story
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
通話から数日後の午後八時。
星奈は、自宅のマイクスタンドの位置を何度も直していた。
画面越しには、オンライン通話で繋がったReluの姿が小さな四角で映っている。
黒いキャップのつばが、スタジオの蛍光灯を受けて少しだけ光っていた。
「マイク位置、そんくらいでええと思うで」
「……はい」
返事は小さかった。
初めて一緒に歌うという事実が、星奈の喉を固くしていた。
「じゃあ、まずは一回通してやってみよか。声、録音しながらでええ?」
「はい……でも、上手くできるか分からないです」
「大丈夫。失敗しても、それが今の星奈さんの音やから」
Reluの言葉は、ふっと力を抜く魔法みたいだった。
彼は、技術の前に「その人の音」を大事にしてくれる。だからこそ、怖くてもやってみようと思える。
伴奏が流れ始めた。
星奈は深く息を吸い、最初の音を放った。
——震えている。
自分でもわかる。けれど、Reluがギターを合わせてくれる音が、少しずつその震えを包み込んでいく。
「いいやん、今の。もうちょい肩の力抜いて」
「……っ、は、はい」
アドバイスは簡潔で、でも温度があった。
二回目。
さっきよりも自然に声が出た。
Reluが小さく「ええやん」と呟くのが聞こえる。曲のサビに差し掛かったとき、Reluのハーモニーが加わった。
重なる瞬間——胸の奥がじんと熱くなった。
これまで一人で録ってきた音にはなかった、厚みと温度がそこにあった。
歌い終えると、星奈は息を切らしながらも、ヘッドホンを外さなかった。
その余韻に浸っていたかったからだ。
「どうやった?」Reluが尋ねる。
「……なんか……すごく、安心しました」
「せやろ? 音って、一人より二人の方があったかなるんよ」
その言葉は、ただの音楽論じゃなく、今の二人の関係にも重なっていた。
「……これ、完成させたいです」
星奈は、思わずそう口にしていた。
Reluは笑い、ギターの弦を軽く鳴らした。
「ほな、決まりやな。最後まで一緒にやろ」
画面越しの笑顔は見えなかったけれど、声だけで十分に伝わった。
録音が終わったあと、星奈はPCをシャットダウンせずに座ったまま天井を見上げた。
——あの声と一緒なら、もう少しだけ前に進めるかもしれない。
そう思えた夜だった。
星奈は、自宅のマイクスタンドの位置を何度も直していた。
画面越しには、オンライン通話で繋がったReluの姿が小さな四角で映っている。
黒いキャップのつばが、スタジオの蛍光灯を受けて少しだけ光っていた。
「マイク位置、そんくらいでええと思うで」
「……はい」
返事は小さかった。
初めて一緒に歌うという事実が、星奈の喉を固くしていた。
「じゃあ、まずは一回通してやってみよか。声、録音しながらでええ?」
「はい……でも、上手くできるか分からないです」
「大丈夫。失敗しても、それが今の星奈さんの音やから」
Reluの言葉は、ふっと力を抜く魔法みたいだった。
彼は、技術の前に「その人の音」を大事にしてくれる。だからこそ、怖くてもやってみようと思える。
伴奏が流れ始めた。
星奈は深く息を吸い、最初の音を放った。
——震えている。
自分でもわかる。けれど、Reluがギターを合わせてくれる音が、少しずつその震えを包み込んでいく。
「いいやん、今の。もうちょい肩の力抜いて」
「……っ、は、はい」
アドバイスは簡潔で、でも温度があった。
二回目。
さっきよりも自然に声が出た。
Reluが小さく「ええやん」と呟くのが聞こえる。曲のサビに差し掛かったとき、Reluのハーモニーが加わった。
重なる瞬間——胸の奥がじんと熱くなった。
これまで一人で録ってきた音にはなかった、厚みと温度がそこにあった。
歌い終えると、星奈は息を切らしながらも、ヘッドホンを外さなかった。
その余韻に浸っていたかったからだ。
「どうやった?」Reluが尋ねる。
「……なんか……すごく、安心しました」
「せやろ? 音って、一人より二人の方があったかなるんよ」
その言葉は、ただの音楽論じゃなく、今の二人の関係にも重なっていた。
「……これ、完成させたいです」
星奈は、思わずそう口にしていた。
Reluは笑い、ギターの弦を軽く鳴らした。
「ほな、決まりやな。最後まで一緒にやろ」
画面越しの笑顔は見えなかったけれど、声だけで十分に伝わった。
録音が終わったあと、星奈はPCをシャットダウンせずに座ったまま天井を見上げた。
——あの声と一緒なら、もう少しだけ前に進めるかもしれない。
そう思えた夜だった。