩く。
「……うん。」藍は頷いた。
――言えなかった。
――言いたくなかった。
この幸福な時間が、永遠に続くと錯覚したまま、終わりを迎えたかった。